彗星探査機ロゼッタとフィラエって結局どうなった?着陸時のトラブルでミッションは成功?失敗?

Pocket

20141129-2
(http://www.esa.int/)

劣悪な着地点で、時間との勝負

彗星に着地した後、フィラエから送られてきたデータによって、フィラエの着地点の劣悪な環境が明らかになります。

まず、フィラエはかろうじて地面に着地できたものの、機体は大きく斜めになってしまっているということ。ひっくり返っていたわけではないのでまだ良いのですが、斜めになっていると言うことは機体の調査機器が正しく使えない可能性が高くなってしまうということなのです。

彗星には僅かながらに重力があるので、ひっくり返ったら最後、姿勢制御装置なしには簡単には起き上がれません。それでも機体を地面に固定させるハープーン等が使えていれば良いのですが、機体は正しく地面に固定されておらず、迂闊に機体を動かせばひっくり返ってしまう可能性もありました。

さらに、最悪なことに着地点が日が当たらない場所であり、フィラエが充電できなくなっているということが明らかになります。おそらく、フィラエのミッションの中で、これが最も最悪な事態でしょう。

別の記事(ミネルバの移動方法)でも説明していますが、重力の低い天体で移動すると言うのは非常に簡単なのです。むしろ、簡単すぎて動き過ぎてしてしまうのが問題で、フィラエ自身も移動装置を持っていないにも関わらず、着陸後に機器を勢い良く動かすことで移動しています。どういうことかというと、椅子に手足を固定したまま動くようなイメージで、体を勢い良く動かしてちょっと動いた。みたいな感じです。充電が出来るのであれば、もっと良い環境に動くこともできたのでしょうが、残念ながらそれで大きく移動する事は叶いませんでした。

そして、フィラエ(運用チーム)は決断します。

本来は数ヶ月掛けて行うはずだった調査ミッションを短期間でも可能な限り行い、データを持ち帰る事。そして、フィラエは矢継ぎ早に観測機器を作動させ、観測を進めていきます。フィラエは順調に観測を進め、この姿勢では安定性を損なうので危険だと思われていたドリル系の観測機器まで使い始めました。

ドリル系の機器は機体が固定されていなかったことや彗星の表面が予想以上に固かった事などから、うまく使えなかったようですが、その他の観測機器は大部分が動作した事が分かっています。

つまり、フィラエは過酷な環境ながらも観測機器を無事使えたということなのです。

全体としてミッションは成功したのか失敗したのか?

初代はやぶさも苦難の末にサンプル採取に成功していますが、フィラエも様々なトラブルに見舞われながらもなんとか調査を行いました。

その観測データはロゼッタを通じて無事に地球に送られ、 既に研究が始まっています。短期間でかなりのデータを採取したため、観測データの結果が出始めるには時間がかかりますが、初めての結果としてはかなり上出来の成果であり、成功と言えます。

ロゼッタは未だに彗星の回りで調査を行っていますし、休眠中のフィラエは着陸地点がズレたものの精密機器である観測装置の大部分が極寒の宇宙で10年を経ても無事に動いたと言うのは偉業であると言えるでしょう。

むしろ、今まで他の探査機では長期間動かせていた姿勢制御装置やハープーンの発射装置(発火装置)などが動かなかった事が意外なほどです。複数あったハープーンや噴射装置が全く動かなったと言うのは当初の設計ミスなのかもしれませんが、今後の改良で十分改善が可能でしょう。

今後、彗星が太陽に近づき、フィラエに太陽が当たるようになればフィラエは再始動が可能になります。そうなれば、再び調査に入ることできるようになり、新たな観測データを送ってくれるでしょう。

太陽に近づけばいずれ彗星の尾が発生するでしょうが、もしかするとフィラエが世界で初めて彗星の尾を内側から観測する事になるかもしれませんね。

参考:
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Rosetta/