スマホ運転、漫然運転、スピード違反、飲酒運転の中でどれが一番危険?

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交通事故の原因には色々あります。ちゃんと運転していても事故を起こしてしまうことはありますが、「スマホを見てた」「ぼんやりしてた」「スピード出してた」「酔っていた」なんて聞くとガッカリしてしまいます。これらは運転手に明らかな過失がある事故原因の一例になります。どれも危険な運転で注意が必要なことには変わりありません。

しかし、どれが一番危険なのでしょうか? 事故原因の統計や最近の研究などから調べて見ました。

警視庁の統計から事故原因を調べてみる

警察庁の「平成26年中の交通事故の発生状況」のデータを見てみます。

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(平成26年中の交通事故の発生状況_警視庁より)

今回の比較対象であるスマホ運転は「脇見運転」に含まれます。ぼんやり運転は「漫然運転」のこと。スピード違反運転は「最高速度違反」で、飲酒運転は「酒酔い運転」となります。まずは、それ以外の事故原因を「危険な運転」から除外する理由をご説明します。

事故原因の大半が「安全不確認」だということが分かりますね。安全不確認というのは単純に「周囲を確認せずに車を出してしまった」とか、「横に車がいるのをチェックせずに曲がってしまった」とか、そういう類の事故原因です。安全不確認も運転手の過失があるのは間違いありませんが、沢山の車が一度に行き来する中で全ての車をチェックするのは能力的な問題もあります。また、安全不確認には「歩行者の突然の飛び出し」や「自転車の突然の飛び出し」なども含まれおり、運転手だけが悪いとは言えないものも多いです。危険な運転には変わりありませんが、運転手が注意していれば100%回避出来たとは言い切れないので除外します。

また、車や歩行者の動きに注意してなかったなどの「動静不注視」は車や歩行者の不規則な動きや予想外の動きなどで引き起こされることもあり、運転手が確実に改善可能な過失とは言え無さそうです。「運転操作不適」は運転が下手だったという話。練習してこいと言いたい所ですが、技能には個人差があるもの。運転するなというのも可哀想なので、危険な運転には含めません。

こうしてみると、今回の比較対象の中では漫然運転と脇見運転の事故率が高いことが分かります。脇見運転には「カーナビを見ていた」とか、「道を探していた」とかが含まれますので、全てがスマホ運転とは言えません。

それでは、事故件数の少ない「スピード違反運転」や「飲酒運転」は事故に繋がる危険な運転には含まれないのでしょうか?

死亡率に大きな差がある

運転が危険かどうかを「事故件数」だけで決めるのは間違いです。なぜなら、事故につながりやすい事故原因というのがあるからです。同じく警視庁の統計から死亡事故について調べたものをピックアップしました。

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(平成26年中の交通事故の発生状況_警視庁より)

まず、統計的に最も死亡件数が多いのは「漫然運転」です。事故件数の多かった安全不確認の死亡事故の割合は少ないですね。そして、脇見運転がそれに続いて死亡件数2位にランクインしています。ぼんやり運転とスマホ運転が危険な運転であることは明らかです。

注目するべきは「最高速度違反」の死亡事故率です。死亡事故率というのは、違反件数に対する死亡事故件数の割合になります。それがなんと、最高速度違反による死亡事故率は20%近くとなっています。件数こそ少ないものの、死亡事故の件数がとんでもないことになっていますね。

他にも「通行区分違反」などの死亡率も高いです。「歩行者妨害」の死亡率が高いのは相手が歩行者に限られているからでしょう。漫然運転の死亡率は1.5%と高めになっており、やはり危険な運転であることが分かります。一方、脇見運転の死亡率は0.56%と少々低めですね。スマホ運転以外も含まれているので、これだけではスマホ運転の危険性はなんともいえません。

飲酒運転は特に別格の死亡事故率

ここまでの統計では、飲酒運転があまり出てきませんでした。実は「飲酒運転」にはいくつか区分があり、最初の統計に含まれている「酒酔い運転」はその中でも特にお酒を飲み過ぎてべろべろの状態を指しています。「酒酔い運転」よりも程度の低い飲酒運転については別に統計が出されていましたので、さっそく見てみましょう。

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(平成26年中の交通事故の発生状況_警視庁より)

これを見てみると、飲酒運転の死亡率の平均値は5.46%とずば抜けた数値です。また、特に重度の酒酔い運転ともなると11.79%と倍に跳ね上がります。ちなみに、検知不能は運転手本人が死亡していたようなケースやすぐに病院に搬送されてしまったケースでしょう。

飲酒運転の厳罰化に伴い、事故件数がかなり減っている事が分かります。酒酔い運転の死亡率が下がっているのは単純に車の安全対策の向上のおかげでしょう。飲酒運転にかぎらず、交通事故による運転手や同乗者の死亡率は下がっています。

(次ページ: スマホの運転はどれくらい危険なのか?)

