UFOキャッチャーに代表されるプライズゲームですが、俗に言う「確率機」や「実力機」などの種類があるのはご存知でしょうか? 端的に言えば、機械の中で「取れないようにする設定が可能な機種(確率変動機)」と「設定が出来ない機種(実力機)」があるということです。
これは昔から言われている事なので特別新しいものではないのですが、最近ではYouTubeなどでプライズゲームの動画が多数投稿されるようになり、日本のみならず海外でもプライズゲームに注目が集まるようになりました。しかし、プライズゲームの仕組みや楽しみ方を知らないと、「絶対に出ない設定があるなんて詐欺だ!」と不満が噴出するでしょう。そこで、本記事ではプライズゲームの楽しみ方について簡単に解説していきたいと思います。
プライズゲームとは?
(UFOキャッチャー_SEGA)
プライズゲームというのは、UFOキャッチャーのような「クレーンで景品を取るゲーム」やルーレットなどで「当たりが出たら景品がもらえる」などのゲームセンターでよく見るゲーム機のことです。
基本的には「◯◯すると景品がもらえる」という類のゲームはプライズゲームと言って良いでしょう。
このプライズゲームですが、当然ながらプレイする目的は「景品を取るため」です。さらに言えば、プレイするためにかかる「料金は景品よりも低い」というのも特徴でしょう。
つまり、一見すると「景品を凄く安く手に入れられる」ように見えるわけです。
実際には最初から買った方が明らかに安いというゲームもありますが、一見すると安く見えた方がプレイヤーは楽しめるはずです。
プライズゲームを運営する側としては、仕入れ値が料金よりも安ければ本当に景品を安く提供してしまっても良いのでしょう。しかし、多くの場合はそうではありません。さらに、運営コストも含めればそれ相応の利益を出さなければなりません。当然ながら、プライズゲームがアミューズメントとして成立するためには景品が簡単に取れてはいけません。
このあたりは考えるまでもありませんが、問題はどうやって簡単に取れないようするかにあります。
プライズゲームで景品が簡単に取れないようにする方法は?
景品が簡単に取れないようにするための方法は大きく分けて二種類。その方式によって、「実力機」と「確率機」に分けられます。
プレイヤーのスキル的に難しい実力機
「UFOキャッチャーなどのクレーンゲーム」の多くがこの方式です。二本のアームや細いクレーンでは取りにくいような景品を用意し、それをプレイヤーに取らせるのです。物理的に「取るのが難しい」ため、ゲームとして成立します。もちろん、クレーンゲームが上手な人であれば簡単に取れてしまうでしょう。
この際、クレーンで取る景品によって取りやすさが大きく変化します。簡単に取れる景品と取れない景品で大きな差が出ては困るため、アームの掴む強さなどが調整できるようになっているのが普通です。一見すると取れそうな景品でもアームが非常に弱く取れにくくなっているケースがあるのはこのためです。これを悪用し、絶対に取れないようにしているゲーム機も稀にあるので注意が必要かもしれません。
その一方で「絶対に取れ無さそうな景品」についてはアームがしっかりしている事もあり、逆に狙い目になることもあります。この辺りの調整についてはゲームセンターによるので、お試しで一度プレイしてみるのが良いでしょう。
設定によって取れない確率機
景品を棒などで押して落とすゲームやルーレットで景品を選ぶような、「固定されている当たりに対してピンポイントの操作を要求するゲーム」に確率機が多いです。他にも、単純なくじ引き要素のあるゲームなどにも当てはまります。というか、やろうと思えばどんなプライズゲームにもこの確率設定を導入することは可能です。
まず、ほんの少しでも機械の位置がずれたら取れないというようなゲームでは、プレイヤーがピタリと止めたつもりでも機械が勝手に動き、簡単に取れないようになっています。スロットゲームなどで「777」が来たと思ったらギリギリでずれて「778」になると同じですね。
その設定については後述しますが、基本的には「料金が◯◯円入ったら取れるようになる」という設定が多いです。つまり、何回もやっていればそのうち当たるということ。とはいえ、「微妙に当たりからずれる動き」がなくなるだけなので、ちゃんと操作しないと取れません。ゲームによっては完全にランダムで決まることあるようです。
ちなみに、一見すると実力機に見えるクレーンゲームにも確率機が存在します。クレーンの場合、景品の位置がバラバラなので止まる「位置をずらす」設定は出来ません。しかし、クレーンのアームを瞬間的に弱めることは出来ます。取れたと思った景品が途中で落ちるのは確率設定が原因になっていることもあるでしょう。
確率設定とはなに?どうしてそんなものがあるの?
