日本武士と西洋騎士の強さを徹底比較(2):鎧・甲冑の防御力と重量と動きやすさ

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前の記事で、日本の武士と西洋の騎士の武器について比較しました。それぞれ特徴があり、武器だけを見てもどちらが強いかは分かりません。合わせて5項目(武器、防具、適応力、戦術、費用)で比較を行っていく中、本記事では「防具」「適応力」について比較をしていきます。

武士と騎士の鎧の性能について比較する

武士の鎧

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上の写真は当世具足と呼ばれる武士の鎧の一形態で、武士が使っていた鎧の中では最も優れた防御力を持っていました。高い防御力を持ちながらも製造が容易で、軽くて動きやすいという特徴を持っています。

様々なバリエーションがありますが、基本的な構成は上の写真と変わりません。最も高い防御力を誇る胴当ての下に数枚の金属板を組み合わせた垂れがついており、太腿を保護しつつ足の動きを妨げないようになっています。また、同様の構造で肩にも装甲がついており、肩や上腕を保護しつつ自由に腕が動くようになっています。

さらに、籠手や脛当てで腕や脚を守っていますが、これは肘・膝から下を覆っているだけで、上腕部や太腿には装甲がありません。手には手甲、足は甲掛という防具を着けます。

兜は頭部を完全に覆う鉢状の部位に首を覆う垂れがついています。これも完全に首を覆ってしまうことがなく、首は自由に動きます。これに顔面を覆う頬当がつき、全身を守る武士の鎧が完成します。

見れば分かりますが、結構隙間があるので比較的攻撃は通ります。兜と胴に関しては鉄壁ですが、局所的に装甲が薄い部分があり、首周りや脇は致命的な弱点になるでしょう。首周りへの斬撃や脇への刺突が効果的です。また、垂れで覆われているものの上腕部と太腿には装甲がなく、斬撃も十分通ります。

ただし、打撃武器を使う場合には装甲が体に完全に密着していない首周りや肩への衝撃は鎧に吸収されてしまう可能性があるため、素直に兜や胴を狙って一撃を喰らわせる必要がありそうです。

胴と兜に関しては矢を弾きますが、それ以外の部位に関しては矢の威力を軽減するに留めるでしょう。当たり方によっては弾けるでしょうが、過度な期待な禁物。

当世具足は防御力にはやや隙がありそうな鎧ではありますが、上腕部と大腿部に殆ど装甲を纏っていない事で非常に体を動かしやすい鎧になっています。装甲的にはやや脆弱な感があるものの、重量は20キロ未満と軽量で動きやすいため、様々な武器を扱いやすい鎧です。

騎士の鎧

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上の図は中世後期に使われたフルプレートアーマーです。

頭と首周りを完全に覆う兜に、肩と腰をしっかりと覆う胴鎧。それだけではなく、腕部も脚部も完全に金属製の装甲で覆われてしまっています。金属製の鎧でほぼ全身が覆われており、まさに鉄壁と言って良いでしょう。

実は薄っぺらいかというとそうでもなく、装甲で覆われている部分をロングソードで斬りつけてもびくともしません。まず、斬撃は全く通用しないと見て良いでしょう。これは刀でも同じです。刺突であれば可能性はありますが、装甲の上から貫くためには相手の中心を突く必要があり、相応の技量が要求されます。

さらに、武士の鎧では弱点になっていた脇や首筋もかなりしっかり覆われており、隙間を狙って刺突を通すのは容易ではありません。遠距離からの矢は殆ど弾きますし、至近距離から矢を放たないかぎり有効な攻撃はできません。ただし、ボウガンによる攻撃は有効です。

どうやって倒せば良いんだという話になりますが、プレートアーマーを着た騎士に有効な攻撃は「打撃」です。鎧が完全に体に密着しているため、打撃武器による衝撃がかなりダイレクトに体に伝わります。ロングソードや刀の衝撃では十分なダメージを与えられませんが、ハンマーやハルバードの衝撃力なら有効でしょう。また、騎兵によるハルバードやランスの刺突でも鎧を貫通します。

欠点といえば、重量と動きにくさです。重量は高度な軽量化技術を使ったもので最低20キロ、重いものでは40キロ以上あったそうです。

40キロというと小柄な女性を背負っているようなものですが、ただ歩くだけなら問題ありません。現代兵士もそれぐらいの装備を持って歩いていますし、騎士というだけあって馬に乗って移動します。倒れたら起き上がれないという話もありますが、それは競技用・儀典用で無駄に分厚い甲冑のことです。実際に戦闘に使われていたフルプレートアーマーでは、意外に軽快に動くことが可能です。

とはいえ、軽快に動くために必要な体力はかなりのものです。短距離走の選手をイメージするとわかりやすいのですが、短距離走の選手は普通の人間からすると信じられない速度で動きますが、その速度で長時間動くことは出来ません。フルプレートアーマーも同じで、軽快に動き続けることはかなり難しいようです。

(次ページ: 比較と結果)