涼みの科学。冷却グッズの種類と原理、どうやって熱を逃すのか?

③水と混ぜろ、硝安と尿素の最強の瞬間冷却

最近増えてきたのは、ホッカイロの真逆とも言える瞬間冷却グッズ。これには、大抵硝酸アンモニウムや尿素が入っています。これらは、水に溶かすと溶けます。いや、溶けるんですけど、溶ける前は固体なんです。ピンと来た方は素晴らしいです。そうなんです。固体が液体になるのは融解現象であり、熱エネルギーが必要なのです。厳密に言うと、状態変化の融解とは少し趣きが違うのですが、同じ融解と呼びます。

え、塩とかも液体になってるけど・・・と思ったら、賢い。塩を水とかしても、ちょっと温度が下がっています。ちなみに、氷にまぶして温度が下がるのもこの現象です。味噌をお湯に溶かしても温度は下がっていないので大丈夫です。と言うのは、味噌は小さな固体の状態で水の中にあるので、別に液体になっているわけではないのです。

 写真の様な冷却グッズは、多くの場合、叩くと冷却が始まります。これは、中に入っている水の袋が叩くと割れて、水と中に入っている水が硝酸アンモニウムや尿素と混ざって反応が始まるから叩く動作が必要なのです。

別に叩かなくてもこっそり針で穴を開けても反応は始まりますが、外袋に穴を開けると穴から色々出てきてしまうのでやめましょう。

実は、この瞬間冷却剤もどきは自宅で作れちゃいます。硝酸アンモニウムは、上手く使えば爆発物に変身するので簡単には手に入りませんが、尿素は簡単に手に入ります。そう、トイレで紙コップにあなたの・・・ではなく、肥料としてです。最近では化粧品グッズとしても人気ですが、肥料としても需要のある尿素はキロ単位で買えます。安いです。

尿素の粉をジップロックあたりに入れて置いて、必要になったら水道水を入れれば簡単冷却剤の出来上がりです。しかし、残念ながら硝酸アンモニウムの方が、吸熱力が高いので、市販のものほどの効果はありません。それから、量は1:1ぐらい出ないと上手く効果が出ないこともあります。

 ちなみに、白い粉をジップロックに入れておくと怪しいので、それについても気をつけなくては行けません。きちんと、表に「尿素」とでも書いておきましょう。それはそれで少し恥ずかしいですけどね。

冷却グッズとしては、高い冷却効果でどこでも使えて、冷凍庫で凍らせたりする必要が無いというのがメリットですが、残念ながら使い捨てです。

④冷点を刺激して感覚を騙す、メントールの冷点刺激

 お次は番外編。メントールで、ひんやり気分を味わうグッズです。

これはメントールという刺激物質で、表皮の冷点と呼ばれる感覚器官を刺激し、冷たい刺激だけを与えるやり方です。実際には熱を奪われていないのですが、神経が誤解をして冷たいと勘違いしてしまいます。

シャンプーや制汗剤、様々なグッズに入っていますが、冷えた気分になるだけなので気を付けましょう。特に、熱中症の予防とかには全く効果がありません。と言うか、発汗作用が抑えられて逆効果でもあるので本当に暑い日には使わない方が良いですね。

 冷却グッズとしては、手軽に素早くスッキリする。何よりも、気分的なリフレッシュ効果が大きいので、大して暑くないけど、気分的に暑いと言う時に使うと良いでしょうね。

効果を理解し、正しく使う

このように、冷却グッズには様々な種類があり、様々な使い方あります。効果や原理も様々で、状況によってその効果の度合いも異なります。

例えば、蒸し暑く湿度の高い日は、既に空気中に沢山水分があるので、水は蒸発しにくいです。こういう時は、気化熱を利用した冷却グッズは効果が薄く、瞬間冷却や保冷剤を使うのが良いでしょう。

冷凍庫から出したらすぐに冷却が始まってしまう保冷剤では、かばんに入れておいて暑くなったら使うと言う使い方は出来ません。その頃には、溶けきって効果が無くなっています。そう言う時は、水があれば使える気化熱系や瞬間冷却系が良いかもしれません。

<気化熱系>
<保冷系>
使い捨て系>

冷却効果:低
冷却効果:
冷却効果:高

効果時間:中
効果時間:高
効果時間:低

携行性:中
携行性:低
携行性:高

汎用性:中
汎用性:低
汎用性:高