スコルペヌ型、ゴトランド型、039A型、キロ型、コリンズ型を比較-世界の通常動力型潜水艦を徹底比較!(分析編)

Pocket

総合力や戦闘力において上位の3種「そうりゅう型、212型、ラーダ型」には及ばなかったものの、「スコルペヌ型、ゴトランド型、039A型、キロ型、コリンズ型」の潜水艦としての性能は侮れません。

世界の通常動力型潜水艦を徹底比較!(ランキング編)」に続く分析編として、本記事では上述の5種についての分析を行っていきたいと思います。

関連記事
世界の通常動力型潜水艦を徹底比較!(ランキング編)
日本のそうりゅう型、ドイツの212型、ロシアのラーダ型を比較(分析編)
そうりゅう型は、ドイツの216型やフランスのシュフラン(バクラーダ)級に勝てるのか?

「スコルペヌ型」   - フランス・スペイン 

1506174
(スコルペヌ型_wikipedia)

スコルペヌ型は、開発当初フランスとスペインの海軍で使う予定で開発されましたが、予算などの兼ね合いで結局フランスでもスペインでも導入されることはありませんでした。しかし、優れた艦であることには変わりなく、ブラジルやインドなどへの導入が決まっています。

隠密性「7」

フランス海軍が原子力潜水艦で培ったノウハウを参考にして建造し、電池駆動時は高い隠密性を持っています。しかし、AIP機関に蒸気タービンを採用しているため、運用時の安全性は高いもののタービンのノイズで隠密性が落ちてしまうと考えられています。

潜水能力「8」

 AIP機関による長期潜航と400m前後の潜航深度を持ち、近代的な通常動力型潜水艦としては申し分ない性能があるといえます。本型のような近代的潜水艦であれば3週間の連続潜航と300m以上の潜航深度は必須とも言える性能であり、領海内に侵入した原子力潜水艦の追跡や戦闘が可能となるレベルです。

行動範囲「6」

輸出向けに大型のモデルもあるのですが、AIP機関の性能差もあって潜行時の行動範囲は同サイズの212型などに比べるとやや劣ります。浮上航行であればそれほど大きな差はありませんが、蒸気タービンによる発電は燃料電池やスターリング・エンジンと比べるとエネルギー効率が悪く、潜航も含めた長期間の作戦となると難しいでしょう。

戦闘能力「7」

対空ミサイルこそないものの、フランス製の対艦ミサイルを運用できるスコルペヌ型は高い戦闘力を誇っています。欧州の近代的通常型潜水艦で対艦ミサイルを運用できる少ないため、対艦ミサイル攻撃のプラットホームとして潜水艦の運用を考えている国家には魅力的な艦と言えるでしょう。

拡張性(6)

輸出用にいくつかのバリエーションが作られているので、比較的バリーションは多い方だといえるでしょう。ただ、AIP機関の性能から見て長期間使い続けられる性能があると言い切れません。十年後には新設計の艦と置き換わって行く可能性が高いです。

総評

西側の潜水艦としては、対艦ミサイルや扱いやすい蒸気タービンのAIP機関を採用しているのが特徴です。燃料電池やスターリング・エンジンに使われている技術は比較的特殊なものであり、運用には一定の技術力が必要です。 しかし、エタノールを使った蒸気タービンの技術は既存の機関技術に近いものがあり、整備性は極めて高いです。

「ゴトランド型」 - スウェーデン

1506174
(米国に貸与されたゴトランド型)

知名度が高いとは言えないゴトランド型ですが、実は米軍の演習において「空母を撃沈」しています。空母が単独で移動していたわけではなく、空母を護衛する艦隊に察知されずに接近し、雷撃命中判定を得たと言う事です。米軍海軍が通常型潜水艦を甘く見ていた事が明らかになった一件でもあり、米軍では通常型潜水艦対策のモデル艦として運用されている優秀な艦です。

隠密性「8」

電池駆動時の隠密性は212型やそうりゅう型と同等かそれ以上の性能があると見られています。スターリング・エンジンのAIP機関なのでAIP使用時には隠密性が落ちるものの、世界トップクラスの隠密性を持った潜水艦であることは間違いありません。

潜水能力「7」

AIP機関を使えば3週間の連続潜航が可能で、潜航深度も最大300m前後であると推測されています。潜水艦としては十分な潜航深度ではありますが、212型やそうりゅう型に比べると少々見劣りしてしまうでしょう。

行動範囲「5」

スターリング・エンジンのAIP機関を使っているため燃料効率は高いのですが、小型の潜水艦で長時間の作戦行動を殆ど想定されていません。元々バルト海での運用を想定していることもあり、行動範囲は決して広いとは言えません。

戦闘能力「5」

通常の魚雷発射管4本と小型の魚雷発射管が2本あり、目標に応じての使い分けが可能です。ただ、それ以外にこれといった装備がなく、潜水艦としては十分な戦闘力ですが、運用方法は限られて来るでしょう。

拡張性(5)

行動範囲を拡張するための改修余地があり、ある程度の拡張性はあると言えます。ただ、如何せん小型の艦で運用思想も限定的なので、長い間使い続けられる拡張性が高いとは言い切れません。

総評

潜水艦としては、非常に綺麗にまとまった潜水艦です。潜水艦に最も必要とされる隠密性に力を入れ、領海防衛に以外に不要な能力を殆ど備えていません。元々スウェーデンがバルト海を防衛するために建造した艦であり、どんな任務でもこなせる万能艦というわけでは無さそうです。しかし、空母を演習で撃沈判定を出した実績は侮れません。

(次ページ:中国、ロシア、豪州の潜水艦)