スマホや携帯を使っての運転はどれくらい危険なのか?

ここまでの統計で、「スピード違反」と「飲酒運転」が非常に危険な運転であることはよく分かったと思います。「漫然運転」も事故件数と死亡事故率が比較的高く、危険な運転だと言えそうです。では、スマホ運転はどうでしょう? 

脇見運転の事故件数は多かったものの死亡事故率はそれほど高くありませんでしたし、その中の何割がスマホによるものなのかはっきりしません。さらに言えば、スマホの使い方によっては「脇見運転」ではなく、「漫然運転」に含まれてしまうこともあります。

警視庁の統計とは別ものになりますが、交通事故総合分析センターの統計が見つかりましたので引用します。

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携帯電話等の使用が要因となる事故の分析_交通事故総合分析センター)

統計の取り方が少し違うので一概には言えませんが、スマホ使用時の死亡事故率が非使用時に比べて4倍から8倍になっていることがわかります。「スマホを見る事故」と「電話する事故」で分けられていますが、合わせると死亡事故率が10%を超えています。これは飲酒運転並の危険度です。

事故件数は1700件程度となっており、スピード違反以上飲酒運転未満というところでしょうか。ただ、この辺は統計の取り方が違うので正確にはわかりません。

また、スマホを使いながらの運転によって運転能力が著しく下がる事がヒューストン大学の調査によって分かっています。これによると、考え事などをしている漫然運転よりも運転能力が低下することが分かっており、ぼんやり運転や考え事運転よりもスマホ運転が危険な事が分かります。

ここでは「運転以外の手の動き」が運転能力の低下とされているので、Bluetoothヘッドセットを使ったハンズフリー通話ならそれを抑えられるはずです。法律でもハンズフリー通話は許可されているので、車を止めてハンズフリーにしてから運転を再開すると良いでしょう。

結果的には何が一番危険な運転?

「ぼんやり運転」や「考え事運転」を含む漫然運転の事故件数などは高かったものの、スピード違反・飲酒運転・スマホ運転に比べるとまだマシだと言えそうです。とりあえず、4位は確定ですね。しかし、その他は問題です。スピード違反は死亡事故率が高いものの事故件数が最も少なく、件数は少なく事故率がそこそこ、飲酒運転は件数が多いです。

あくまで私の判断となりますが、危険な運転をランク分けするとこのようになりました。

1位:飲酒運転
2位:スマホ運転
3位:スピード違反
4位:漫然運転

飲酒運転を1位としたのは事故件数の多さとその特性からです。死亡率は上位3位の中では低めでしたが、判断力の低下によって「スマホ運転」や「スピード違反」を誘発する危険性があります。正常な状態ならスマホを使わなかったのに、スピードを出しすぎなかったのに、飲酒をしていたから「スマホを使った」「スピードを出しすぎた」というのは、十分に起こりえる事でしょう。そう考えてみると、最も危険な運転であるといえます。

2位と3位は迷いましたが、事故件数がスピード違反による事故件数を超えていたことと、画像目的でスマホを使った場合の対人事故での死亡率がスピード違反を超えていたのが決め手です。通話や地図検索で緊急性があったなら多少は同情の余地もありますが、LINEやTwitterなどを使っていて事故を起こすというのはさすがに許容できません。

3位のスピード違反は死亡率事故率が極めて高く非常に危険な事は明らかです。ただ、スピード違反の実態に比べて事故件数が少ないことから、スポードを出しすぎることによる事故率というのはそれほど高く無さそうです。スピード違反が常態化している道路も多く、危険な運転ではあるものの、飲酒運転やスマホ運転に比べれば多少はマシと考えても良いでしょう。

4位の漫然運転は死亡事故率が他に比べると低いので、この4つの中では最下位になりました。しかし、事故件数は圧倒的ですし、その他の事故に比べると死亡事故率は高いです。単純に今回の比較対象に上がった事故原因が凶悪過ぎただけでしょう。

この順位はあくまで私の判断です。3位や4位だからといって安全だと言っているわけではありません。むしろ、ここで紹介した4つは全て極めて凶悪な危険運転です。それに敢えて順位をつけたというだけの話。4つとも絶対にやってはいけません。

この順位を何かの参考にするなら、全ての危険運転を平気でやっている超悪質運転手の教育時かもしれません。運転免許を取り上げた方が早いですが、それはそれで無免許運転が始まりそうです。1位から順番に注意しながら、なんとか更生させましょう。