「十二指腸と膵液」:全ての栄養素を消化する器官と胆汁の変わった機能-消化器官のしくみ(5)

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そして、胆汁にはもう一つ変わった物質が含まれていて、それが胆汁色素と呼ばれる色素。これは単に体内のゴミと言うか、排泄物の一種なのですが色があります。これが、水分と一緒に吸収されれば尿と一緒に排出され、尿を黄色くなる原因になります。また、吸収されなかった分はそのまま食物などと混ざって排出されますが、これは大便が茶色くなる原因です。

愉快なことに、この色素は早い内に吸収されれば黄色ですが、大腸で腸内細菌などと作用すると茶色くなります。また、腸内細菌の活動が弱まっていたりすると、便の色は黄色いままになります。色素の色の変化は偶然ですが、胆汁色素は腸内細菌の活動を示すバロメータになるのですね。

三種の栄養素を分解する消化液「膵液」の力

そして、十二指腸最大の特徴である膵液の分泌。

膵液は、「炭水化物」「タンパク質」「脂質」のすべてを分解する消化酵素を有しています。そして、アルカリ性の性質を有しており、中性の唾液、酸性の胃液と合わせ、アルカリ性の膵液が二つの消化液がカバーできなかった部分を補完するようになっています。

消化酵素も非常に豊富であり、炭水化物の消化には「アミラーゼ」「マルターゼ」、タンパク質の消化に「トリプシン」「キモトリプシン」、脂質の消化に「リパーゼ」と、ありとあらゆる消化酵素を備えています。ちなみに、胃で分泌されたペプシンは胃酸が中和されると同時に失活しています。

さらに、核酸(DNA/RNA)の分解酵素でもある「ヌクレアーゼ」は、細菌類やウイルスのDNA/RNAなどを破壊する働きを持っていて、胃酸で倒せなかった連中を体内に入る直前で迎撃する最後の砦としての働きもある程度は持っているといえるでしょう。

膵液は胃液と共に出てきた食物を中和し、その上で大量の消化酵素を投入して消化を促進し、十分に消化酵素と混ざった状態で小腸へと送り出す場所であるといえます。そして、実際に消化が進むのは、短い十二指腸ではなく非常に長い小腸。腸液にも多少の消化酵素はありますが、この膵液が消化の要。ここで膵液が上手く食べ物と混ざるかどうかが今後の消化・吸収のすべてを左右します。

食物は吸収の段階へと進む

胃、十二指腸で消化のプロセスを踏んだ食物は、小腸へ流れてようやく吸収活動が始まります。一応、十二指腸でも吸収は行われていますが、短いので一瞬です。

しかし、小腸は長くうねっている非常に変わった器官です。ここを流れる食べ物は十二指腸で分泌された消化液とこれでもかというほど混ざり合います。混ざり合いながら、腸壁と擦れあい、吸収されながらどんどん進んでいきます。

これが吸収の最初のプロセスなのです。

消化器官のしくみ(6):小腸の栄養吸収

消化器官のしくみシリーズ