「取れないように設定が出来るなんて詐欺だ!」と思うかもしれません。
しかし、完全な実力方式のゲームばかりでプライズゲームを作ると「上手な人」と「下手な人」で大きな差が出てしまい沢山の人が楽しめません。
絶対ではありませんが、確率機には「設定が外れれば意外に簡単に取れてしまう」ようなゲームが多く、他の人が沢山プレイした後で「取れない設定」が外れている状態なら、一回で取れるということも少なくないのです。
ある意味、確率機は「運と財力」のゲームではありますが、その分「誰にでも楽しめるゲーム」ということができます。
さらに、確率機は運営サイドからすると設定によって「利益率が変えられるゲーム」である上、内容の善し悪しに左右される格闘ゲームやシューティングゲームとは違って「景品によって顧客を呼び込める」数少ないゲームです。また、景品を子供向けにするか男性向けにするか女性向けにするかで、客層を自由にコントロールできるというのも魅力でしょう。
実力機ではプレイヤーによって簡単に景品を取られてしまうこともあり利益率が読めませんし、どんな景品を入れたとしても「ゲームが得意な人」向けのゲームになってしまう感は否めません。しかし、確率設定が可能であれば利益率と客層のコントロールが容易です。これらが運営サイドにも確率機が人気のある理由の一つになっています。
設定金額についてですが、全く取れないと誰もやってくれないので、大手のゲームセンターなどは数千円程度に設定しているということが多いようです。プレイヤーが多ければそれで十分な利益が出るでしょう。
さらに、各種協会などの自主規制により「取れるようになるまでの料金はどんなに高くても1万円まで」としていることが殆どです。あくまで自主規制ですので、小さなゲームセンターなどでは設定上限が遥かに高い可能性があります。選べるのであれば大手のゲームセンターを選ぶと良いかもしれません。
(次ページ: 詐欺にはならない理由とプライズゲームの楽しみ方)
詐欺ではないの?景品はなんでも良いの?
プライズゲームという時点でお察しなのですが、「ゲーム」というのはゲームを楽しむための機械です。そして、プライズゲームは「景品を取ろうとする行為を楽しむゲーム」ですので、設定によって取れない瞬間があっても詐欺にはなりません。
完全に取れないと詐欺っぽいですが、そもそも「ゲームで景品を出してはいけない」という法律があるため、景品を出す方が違法になる恐れがあります。ただし、これに関しては法律の解釈変更が行われ、「小売価格がおよそ800円以下の商品であれば景品にしても良い」という形に変わりました。
小売価格が800円以下と言っても、明らかに800円以上の価値がありそうなものが商品になっていることがあります。これは「景品に使われている商品をそのまま客に売らない」という契約があるから出せる景品です。
客に直接売ってはいけないルールにすれば、小売価格は事実上「仕入れ値」が通用します。仕入れ値が800円ということは、客が手に取る時の価値としては2000円近いものが手に入ります。これなら景品として中々のものでしょう。それ以前に、お店で買えるならゲームで取りません。
ちなみに、もし景品を仕入れてそのまま売って良い事にすると、仕入れが800円だとお店では2000円以上の価格で売られることになります。これでは小売価格が800円とはいえませんので景品にできません。多くの場合、売られると困るのです。
もちろん、商品を販売する側は景品としての人気がなくなれば、「景品にはしないよ!」とゲームセンターに通告し、在庫を回収した上で契約を解除し、一般客に直接販売することもできます。この辺は契約次第と言えるでしょう。
ただし、これはゲームセンターなどの遊戯店に限ります。スーパーなどの一角にちょこんと置いてあるプライズゲームに適用されません。そのため、こうしたお店ではPSPやDSのような「明らかな高額商品」が景品になっていることもあります。また、「確率設定1万円未満」なんて自主規制も無視している可能性が高く、簡単に取れるとは思わない方が良いしょう。
プライズゲームの楽しみ方
プライズゲームというのはカジノや競馬のような賭け事とは全く異なる遊びであることを頭に入れておきましょう。
お金を入れて楽しむシューティングゲームとプライズゲームの間に大きな違いはありません。
シューティングゲームではお金を入れても何も景品はありません。しかし、プレイヤーはシューティングを楽しむゲームだと分かっているので景品が無くても文句は言いません。
それと同じように、プライズゲームは「景品を取ろうとする行為を楽しむゲーム」ですので、取れなくても仕方がないのです。取れなかったら、「あーあ、残念」ぐらいに思って下さい。シューティングゲームで途中でゲームオーバーになるのと同じです。もしくは、宝くじを買って結果が出るまでのドキドキを手軽に楽しむゲームと考えても良いですね。
「どうせ当たらないから」とか「買ったほうが早い」というのは、単純に「シューティングゲームなんてつまらない」と言うのと同じです。その人の好みやゲームの面白さを知っているかどうかの違いに過ぎません。
例えば、1万円かけて取った1000円の人形には1000円の価値しか無いのでしょうか? 9000円をドブに捨てただけなのでしょうか?
ゲームが好きな人なら分かると思いますが、シューティングゲームで1000円使って何も残らなくても「1000円分の楽しさ」は確実に残っています。それと同様に、1万円かけて取った1000円の人形には、9000円分の楽しさと愛着がどこかに残っているはずです。
さすがに1万円は使い過ぎかもしれませんが、2千円や3千円で取れたなら楽しい時間も含めて元は取れているでしょう。
プライズゲームは「ゲーム」です。自動販売機ではありません。
プライズゲームの楽しみ方をちゃんと理解していれば、景品が取れなくても楽しめるのではないでしょうか?