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今年も暑い・・・でも実は地球温暖化は緩やか。対策の効果?気温と海水温の関係

興味深い観測結果が明らかになっている。というのは、地球温暖化が緩やかになっていると言うものだ。

1960年-2000年の間に地球の平均気温が0.5℃上昇したのに対して、ここ10年では僅かに0.03℃であり年平均にすれば4分の1以下になっている。別の観測結果では、むしろピーク時より下がっていると言う観測結果まであるほどだ。

世界中の国々が温暖化対策のために様々な施策を打っているが、その効果が出たのだろうか?否、そんなことは無い。と言うか、温暖化対策の効果は10年や20年で出るものではない。では、何故温暖化が緩やかになったのだろうか?

上昇する海の温度

東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩准教授によると、地球温暖化といえば大気の温度ばかりが注目されるが、忘れてはいけないのが海の温度なのだという。

地球温暖化の原因には、温室効果ガスによる熱の封じ込めなど色々な説があるが、基本的には共通しているのは太陽の熱が地球に溜まり易くなると言うこと。熱はそもそも大気が無いと伝わらないのだが、赤外線や光を通じて間接的に伝えることは可能だ。そもそも、太陽とて光を使って熱を地球に伝えている。

つまり、
[地球内部に溜まるエネルギー] >> [地球外部に放出されるエネルギー]
のバランスが、大きく偏っている状態が地球温暖化と言えるのだ。

では、地球内部に溜まるエネルギーというのは、具体的にはどこに溜まるものだろうか?

人が最も実感しやすく、気象や地上の生物に最も影響を与えるのが大気であるが、実のところ海もかなりの影響を受けている。もっと言えば、地球の大部分が海であり、エネルギーを蓄積できる量と言う意味で考えても、大気より海の方が大きい。

そしてここ10年関しては、大気の温度・・・気温の上昇についてはかなり落ち着いているのだという。これが、ハイエイタス-Hiatus-(ミュージシャンではない)と呼ばれる現象であり、地球の気象が不安定になる兆候なのだという。この現象を生んでいるのが海水の温熱吸収であると考えられており、特に深海の温度上昇を顕著らしい。

地球に熱エネルギーが溜まっているにも関わらず、急に気温が上がりにくくなり、海水温上昇などに繋がると、異常気象の原因になりやすい。昨年はヨーロッパなどで異常な猛暑になったが、その分東南アジアや本来もっと暑い地域の気温や海水温が、通常より低くなっている。

地球の大気や海には流れがあり、その流れを作っているのが温度変化だ。流体は暖められれば膨張する、膨張すればその分体積あたりの重さが軽くなったり、膨らむ体積の行き場を探して、流体に流れが生まれる。さらに、大気の流れが海の流れを生むこともある。地球規模で考えてみると、それらは全て元は太陽の熱から始まっているのだ。その熱が過剰に溜まり、ハイエスタス現象と重なると、大気や海流の流れに影響を及ぼし、非常に不可解な異常気象を生む可能性があるのだという。

ARGO(アルゴ)計画、何故海水温を精密に図る事が出来るのか?

気温上昇は停滞しているものの、海水温が上昇していると聞いて、一つ疑問が湧く。

どうやって地球全体の海水温を図っているのだろうか?それも、深海の温度など簡単に測れるのだろうか?

実はそれこそ、ここ10年で精密に測れる様になった指標の一つであるという。世界気象機関やユネスコ海洋学委員会の協力により、世界規模で進められているARGO計画という海洋研究プロジェクトのお陰なのだ。そして、その計画で開発され、世界の海に3000本ほど投下されたアルゴフロートと呼ばれる観測機器が、世界中の海洋観測の精度を大幅に高めている。

アルゴフロートの凄いところは、海水温と塩分濃度を深度別に測り、人工衛星を通じてデータを送れるところだ。

機能としては、深度0m-1000m-2000mを定期的に浮上沈降を繰り返し、浮上時に観測データを衛星に転送して、データセンターで集計すると言うシステムになっている。(出典:JapanArgo)

コレにより、非常に詳細な海水温変動の観測が可能になった。

それ以前は、世界の研究機関が独自に開発したフロートや観測機器によって得られた、バラバラの基準と地域のデータを拾い集めて世界の海の海水温変化を観測していました。正確な数値を得るには、相応の技術レベルが必要であり、地域ごとのデータの信頼性や質に大きな違いが出ていました。

 

アルゴフロートの散布状況(出典:Argoウェブサイト)

見ての通り、アルゴフロートは世界中の海に散布されており、正確な測定が行えている事が推測できる。

 

地球温暖化はメディアの嘘?気温変化は大規模な自然現象の一つである可能性

地球温暖化が止まっている様に見えるのは、海水温の温度上昇だったわけですが、そもそも地球温暖化と言う現象は最初から存在しないと言う意見も古くから存在している。

というのは、地球の気候そのものが温暖化と寒冷化を周期的に繰り返すものであり、今回もその一旦に過ぎないのだとと言う考え方です。当時、この温暖化議論を推し進めた米国の上院議員のジェームズ・ハンセンが選挙に有利になるようにプロパガンダ的に優位な情報を集めているという批判や、途上国の発展を妨げようとする先進国の陰謀などと批判を受け、温暖化の原因に関する議論は紛糾した。

しかし、この議論は2007年のIPCC第4次評価報告書(AR4)の提出により、一旦は収束に向かう。

このAR4の報告は、2000人の科学者と、190カ国のサポートと、数年に渡る検証と研究に基づいて行われ、非常に様々な観点から考えて、「ここ数十年の温暖化現象は、人類が排出した温室効果ガスによって引き起こされている」と結論づけた。

こうして一旦は収束に向かった温暖化の原因についての議論だったが、ここ数年の気温上昇の停滞や気象研究が進むにつれ、AR4の報告において、「不確定要素」(まだ不確定、研究途上の気候変動などの要因)を低く見積もりすぎていたのではないか、と言う批判が見られるようになる。

日本国内でも、原発問題に温暖化が絡められるようになるにつれて注目が高まり、「原発は温暖化対策」「火力発電は温暖化を進める」と言う名目で原発を推進していこうとする団体に対する、批判として「温暖化は嘘である」と言う意見も見られるようになりました。

上記グラフからは、一見温室効果ガスであるCO2の排出濃度と気温に相関関係がない様に見えます。

しかし、これは熱吸収が大気ではなく、深海の海水へと変わっている事によるハイエスタス現象と考えられているため、温室効果ガスが無関係であると結論付けるには早計なようだ。

 

結局、温暖化は進んでいるのか?

結論としては、自然現象としての「地球温暖化は進んでいるけども、それが温室効果ガスが原因なのかどうかはまだまだ研究が進んでみないとはっきりしない。

と、考えるべきなのかもしれない。

幾度と無く研究が行われ、幾度と無く報告書が提出される地球温暖化現象。

しかし、人間が地球を理解したつもりになるには早すぎるのかもしれません。宇宙の事がまだ何も分からず、真実が沢山の推論に埋もれていく様に、地球自身のこともまだまだ分からないことだらけなのですね。

とは言え、二酸化炭素排出の是非はともかく、限りある地球資源を使う化石燃料の使用を控えるべきなのは間違いありません。原発が本当の意味でクリーンなのかどうかも不透明ですが、少なくとも原発を含めた技術革新というのが必要になっているのは間違いないでしょう。

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