F35は本当に使える戦闘機なのか? 誤解を紐解くと意外な結果に -F35特集(3)

F35は価格が高くて見合わない

ソフトウェアのバグがそのうち無くなるとしても、速度が遅いように見えて他の従来機とさほど変わらないとしても、1機100億円以上の価格に見合うかどうかは別の問題です。これは計画時の倍以上の価格であり、購入する側からすれば高すぎと感じるのも無理もありません。

ところが、自衛隊が配備しているF15やF2も100億前後の価格の戦闘機であり、実は最新鋭戦闘機のF35とあまり価格が変わらないのです。高い高いと言われる割にそんなに高く無い上に、性能的には明らかに高性能ですので価格に見合った性能があるといえます。

では、なぜ高い高いと言われてきたのでしょうか?

その理由の一つが元々の価格設定が安すぎたことにあります。F35は同じく小型のマルチロール機(汎用機)であるF16の後継機という位置付けですが、F16は20億前後で購入できる極めてコストパフォーマンスの高い機体です。それに合わせてF35を50億前後の価格設定にしたので、現実に見合わずどんどん高くなっていったのです。

そして、上がり続けた価格が150億を超えたことで大騒ぎになります。価格はメーカーが提示するものですが、流石に3倍の価格を国が受け入れるわけにも行かず、米国のトランプ大統領が強く要求し、価格が100億に収まるようになりました。

そんなに下げたらメーカーが赤字になりそうですが、F35の価格の大部分は「開発費」です。このため、価格設定は「開発費を何年で回収するか」というメーカー側のプラン次第で大きく変わります。5年で回収しようとすると価格は高くなりますが、10年で回収するプランにすればぐっと安くなります。

もちろん、開発費や製造コストを削減することでも圧縮できますし、価格を下げて販売数を増やす戦略も取れるでしょう。また、F35は世界中の国々が購入予定の機体であり、ロングセラーになることが予測されています。開発費が高騰したからと言って、無理に価格を上げなくともメーカー的にはそれほど大きな負担にはならないかもしれません。

ステルスは時代遅れ?様々な対抗手段の存在

これはF35に限った問題ではありませんが、ステルス戦闘機の登場からステルス機を発見するための様々な技術が開発されてきました。ロシアは既にステルス対策として、複数のレーダーを同時に運用する対ステルス用の兵器の運用を始めており、ステルス機は脅威ではないと喧伝しています。

こうした兵器を用いることで本当にステルス機を発見することができるようで、最先端のはずのステルス機が既に時代遅れになっている可能性も浮上してきました。

これからステルス機を導入しようという日本からすれば恐ろしい話ですが、忘れてはいけないことがあります。それは「ステルス機を発見できること」と「ステルス機を撃墜すること」は別の問題であるということです。

ステルス機はレーダー波を乱反射させず、特定の方向に揃えて反射させることで発見されてないようにしています。ステルス機はレーダー波を透過するわけでもなければ、全て吸収しているわけでもありません。どこかしらにレーダー波は反射していきますし、その反射波を捉えればステルス機でも見つけられます

対ステルス機用のレーダーでは、複数のレーダーを同時に運用することで「別の方向に揃えて反射させたレーダー波」や「僅かに返ってきたレーダー波」を検出できるようにしており、従来のレーダーに比べると飛躍的にステルス機を見つけやすくなっています。

十分凄い技術なのですが、ミサイルで撃墜するにはレーダー波を照射し続けなくてはなりません。ステルス機はレーダー波を当てる際に見つけやすい角度と見つけにくい角度があり、ステルス機の角度や位置が少し変わっただけで見つけにくくなります

また、複数のレーダーを用いて発見する技術はまだ地上用レーダーでしか使えず、空で使える段階には達していません。ミサイルに搭載している貧弱なレーダーでは追跡も難しいため、地上用レーダーがステルス機を捉え続けて誘導しなければならないのです。

つまり、ステルス機を撃墜するためには「発見」「追跡」「ミサイル発射」「ミサイル誘導」のプロセスを経て着弾させなければならず、いくら対ステルス機用のレーダーを使ったとしても、その全てのプロセスでステルス機を正確に補足し続けることはかなり難しいと考えられています。

そうなると、現実的なF35の撃墜方法は目視できるレベルにまで近づいてF35の苦手な格闘戦を挑み、ミサイルや機銃で仕留めることしかありません。それならば、F35は近づかれる前に倒せば良いので、まだまだやりようはありそうです。

問題はお互いに発見できないステルス機同士の戦いでしょう。F35はレーダー情報を共有できるので、空中で複数のレーダーを用いた対ステルス機用のレーダー網を構築することができますが、前述の通りそれだけでは不十分なのです。

お互いに目視できる距離で格闘戦をした場合、機動性に難があるとされるF35は不利です。むしろ、更なるステルス機対策が必要なのはF35なのかもしれません。

F35の問題点は杞憂に終わる?

このようにF35の問題点について触れてきましたが、こう考えてみると、意外にF35の問題点というのは深刻なものではないことが分かります。バグだらけと言っても、順調にバグは減らされているようですし、速度が遅いと言っても許容範囲内。価格も予定よりは高くなりましたが、性能に見合う価格と判断して良いでしょう。

ステルス機同士の戦いはF35にとって脅威ですが、F35レベルのステルス性を持った格闘戦に優れた戦闘機はF22だけなので、米国と戦う場合を除いて心配は要りません。

また、自衛隊の場合には対地攻撃ができる機体が少ないことが欠点として挙げられており、対地攻撃に優れたF35の導入は十分に理に適っています。対空戦闘においても、ステルス性の低いF15の代わりを務めることは十分に可能です。

ここで問題があるとすれば、F35以外の戦闘機ではダメなのかということです。しかし、ステルス性能を考えると世界最高水準のF35以外に選択肢はありません。周辺国がステルス機を揃え始めた中で、ステルス性の低い機体を選択肢に入れることは難しいでしょう。

最近では、いずも型を改修してF35の艦載型(F35B)を搭載しようという動きもあります。艦載運用については次回説明しますが、F35の重要性は今まで以上に高まるかもしれません。