暖房機器の原理と仕組み、メリットやデメリット(その3):伝導熱を使い体を直接暖める製品

携帯カイロ

オカモト はらないカイロ

最後は携帯カイロです。

非常に軽くて持ち歩きに便利で、袋から出すだけで使える簡便さは携帯用温熱機器の王者とも言えるでしょう。

他の製品と比べると原理について知られていないケースが多いですが、原理は鉄が酸素と結びついて酸化する際に発生する酸化熱です。いわゆる、鉄が錆びるあの現象です。極論すると、石油が酸素を使って燃えるのと現象としては変わりません。 非常にゆっくりゆっくり鉄が燃えていると考えても良いでしょう。そして、燃えカスとして酸化鉄が残ると言うイメージが分かりやすいかもしれませんね。

「鉄なんてどこにでも存在するのに、なんでそんなに熱が発生するほど酸化するのか?」

と思うかも知れません。身の回りにある鉄が酸化(錆び)ないのは、塗料などを塗って酸素に鉄が触れないようにしているのと、塗料が剥げて水に濡れれば酸化(錆び)がぐんぐん進みます。ただ、もちろん携帯カイロはそれだけではありません。鉄が錆びやすいように様々な素材が入っています。

鉄の錆は、「酸素」によっては行われますが、「水」や「塩」があると酸化はさらに促進されます。そのため、携帯カイロの中には、鉄粉以外にも水を保持する「バーミキュライト」、酸素を保持する「活性炭」、食塩を保持する「吸水性樹脂」などが一緒に入っています。そして、袋は酸素が入り込まないように密閉され、開封して酸素に触れる事によって反応が始まって熱を発生させます。

ちなみに、カイロは酸素を取り込むので、部屋中埋め尽くすほどのカイロを一度に使ったら窒息してしまいます。ペットボトルなどに入れて実験してみると、ちゃんと中の酸素が減って凹むのがわかります。

熱くなり過ぎない様に抑えられてはいますが、それだと全然暖まらないので低温やけどしてしまう程度の熱量は出ています。直接体に貼り付けたりすると非常に危険ですので、使い方をよく確認して使用しましょう。

軽量小型で持ち運びに便利、手軽にどこでも暖められる

使い捨てで熱量も小さい。低温やけどのリスクもある

余談ですが、携帯カイロでは、電気を使ったタイプも最近では発売されるようになりました。

SANYO 充電式カイロ

充電式の電気カイロです。スイッチの入りきりが出来て、充電で繰り返し使えるのが魅力。

出力調整もできるので、場面に応じて使い分けられるようですね。製品にもよりますが、低温やけどを防止するような工夫などもあり、現代のカイロと言えるかもしれません。

 

まとめ

ここまで、三種類の方式の暖房機器・温熱機器を紹介してきました。

本当に様々な暖房機器が存在し、様々な用途で使い分けられているのがわかります。

暖房機器というのは、どれも人を暖めるために熱を発生させる機器です。熱と言うのはエネルギーであり、エネルギーと言うのは有限です。そのエネルギーを有効活用するためには、一体どうやって自分達が熱を得ているのかを理解しなければいけません。

熱交換のエアコン、石油を燃やすファンヒーター、電気を熱に変える電気ストーブ、化学反応で熱を得るカイロ・・・本当に様々な方法で人は熱を得ています。

寒い冬に当たり前の様に使っている暖房機器がどのように動いているか、皆さんご存知でしたか?