ギャンブル依存が世界でもトップクラスの日本、カジノ法案は本当に大丈夫なのか?

適度に嗜む程度のギャンブルであれば、遊園地や映画にお金を払うのとやっている事は変わらない。しかし、それに依存し、無制限にお金を払い、生活が乱れ、借金までする様になると大きな問題となる。お金欲しさに犯罪に手を出す人間もいるだろう。

今回の調査で明らかになったのは、そのギャンブル依存が日本は世界的に見ても多いということだ。その最大の原因とされているのが、パチンコ店などの数の多さと言われている。確かに、駅前から歩いて5分圏内にほぼ必ず複数のパチンコ店が軒を連ねている光景は珍しくなく、かなり多いと言う印象は受ける。正直、ギャンブルを規制している割にはギャンブルが出来る店が多すぎるのだ。

そこで、合法のカジノが街に現れたら、ギャンブルへの依存が増えるのではないかと懸念する人が非常に多い。実際、選択肢が増えることで、ギャンブルに手をだす人の層が増えることは間違いないと考えられている。

ギャンブル依存の原因

ギャンブルをすれば必ず依存するのかと言うとそうではない。薬物依存とは違い、その行為や行為により発生するものそのものに依存性があるわけではない。つまり、人体が自ら生成する脳内物質は別として、特に脳に直接働きかけるような物質がギャンブルにより得られるわけではないということ。

強いていえば、負けるか勝つか分からないと言う行為自体に依存性があると言えるかも知れない。「負けても、次に勝てばチャラになる」「次は勝つかもしれない」と言う期待感とそれが簡単に得られると言う部分で、依存性を生む。

これは、別にギャンブルに限ったことではない。スポーツや勝負事全てに言えることで、これが依存の最大の原因かと言われると違うだろう。

実は、ギャンブル依存を発症する人の殆どが、元々不満や不安感、精神的な問題を抱え、これをギャンブルによって一時的に紛らわせることが出来るということでギャンブルに走るのだ。そして、これはアルコール依存や薬物依存などにも言えることで、「苦痛や不安を和らげる」からそれに依存する

つまり、特に精神的に問題の抱えてない人間がギャンブルをやっても依存症にはなら無い。逆に言えば、精神的な問題を抱える人がギャンブルをやると依存症になる可能性が高いということになる。

これは確かに大きなリスクだ。

精神的な疾患を抱えていながらも今までギャンブルに興味が持てなかった層が、ギャンブルによって依存症になる可能性は高い。ギャンブルへのアクセスが依存症の数に影響するというのも、同じことが原因だろう。今までパチンコ店など行ったことが無かった人が、通勤途中にパチンコ店が出来て試しにやってみたら依存してしまったと言うのはよくあることだ。

ギャンブルの種類やギャンブルへのアクセスが増えれば、ギャンブル依存は増えてしまう。

カジノは本当にダメなのか?

カジノ法案によって、依存症が増えるのかというと実は様々意見がある。

依存の原因がカジノそのものではなく人の精神面にあるという指摘もその一つだが、もう一つはギャンブルの質と運営者の変化

まずパチンコは全てが機械だが、カジノの多くはディーラーが必要だ。つまり、パチンコ点よりコストが掛かるため、ある程度収益の見込める立地と規模が必須となり、必然的に数は少なくなる。機械で行う簡易カジノもあるが、ディーラーのいるカジノほど人気はなく、そもそもゲームによって機械の種類が変わるという点でも、運営側から見たコストパフォーマンスはパチンコほどではない。つまり、パチンコほどカジノの数は増えない

パチンコ店の裏に非合法組織がいるというのも言われているが、カジノ法案で増えるカジノはある程度国のチェックが入り、規模もそれなりのものになると推定されている。つまり、今までのギャンブル施設の様に非合法組織の資金源になる可能性は低い。これは、ギャンブル依存予備軍とも言える客にお金を貸し付け、抜け出せないほど依存するまでギャンブルに浸からせてお金を巻き上げるような被害は減る。

さらに、一店舗で様々な娯楽を提供できるカジノ施設は、ギャンブルの質としてもパチンコやスロットより高く、店舗ごとの差別化も容易だ。これはつまり、パチンコやスロットの顧客が減ることを意味し、パチスロ店舗は今より数が減るだろう。ただし、パチンコ店がカジノのような店舗に変わる可能性も高く、一概には言えない。

正直、これだけでは、はっきり大丈夫だとは言えないだろう。

ただ、今の日本のギャンブル事情に何らかの形でメスを入れて行かなければ行けないのは間違いない。さらに、経済的に閉塞感の現状を打開するという意味でも、カジノは心強い武器になる。カジノをやるのであれば弊害に対してしっかりとした調査と対策を練り、今後の日本のギャンブル業界を改革するつもりで進める必要がある。やらないのだとしても、今のグレーゾーンとされているパチスロ業界を大きく規制するなり変革するなりは必要と言える。

どちらにしても、カジノ法案にまつわる議論から、日本のギャンブル業界を変えていかなければいけない。