「コンテンツは無料という思想」と「タダで提供されているという空想」

著作権を侵害しているとして、いくつかの違法サイトがブロックされました。これが著作権を守るためのアプローチとして正しいかどうかの議論も始まりましたが、注目すべきは違法サイトの利用者の反応です。

全てが全てではないのでしょうが、違法サイトだからブロックされたにも関わらず「コンテンツが無料で手に入るのが当たり前」という認識を抱くユーザーが一定層存在することが明らかになりました。そして、これは違法コンテンツの提供者も自身の活動を正当化する名目に使っており、ある種の「思想」になってきたとも言えます。そこでこうした思想の元になった「無料で提供されている」という空想について考えてみましょう。

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電子書籍と紙の本は全く別物?情報媒体の収斂進化と実は無意味な代替論争

「今年は電子書籍元年!」と元年が繰り返されて幾年が経ちましたが、最近になってようやく電子書籍市場も佳境に入ってきたと言えるかも知れません。楽天の調査ではありますが、「過去1年に電子書籍を読んだ人は4人に1人(CNET)」という報道もあるようで、電子書籍に触れたことのある人が増えてきていることが伺えます。

背景にはコンテンツの充実とスマートフォンやタブレットなどの利用可能端末の普及が挙げられます。すると、「将来的に電子書籍が紙の本に置き換わるか?」なんて話題が様々なメディアや評論家の間で議論されてきました。しかし、よくよく考えてみると電子書籍は「紙の本の上位互換」だとか、「紙の本より優れている媒体」だなんて言えないことが分かります。実は、電子書籍と紙の本はそもそも起源を別にしながら類似する目的・形態へと収斂進化を遂げた全く別の存在だったのです。

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