近代潜水艦の始祖、電気Uボート:ドイツで生まれ、大国が追随した潜水艦のパラダイムシフト

潜水艦の形状や設計思想が今と昔で大きく異なっているのはご存知だろうか?

第二次世界大戦開戦当時、世界の潜水艦は浮上航行を前提として設計されていた。なぜなら、当時の潜水艦は潜航可能時間が短かかったため、潜航したまま長距離を高速で移動するなどと言うことは想定されていなかったからだ。航行速度も浮上時の方が早く、潜行時は半分以下の速度になってしまう。

しかし、現代の潜水艦は全て潜行時の速度のほうが早く移動できるように設計されている。原子力潜水艦はもとより、潜行中は電気推進に切り替わる通常動力型であっても潜行した方が素早く移動できる。これは潜水艦の設計思想が今と昔で大きく異なっているからだが、このパラダイムシフトは、実は第二次世界大戦のドイツで起こっていた。

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ヴァルター機関とは?第二次世界大戦時にドイツで生まれた非大気依存型推進(AIP)の先駆け

潜水艦の歴史は長く、17世紀にはすでにオランダの発明家コルネリウス・ドレベルが人力の潜水艇を発明している。
しかしディーゼルエンジンとバッテリーを併用する近代的な潜水艦が誕生したのはようやく20世紀に入ってからのことだ。これは浮上時にディーゼルエンジン、潜水時にはバッテリーで航行するというもので、原子力を使わない潜水艦ならば現在でも基本的な構造は変わらない。

これをもって潜水艦は一応の完成をみたといえるが、ここで吸気という大きな問題が立ちはだかった。
潜水艦が潜水時にバッテリーで動くのは、ディーゼルエンジンを動かすために必要な酸素が水中では取り入れられないためである。潜水時の動力には吸気が不要なバッテリーが使われるが、残念ながら移動できる距離は限られ、バッテリーの充電時には海上に出てディーゼルエンジンを動かさなければならない。これは潜水艦にとっては大問題。
これを解消しようという野望に燃えた人物が、1930年台のドイツに存在した。

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スターリングエンジンとは?そうりゅう型潜水艦のAIP推進機関は何故燃料電池ではないのか?

そうりゅう型潜水艦のAIP(非大気依存)推進機関には、スターリングエンジンと呼ばれる珍しいエンジンが発電機として搭載されています。

このエンジンは非常に燃費が良く、省エネで排気ガスも少ないエコロジーなエンジンとして近年注目され始めています。しかしその反面、パワー不足やエンジンの大型化などの問題を抱えており、未だに広く普及していません。

そうりゅう型潜水艦でも当初は燃料電池を搭載しようとしていたほどで、スターリングエンジンの採用はある意味仕方なく搭載しただけに過ぎませんでした。現場でもやたら場所を取る割には出力が出ないので使い勝手が悪いと言う不平も上がっているとか。

日本の自動車には燃料電池を搭載している車が既に存在し、ドイツの潜水艦でも燃料電池が採用されています。日本の潜水艦にも搭載できそうなものですが、では何故そうりゅう型には燃料電池ではなくスターリングエンジンが搭載されたのでしょうか?

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そうりゅう型潜水艦の性能と任務、日本の四海に潜み外敵を撃つ海自の切り札

そうりゅう型潜水艦が世界最高峰の通常動力型(原子力ではない)潜水艦として話題になっているが、その性能というのはどれほどのものなのだろう?

海自の潜水艦はその存在の重要性の割には、イージス艦や空母などの影に隠れイマイチ存在感がない。潜水艦なので海で存在感が全くないのは構わないのだが、陸の上・・・ひいては国民の心の中にも存在感が無いのは残念なことだったりする。

海自と言えば「イージス艦」ですが、そもそもイージス艦と言うのは米国が開発したシステムを使わせてもらっているだけで日本独自の兵器ではありません。しかし、海自のそうりゅう型は日本の技術を結集させた紛れも無く日本独自の最新兵器です。

本記事では、海上では最強のイージス艦ですら恐れる海自の最新型潜水艦について説明していきます。

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