電子書籍と紙の本は全く別物?情報媒体の収斂進化と実は無意味な代替論争

情報媒体の収斂進化?電子書籍と紙の本は全く別物

1510285(竹で出来た本である竹簡_Wikipedia

収斂進化とは、全く別の系統の動物が似たような環境で進化した結果似たような動物に進化する現象のことで、「魚類のサメと哺乳類のシャチ」が全く別の種族であるにも関わらず姿が似ていたり、「哺乳類のコウモリと鳥類」が翼を持ち空を飛ぶことが出来るというのが良い例です。

電子書籍と紙の本というのもある意味では、「情報媒体の収斂進化」と呼ぶことが出来るかもしれません。

本と言うのは、石版に書かれていた文字や絵が木や竹に書かれるようになり、それが束になって本となり、竹や木が羊皮紙に変わり、最終的に紙が使われるようになって今の形になりました。

同様に電子書籍も、パンチカードなどに書かれていた情報が磁気データに保存されるようになり、磁気データで記述されたテキストデータや画像データがPDFなどになり、本のように読めるような形で提供されるようになって電子書駅になったのです。

環境に応じて自律進化してきた動物たちの本当の収斂進化と違って、人為的に書籍の形にされた双方ではありますが、「人間の需要」という環境に合わせて進化してきたと考えればどちらも独自の進化を遂げたと言えるでしょう。

そもそも、扱いやすさを考えなければ、文字や絵は壁や地面に並べて読んでも良かったはずですし、巻物のように長い紙に残しても良いはずです。また、デジタルデータの文章は、著作権や利便性を無視すればWebサイトのコンテンツとして無造作に並ぶ文章として読んでも良かったはずですし、漫画はjpgをクリックしながら読めば良いはずです。

しかし、どちらも最終的には「書籍」という、ページをめくりながら情報を見る形に進化しました。

人間の需要に合わせた結果ではありますが、別々の起源を持ち、別々の理由や目的を持って進化してきた2つの書籍は、果たしてどちらかがより優れていて、どちらかを代替するなどということが出来るのでしょうか?

電子書籍は紙の本を代替することは出来るのか?

収斂進化を遂げた生物たちは、生態や生態的地位が似ているため、何らかの理由で同じ地域に生息する様になった場合、より優れた方が劣った方を駆逐して劣った方を絶滅させてしまうことがあります。実際、オーストラリアに住む有袋類のフクロオオカミ(狼に似た有袋類)が、人間の犬によって滅ぼされています。

もちろん、互いに全く別のルーツを持つような場合は、それを活かして微妙にずれた生態的地位を獲得して生き残ることも多く、サメとイルカのように収斂進化を遂げた2つの生物が同じ場所で生きていく場合も多々あります

果たして、紙の本と電子書籍ではどうなのでしょうか?

哺乳類という似たようなルーツを持つ有袋類が有胎盤類に追いやられてしまうように、ルーツが似ていたり、上位互換としての能力を持つと劣った方は滅んでしまいます。紙の本自身も、竹簡や羊皮紙の本を駆逐した上で今の情報媒体の地位を獲得しました。

電子書籍と紙の本が提供するサービスは非常に似ています。どちらも、記述した情報を第三者に伝達する能力を持っていて、ページ毎に記述され、情報の形態は「人が目で見る文字や絵」です。

新しく出てきた電子書籍が紙の本と全く同じニーズを満たしているのであり、一見すると紙の本は駆逐されるように思われそうです。しかし、羊皮紙と紙の関係とは違い、電子書籍のルーツはあまりにも紙の本とは異なっています。

物体として存在せず、単体で情報媒体として成り立たない上、長期的な保存方法が確立していないのです。他にも違いを挙げると数知れず、「電子書籍では満足できない」という人が多いのはこのためです。

それもそのはずで、これらの2つは全く別のルーツを持つ全く別の情報媒体であり、電子書籍はあくまで「書籍のようにデジタルデータを提供」しているだけであり、紙の本に代わるものとして作られた情報媒体ではありません。

紙の本の上位互換とは?

では、羊皮紙や竹簡がなくなってしまったり、レコードやカセットテープが消えてしまったりしたように、紙の本を駆逐するような媒体というのはどのような情報媒体なのでしょうか?

電子書籍にヒントがありそうですが、まずは「紙に代わる情報媒体」を見つけなければなりません。

では、電子ペーパーはどうでしょう?

上位互換というのは、下位の特性を全て受け継いでいる必要があるため、最低限「書き込みが容易」で、「改ざんが困難」で、「長期保存と量産が可能」な「モノとして存在する」媒体である必要があります。

電子ペーパーはモノとして存在しますし、書き込みや改ざんに関してはプログラムのやり方次第でなんとか出来そうですが、長期保存には課題が残ります。情報自体を残せるようになっても、電池が必要な間は難しいかもしれません。

しかし、それでも光や体温などで電気を作って動くようになり、磁気にも強くなり、紙のように柔軟になれば紙の代替に成り得るはずです。

そして、電子ペーパーが数百枚挟まれた電子ペーパー書籍などが登場し、一冊に複数の本のデータが入るようになり、装丁や質感もスマホのようにカスタマイズ出来るとしたらどうでしょう?

薄くて持ち運びがしたい人は常に数枚を折りたたんで持ち運び、分厚くても質感や一度に参照できる情報量を重視するなら分厚い本として使えば良いのです。紙の本が磁気の影響を受けないように電子ペーパー本も磁気の影響をほとんど受けず、水や火にも強いとなれば紙の本は完全にお払い箱でしょう。

まだまだその日は遠そうですが、電子書籍が紙の本の代替にならないからといっていつまでも紙の本の天下が続くとは限りませんね。