レーダー波の吸収・反射を極めたステルス航空機のしくみ-ステルス(3)

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ステルス機の完成形

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(F22_USAF

ステルス形状だけを追い求めていると飛行能力を失います。また、拡散する電波の性質を考えれば形状だけでは不十分で、機体の素材にも電波のエネルギーを吸収するような素材が必要でしょう。

上図のF22は、そういう意味では全てを兼ね備えたステルス戦闘機だということが出来ます。

戦闘機として格闘性能も高く、ステルス性能も抜群です。しかし、F117に比べると丸みを帯びていて、思ったほど角ばった作りにはなっていません。

というのも、実のところレーダー波を反射して返してしまう機体の部位というのは比較的限られた部位だけで、F117のように機体のどこにレーダー波が当たっても大丈夫なんていう作りにする必要はありません。

気をつける部分は意外に限られています。空気の取り入れ口のような穴は電波が入り込んだら乱反射して飛び出して行きかねませんし、コックピットに入り込んだ電波もコックピット内の電子機器に乱反射して飛び出して行くでしょう。

一番怖いのは角度のキツい鋭角部分。翼の縁や機体先端部、装備を取り付けるための出っ張りなどが特に危険です。尖った部分に電波が当たるとかなり綺麗に拡散し、一部は確実にレーダーのある場所に返っていきます。

アンテナをイメージすると分かりやすいですが、尖った場所から飛んで行く電波は広範囲に広がってしまいます。

鋭角というのは翼を持つ航空機であれば多かれ少なかれ出来てしまうため、この部分を如何に緩やかにするかが求められるでしょう。

その点でB2爆撃機などは鋭角も取り払っている上に尾翼がなく、吸気口も上部に取り付けられているので地上からのレーダーで発見するのはほぼ不可能です。

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(B2_USAF

B2爆撃機は航空機としてはかなり飛びにくい部類に入りますが、B2爆撃機はアレだけ角ばっていたF117よりもステルス性が高いです。

また、B2爆撃機はステルス性を損なう尾翼がない全翼機ということもあり、古くて大きな機体でありながら最先端のF22と同等のステルス性があるとされています。特に、地上レーダーに対するステルス性に関してはB2の方が上でしょう。

一方、F22は最先端の電波吸収体を用いて鋭角部分で反射してしまう反射波を極限まで抑制し、レーダーの反射波は昆虫以下(同じ大きさで比較した場合)だとされています。F22が自衛隊で運用しているF15戦闘機の十万分の一以下のレーダー反射面積となっていることからもその実力が伺い知れます。

総合的なステルス性は判断できない

本記事でご説明したステルス性というのは、全て電波に対するステルス性です。

熱、いわゆる赤外線探知に対するステルス性は考慮されていません。ジェット機である以上ステルス航空機の排熱はかなりのもので、赤外線探知機で探すとステルス機でもあっさり見つかってしまうことがあります。

模擬空戦でF22が撃墜されてしまった時も、相手のパイロットはF22の排熱を感知したそうです。

なんとか排熱を抑えられたとしても、無人機開発競争が熾烈になっているこの状況では下手をすれば目視(可視光カメラ)で発見されることすらあるでしょう。

映像認識の技術も高くなっており、レーダー波や赤外線ではなく、「目標の形状を記憶して追跡するミサイル」が出てくるのも時間の問題です。

レーダーに対抗するステルス技術は21世紀初頭にしてかなり極められています。今後の航空機は当たり前の様にステルス性を備え、今後の空戦はレーダーに頼らないものになるかもしれません。

そうなれば、第二次世界大戦のような有視界での機関砲の打ち合いなんかも起こるでしょう。

その時は光学迷彩で透明になるステルス機などが出てくるのでしょうか?