不治の病(2): 死ぬまで治らない恐るべき感染症-「狂犬病・プリオン病・エイズ」

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プリオン病(伝達性海綿状脳症・TSE)

プリオン病とは、プリオンというタンパク質が異常に増加する事によって引き起こされる病気です。「プリオンってなんだ?」という話ですが、実はこのプリオンというのがよく分かっていないというか、プリオンという言葉自体が一種の仮の名前だったりします。

 

プリオンとは「タンパク質で構成される感染性因子」と訳されますが、要するに、感染症を発生させる原因になるかもしれないタンパク質という意味です。

「かもしれない」というのは、このプリオンというタンパク質は誰もが普通に持っているからです。つまり、プリオンが必ず感染症を発生させるというわけではありません。しかし、何らかの理由でプリオンが突然異常に増えだしたり、悪い働きをするので感染性因子と呼ばれます。

完全に原因やメカニズムが解明されれば「狂犬病ウイルス」や「レンサ球菌」のようにちゃんとした名前がつくはずですが、タンパク質が感染源となる感染症自体が人類にとって馴染みが無いため、まとめてプリオンと読んでいるのです。ちなみに、感染症を起こしているプリオンは「異常プリオン」、感染症を起こしていないプリオンは「正常プリオン」呼ばれます。

プリオン病はこの異常プリオンが脳に達し、脳のタンパク質が異常プリオンだらけになって脳の働きが阻害されることで発症します。

初期症状としては、倦怠感やふらつきといった極度の疲労に似た症状が出て、中期には認知症が起こります。そして、末期になると植物人間状態に近くなり、最終的には発症から1,2年で呼吸困難や感染症で死亡します。異常プリオンの性質が良く分かっておらず、治療法はありません

感染症に分類されていますが、恐ろしいことに感染せずとも発症します。感染源を皆が持っているので当たり前と言えば当たり前ですね。発症の原因はよく分かっていません。

感染する場合は、異常プリオンを体内に取り込む(食べる・移植する)事で感染します。人から人に感染する場合は、当然ながら移植が原因です。動物からも感染しますが、ウイルスと違って唾液や血液に大量に含まれるものではない(微量に含まれる)ので、犬や猫がプリオン病を発症していたとしても噛まれたり舐められたりして感染するリスクは低いです。

しかし、問題になるのは食肉とされる動物に発症した場合です。BSE(牛におけるプリオン病)で話題になることがありますが、牛や羊などの食肉において大きな問題とされています。異常プリオンはタンパク質ですが、加熱したり殺菌消毒しても感染を防ぐことはできず、プリオン病を発症した生物の食肉利用はほぼ不可能です。

異常プリオンというタンパク質を食べなければ大丈夫なら感染が広がるリスクは低そうですが、発症したら必ず死亡する上、感染メカニズムが完全に解明されているわけではないため、感染症に準じた扱いがなされ、食肉の大規模な輸入規制などに繋がっています。

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