3Dバイオプリンタ、臓器を「プリント」できる技術の今と未来

数年前から少しずつ聞かれるようになった新興テクノロジーのひとつに、3Dプリンターがあります。

今や価格も下がって個人で楽しむハードルが下がってきましたが、それだけではありません。金属素材を3Dプリンティングできる技術が確立し、今では航空機などの産業機械分野での活用も始まっています。のみならず今では住宅3Dプリンティングを行うスタートアップが日本でも立ち上がるなど、社会にどんどん浸透してきています。

こうした3Dプリント技術導入の流れは医療にも及んでいます。生物の臓器や体組織を3Dプリント技術で作り出す、3Dバイオプリンティングと呼ばれる技術がそれです。本記事では、3Dバイオプリンティングの概要と手法、そして今後の展望について解説していきます。

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バードストライク対策:たかが鳥と侮るなかれ、鷹に犬に芝刈りに

飛行機と鳥が衝突する事故は「バードストライク」と呼ばれ、日本だけでも2018年に1400件ほど起きています。

世界的に見れば、2008年から2015年の間に10万件近い事例が報告されており、2011年から2016年までの6年間でバードストライクが引き金となった事故が17件起きています。映画『ハドソン川の奇跡』の題材になったUSエアウェイズ1549便の事故もそのひとつ。

一歩間違えれば重大事故につながるバードストライクへの対策はあるのでしょうか?この記事では、アメリカ海軍で実際に使われているマニュアルを参考に、具体的な対策について紹介していきます。

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虫を食べない?食虫植物の不思議な共生関係の秘密

動物同士、あるいは植物と共生する動物がいます。ディズニー映画『ファインディング・ニモ』でも描かれたクマノミとイソギンチャクのように、生存率を上げるための戦略として自然界ではたびたび見られます。

そうした事例を見ていくと、虫を捕まえて「食べる」食虫植物の中にも、虫や哺乳類と共生する種類が見つかります。特にウツボカズラという食虫植物は、さまざまな種類の生き物と共生する例が見つかっている、いわば代表格。

この記事では、他の生き物と共生するウツボカズラについて見ていきましょう。

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強くなるだけが進化じゃない!カイコに見る本当の適者生存の意味

きめ細やかで手触りのよい絹製品は昔から高級品として扱われてきました。

その絹製品を作り出すカイコもまた、人類と長く関わってきた歴史があります。

カイコを育てて絹を取る養蚕の長い歴史の中で、カイコという生き物そのものが野生種から大きくかけ離れた姿に変容していきました。この記事では、野生種と比べたカイコの特徴と生態、そしてカイコを現在の姿に変化させた進化のメカニズムについて見ていきます。

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タコの知能と町づくり-群れは生物に何をもたらすのか?

2017年9月、何匹ものタコが集まって暮らす「町」が発見されたという調査報告が発表されました。タコは本来単独行動をする生き物です。それが群れで集まって集団生活をしているという調査報告は驚きをもって迎えられました。タコたちはどのようにして社会的行動を学んだのでしょう?

それに迫るべく、タコの知能について、タコたちが作った「町」について、そして生物が群れで集まって暮らすことの利点について探っていきましょう [—続きを読む—]

「自然」はどこまで「自然」? 遺伝子操作が変える環境保護のあり方

野生の草木や野生の動物など、人間の手を借りなくてもそこにある生物だけで生態系が維持されている環境をわたしたちは「自然のもの」と呼んでいます。

ここでもし人間が「作り出した」生物が生態系に入り込んで増えていき、野生の動植物と混ざり合って維持管理に一役買ったとしたならば、それはどこまで「自然のもの」だと言えるのでしょうか? 

シンセティック環境保護(Synthetic Conservation)という考え方が普及すれば、「自然」の意味が変わってくる未来があるのかもしれません。

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寄生虫フィラリア-オンコセルカ症や象皮病を引き起こす人を狙った寄生虫の生態とは?

フィラリアという寄生虫をご存知でしょうか?

今日の日本では滅多に見られなくなった寄生虫ですが、かつては日本でもよく見られ、あの西郷隆盛が羅患していたことでも知られています。また、現代でもアフリカ大陸を中心に広く発生している寄生虫であり、フィラリアの一種である回旋糸状虫によるオンコセルカ症の治療薬を開発したことで大村智さんがノーベル賞を受賞したことでも話題になりました。

そんなフィラリアにも様々な種類がありますが、その多くが蚊・ブユなどの吸血生物を媒介にして感染を広げていく特徴があります。そして、中には人間だけをターゲットにした恐ろしいフィラリアもいて、感染後に適切な処置を施さないと重篤な疾患を引き起こし、人間にとっては非常に危険な寄生虫です。

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カンガルーやコアラの生態、有袋類の変わった子育て

動物園にはカンガルーやコアラという可愛らしい動物がいます。彼らはお腹に子育てのための袋を持ち、イヌやネコ、サルやシカなどとは大きく変わった子育てをするのですが、その細かなプロセスについてはよく知られていません。

実は、カンガルーやコアラは、哺乳類は哺乳類でも「有袋類」という特殊な種に分類される哺乳類です。地球上の哺乳類の9割以上が人間やイヌ・ネコと同じ有胎盤類に分類される中で、彼らの生態は私達がよく知る動物からかけ離れています。

そんな有袋類の子育てについて、簡単にご紹介いきましょう。

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鳥と昆虫の飛行とホバリングの秘密(後編):ハチとハチドリの驚くべき高速羽ばたき

トンボやチョウが独自の飛行法を用いて空を自在に飛び、空中でホバリングするのに対して、ハエやハチはまた違った方法で飛行しホバリングを行っています。さらに、鳥であるハチドリの飛行法も他の鳥とは大きく異なる部分があるのです。

空気の流れを利用して揚力を生む事に特化した鳥の翼に対し、トンボやチョウを含め、ハチやハエのような昆虫類の羽は揚力を生み出す空気の渦を作る事に特化していることが知られていますが、実はハチドリはその両方の特徴を持っています。ここでは、4枚の羽を自在に扱うトンボや巨大な羽を大きく振り下ろすチョウとは違った、ハチやハチドリの飛行やホバリングの方法についてご紹介していきましょう。

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鳥と昆虫の飛行とホバリングの秘密(前編):トンボとチョウの独特な飛び方

ハチドリは世界でも最も小さな鳥です。全長は僅か6-20cm。体重は2-20gと圧倒的に小さい鳥です。サイズ・重量感としては、空き缶より少し小さいぐらいをイメージすると良いかもしれません。世界最大の飛行鳥であるコンドルが、全長1.2mで体重が10kgを優に越えることを考えると、如何に小さな鳥かが分かるでしょう。

そんなハチドリのもう一つの特徴が鳥類随一の「ホバリング能力」です。他に世界でホバリングが出来る生物は、昆虫類と航空機を開発した人類ぐらいでしょう。彼らはどのように飛行し、どのようにホバリングしているのでしょうか?

前編では「トンボ・チョウ」、後編では「ハチ・ハチドリ」について取り扱っていきます。また、鳥類の飛行能力については「飛ぶために進化する鳥達」でまとめて扱っておりますので、他の鳥達について詳しく知りたい方はそちらもご覧下さい。

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