水素エネルギーに未来はあるか?(1):燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の性能比較

Pocket

電気自動車の特徴、利点と欠点

1507302
(LEAF_日産自動車

電気自動車はバッテリーでモーターを動かして走る自動車です。

ハイブリッドカーでは安全なニッケル水素電池を使っていますが、電気自動車は大容量で高出力なリチウムイオンバッテリーを使っているのが大半です。
※関連記事:リチウムイオンバッテリーの原理と特徴、軽くて高エネルギーのリチウム

バッテリーで動くと聞くとパワーが出なさそうに思われますが、大量のリチウムイオンバッテリーと高出力モーターを駆使すれば170km/hは十分出せます。ただ、電力消費が半端ないため、速度は出さない方が良いでしょう。それでも、急加速などには十分対応出来るパワーがあります。

また、バッテリーしか積んでいないので静音性が非常に高いです。燃料電池車も低速では静かですが、高速だと水素を勢い良く流し込む音が聞こえてきます。ただ、住宅地で歩行者に存在を気づかれないという欠点もあるので一長一短かもしれません。

バッテリーの充電がどこでも出来るのも強みですね。家で充電出来ますし、必要とあれば急速充電ステーションで急速充電する事も可能です。ただ、急速充電はバッテリーを消耗するので、できれば避けた方が良いでしょう。
※関連記事:リチウムイオンバッテリーを長持ちさせる方法とその理由

急速充電でも30分かかるのは困りますが、これに関してはバッテリーを交換する方式で解消出来ると言われています。また、将来的には電灯や公共設備に充電機能をつけることで、自販機感覚で駐車中に充電できるようなシステムも考案されています。スマホの充電と同じような感覚かもしれませんね。

バッテリーを使うので安全だと思われがちですが、リチウムイオンバッテリーは一歩扱いを間違えると危険な電池であり、破損や急速充電時に適切な安全管理がなされていないと爆発したり発火したりする危険性があります。当然、漏電による感電などのリスクもあるため、電気自動車なら安全だと言い切れるわけではないのです。ただ、ガソリンや水素の様に地面に溢れて広がったり、漏れだして空気中に広がったりすることはないのでその点では安心できるでしょう。
※関連記事:電池が爆発する危険性、何故爆発し、何をすると起こるのか?

そんな電気自動車の最大の欠点が、走行距離の短さです。リチウムイオンバッテリーと言えど水素に比べるとエネルギー密度は極めて小さく、自動車という大きさに限りのある乗り物に積める量にも限りがあります。水素やガソリンに比べるとどうしても走行距離が短くならざるを得ず、パワーも抑えられがちです。

バッテリー技術の向上である程度は改善できるはずですが、それでも根本的なエネルギー密度の低さは補えません。低温時に出力が落ち、暖房にもバッテリーを消費するので冬に性能が落ちる感があるのは否めません。充電にも時間がかかることから、冬の使用や長距離走行には向いていない車だと言えるでしょう。

  • 利点
    • 本体と電気が安価
    • 充電場所を選ばない
  • 欠点
    • 走行距離が短い
    • 充電に時間がかかる
    • 低温時に出力が落ちる

排気ガスがないというのもありますが、燃料電池車も水の排出するだけなので共通ですね。共通の利点は利点としては挙げていません

電気自動車の最大の利点は安価なことと、充電場所を選ばないことにあるでしょう。ただ、走行距離や欠点もかなり致命的です。近距離の使用に最適なので、イメージとしては「大きなスクーター」ぐらいの使い道だと考えると良いかもしれませんね。

どちらが優れているかというと?

遠くに乗るなら燃料電池車の方が優れていますし、近くで乗り回すなら安価な電気自動車の方が使い勝手が良くて優れていると言えるかも知れません。

しかし、そんな比較は実はあまり意味がありません

車というのは別に性能を比較するために存在するのではなく、ドライバーの快適な生活を支えるために存在します。そして、ドライバーの生活は人それぞれで、どちらの車が優れているかという比較は一概に出来るものではないのです。

特に、燃料電池車と電気自動車のターゲットや想定用途は大きく異なっているため、燃料電池車が電気自動車と比較して優れている点があるからといって、水素エネルギーを活用した燃料電池車が主流になるとは言えないのです。

 

第2回:燃料電池車の本当のライバルはガソリン車やハイブリッド車

水素エネルギーに未来はあるか?:シリーズ一覧