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マッコウクジラ、大型哺乳類最強の潜水力!ダイオウイカをも食らうその生態に迫る

マッコウクジラといえば、その特徴的な頭部が印象的だ。同じハクジラ類(歯のあるクジラ)に分類される、シャチやイルカとは明らかに違った四角い頭部。クジラというより、人間の作った潜水艦の形にも似ているかも知れない。

それもそのはず。マッコウクジラは海棲哺乳類の中でも潜水能力に特化したクジラであり、特徴的な頭部は超音波を発するソナーとしての役割がある上に、重さを調節して沈降と浮上を助けるバラストとしての機能もあるらしい。

20メートル以上の大きさを持ち、深海を自在に泳ぐことができるのは潜水艦の他には、マッコウクジラしか存在しないだろう。ただし、マッコウクジラの最大深度3000メートルにまで到達できるのは、深海探査艇ぐらいだ。そんな深海の王者、マッコウクジラの潜水能力の秘密に迫っていきたい。

マッコウクジラの潜水の仕組み

マッコウクジラの頭部には、脳油と呼ばれる脂質が大量に詰まっている。脳油といいうものの、実際には脳とは関係なく、脳だと思われる部分に詰まっていた事からこの名前が付いているだけだ。捕鯨が盛んだった時代には、この脳油を使って沢山の油製品が作られている。

 

この脳油が深海で活動するための鍵となっていると言われている。

前鼻嚢を震わせ作った振動を脳油で拡大し、超音波として海中に発する。そして、物に当たって帰ってきた音から、海中のどこに何があるかを把握することができるのだ。つまり、潜水艦や船につまれるアクティブソナーとしての働きだ。この超音波を操る能力があるお陰で、光の届かない海底でも状況を把握することができるのだ。

さらに、この脳油を冷やしたり暖めたりすることで密度を変え、鼻孔から海水を入れたり出したりすることができると考えられている。つまり、潜りたいときは脳油を冷やして小さくし、開いたスペースに海水を入れて身体を重くして沈み、浮上したいときは温めて海水を押し出して、身体を軽くするのだ。まさしく潜水艦のバラスト機能である。

海生動物はダイバーと同じように、沈むときは下向きにヒレを動かして沈み、浮上する時は上を向く。それなら、もし頭の先端部のバランスを自在に変えられるとすればどうだろう?そう。潜行や沈降が非常に楽になるに違いない。

潜水に特化した筋肉

マッコウクジラは深海への潜水能力(3000m)が高いだけではなく、潜水時間も最大90分と非常に長い。

海中に潜るには、深海の水圧に耐えられるような身体をしているだけではなく、酸素を沢山取り込めるようになっていなくてはならないが、深海で長時間泳ぐために必要なのは沢山空気を取り込める大きな肺だけというわけではないのだ。

というのは、肺に空気をたくさん入れておくと、深海の高い水圧で空気が血液に急激に溶け出し、中毒になる可能性が高まる。これは人間の素潜りにも言えることだが、通常深海に特殊な器具なしで潜る場合、これを避けるために肺の空気を空にする。これはマッコウクジラなどにも言える事で、深度2000メートル近くまで潜る場合、間違いなく肺の空気は空にしているはずだろう。

では、何故深海で窒息しないのだろうか?

(ミオグロビン 出典:Wikipedia_ミオグロビン
それは、筋肉の細胞に秘密がある。クジラにも人間にも、筋肉中にミオグロビンと言う細胞が存在している。(出典:Wikipedia_ミオグロビン)

これは、酸素を蓄え、筋肉が酸素を使う際にすぐに酸素を受け渡せるような細胞だ。潜水が特異な動物と言うのは、多くの場合このミオグロビンの量が他とは圧倒的に違う。

マッコウクジラの場合はこの筋肉中に酸素を蓄えることができるミオグロビンという細胞が、一般的な哺乳類の10倍はあり、非常に長時間に及ぶ潜水を可能にしている。

 

深海で何を食べるのか?

何故、マッコウクジラが深海に潜れるようになったのかは議論が絶えないが、主食ははっきりしている。

マッコウクジラの主食はイカである。

巨大な身体と深海を泳ぐ能力により、天敵と呼べるような存在はシャチしかいないものの、食事の95%がイカらしい。マッコウクジラの語源になった抹香の香りがする竜涎香は、マッコウクジラがイカを食べ過ぎることで偶然生まれるものだ。

マッコウクジラが好んで食べるイカの中でも、有名なのはダイオウイカで、世界最大の無脊椎動物と歯のある哺乳類の中では世界最大であるマッコウクジラの戦いは良くメディアでも取り上げられている。ちなみに、世界最大の哺乳類であるシロナガスクジラには歯がなく、プランクトンなどが主食だ。

 

高い知性を持つクジラと捕鯨

マッコウクジラは全世界の海に生息し、脳油の希少性から世界で大量に捕獲されてきた。しかし、あまりにも取り過ぎた事で数が減り、現在は世界的に捕鯨が禁止(一部の国のみ、少数の捕鯨が許されている)されている。

世界には過激な反捕鯨団体なども存在し、日本の捕鯨に激しく反発しているが、その根拠の一つになっているのが、マッコウクジラを始め、鯨類が持つ高い知性だ。

鯨類の多くは、超音波を駆使して海中で会話すると考えらており、仲間の危機に敏感に反応し、シャチなどの外敵から集団で身を守ろうとする。知性ある生き物を殺してはいけないと言う論理で、捕鯨に反対しているのだ。

狩猟の可否の基準を対象の知性で決めることが、正しいのかどうかは置いておいて、マッコウクジラが高い知性を持っている事は確かである。

攻撃に遭っている仲間を守ろうとするその姿は、確かに同情を禁じ得ない。

(出典:Wikipedia_マッコウクジラ)

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