弾道ミサイル防衛を素人向けに解説(前編)-スタンダード・ミサイルとGBI

Pocket

艦船から迎撃する-「スタンダード・ミサイル」

160525-O-AO981-004 HAWAII (May 25, 2016) The Missile Defense Agency and U.S. Navy sailors aboard USS Hopper (DDG 70) successfully conducted two developmental flight tests of the Standard Missile-3 (SM-3) Block IB Threat Upgrade guided missile off the west coast of Hawaii. The flight tests, designated Controlled Test Vehicle (CTV)-01a and CTV-02, demonstrated the successful performance of design modifications to the SM-3 third-stage rocket motor (TSRM) nozzle. The results of these flight tests will support a future SM-3 Block IB production authorization request. This imagery is from the first developmental test conducted on May 25, 2016, designated as Controlled Test Vehicle (CTV)-01a. (U.S. Navy photo by Leah Garton/Released)

この二つの問題を解決するために開発されたのが、スタンダード・ミサイル3(SM-3)です。

この前段となるスタンダード・ミサイル2(SM-2)は戦闘機や対艦ミサイルなどを迎撃する「対空ミサイル」であり、高い機動性を持っていました。

それを大幅に改良したスタンダード・ミサイル3では、大気圏外でも動きがコントロールできるように弾頭部分に制御用のガス噴射装置などが取り付けており、人工衛星などと同じ要領で位置を調整します。

これにより、大気圏外を飛翔する弾道ミサイルに合わせて完璧な位置調整をすることができるようになっており、弾道ミサイルに直撃させる事が可能になりました。

また、超高空まで飛翔するためのロケットエンジンが取り付けられていて、弾道ミサイルよりも小型でありながら素早く弾道ミサイルと同じ高さまで飛翔する事が可能になっています。

非常に優秀な迎撃ミサイルなのですが、スタンダード・ミサイル3はやや大型なミサイルです。しかも、大気圏外を飛ぶミサイルを追跡するためにかなり大きなレーダーとそれを運用するためのシステムが必要であり、今のところイージス艦などにしか搭載されていません

これ一つであらゆる弾道ミサイルが迎撃できるというわけではありませんが、北朝鮮が扱うようなミサイルであれば十分に対応可能です。性能と扱いやすさのバランスがとれており、最低でもイージス艦が一隻あれば良いというのは大きな強みです。

地上から迎撃する-「GBI」

GM-CTV-02_002スタンダード・ミサイルの地上型も目下開発中ですが、他に地上から迎撃する方法はないのでしょうか?

もちろんその方法も存在します。日本では運用されていませんが、弾道ミサイルと殆ど同じサイズの巨大な迎撃ミサイルが米国で運用されています。GBIと呼ばれているものですが、もはや「弾道ミサイルで弾道ミサイルを迎撃する」というレベルです。

基本的には米国本土防衛を主眼に開発されているため、迎撃する対象は大陸間弾道ミサイルと呼ばれる弾道ミサイルの中で最も強力なものを想定しています。これは他の弾道ミサイルよりも高速且つ高高度を飛んで行くため、スタンダード・ミサイル3での迎撃は難しいです。

当然、地上や海上からのレーダーでミサイルを早期に捕捉するも難しいため、ミサイルの探知や追跡には大型レーダーを搭載した航空機(早期警戒機)や偵察衛星、巨大なレーダー艦船が利用され、収集されたデータを分析して迎撃ミサイルを発射します。早期警戒衛星やレーダー施設が充実している米国ならではの兵器と言えるでしょう。

あらゆる弾道ミサイルを迎撃できるポテンシャルを持っていますが、迎撃ミサイルが馬鹿でかい上、「迎撃ミサイル発射施設」「追跡用レーダー」「管制システム」などを別々に運用する必要が出てくるため、非常に扱いにくいのが欠点です。

後編: 「パトリオットとTHAADミサイル」 へ続く)