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そうりゅう型潜水艦の性能と任務、日本の四海に潜み外敵を撃つ海自の切り札

そうりゅう型潜水艦が世界最高峰の通常動力型(原子力ではない)潜水艦として話題になっているが、その性能というのはどれほどのものなのだろう?

海自の潜水艦はその存在の重要性の割には、イージス艦や空母などの影に隠れイマイチ存在感がない。潜水艦なので海で存在感が全くないのは構わないのだが、陸の上・・・ひいては国民の心の中にも存在感が無いのは残念なことだったりする。

海自と言えば「イージス艦」ですが、そもそもイージス艦と言うのは米国が開発したシステムを使わせてもらっているだけで日本独自の兵器ではありません。しかし、海自のそうりゅう型は日本の技術を結集させた紛れも無く日本独自の最新兵器です。

本記事では、海上では最強のイージス艦ですら恐れる海自の最新型潜水艦について説明していきます。

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そうりゅう型の特徴と性能


(海自ギャラリーより)

そうりゅう型の強みは3点。

1、静粛性の高いAIP推進装置を搭載
2、後期型では高性能電池を搭載
3、航続力が長く、原潜に次ぐ長期任務が可能

AIP推進装置について

静粛性の高いAIP推進装置(非大気依存型推進装置)と言うのは、言い換えると「大気(酸素)を使わずに潜ったまま静かに移動できる装置」のことですが、電池で動く電気推進のことではないので誤解しないようにしましょう。

普通、潜水艦が潜って移動する場合は電池を使う他はなく、電池がなくなれば浮上してディーゼルエンジンなどを回して酸素を取り込みながら充電する必要がありました。シュノーケル(まさしく海で泳ぐ時に使うシュノーケル)を使って、空気を取り入れるホースだけを海上に出して充電する方法もあるのですが、海上すれすれを移動するので見つかる可能性がかなり高いのが欠点(航空機やヘリにすら見つかる)です。

そこで、最新型の潜水艦には様々なAIP推進装置が搭載されています。

まず最初に生まれたのが、「酸素が欲しいなら酸素も積んじゃえば良いじゃない」と言う閉サイクル方式。液体酸素を積み込んで、それを使ってディーゼルエンジンを回してしまう方式。ちなみに、排気も船内に貯めこむのでかなり無理があります。その上、ディーゼルエンジンはパワーはそれなりですが、うるさい上に排気量や燃費が悪く(同系統の内燃機関の中では良い方ですが・・・)、この方式はとりあえず潜っても充電できるようにしたと言うレベル感に近いかもしれないです。

そこで、日本の潜水艦や最新型潜水艦が搭載しているのが、燃費が良くて排気量も極めて少ないスターリングエンジン。欠点はデカいのと出力が低いことで、やたら大きくて邪魔臭いせいで実際に文句が出ている。しかし、このエンジンはかなり独特な原理で動くエンジンで、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンとは違って、燃料を爆発(急速膨張)させないエンジンなのです。

実は、燃料を爆発させて運動エネルギーを得ると言うやり方は燃焼に無駄があって効率が悪く、ゆっくり燃料を燃やしながら運動エネルギーを得る方が効率が良いのです。さらに、燃料をゆっくり燃やして熱エネルギーを運動エネルギーに変える場合、燃料を爆発させない安全な燃料を使うこともできる上に、静かで排気も少なく、非常に潜水艦の運用に向いています。

ちなみに、本当に最良の選択は燃料電池なのですが・・・これについては、別に記事で解説します。

高性能リチウムイオン電池

世界中の携帯電話や電気自動車に搭載されている高寿命高出力のリチウムイオン電池は、実はその大半が日本製です。

もちろん、そうりゅう型に搭載されているリチウムイオン電池も、日本企業が特別に作った高性能リチウムイオン電池を使っていて、電池の性能だけでも世界トップクラスの性能を誇っています。原子力潜水艦でもない限り、潜行中に重要になるのが電池の性能。

電池が高性能であればあるほど、潜水艦は長く早く潜り続ける事ができます。実は、リチウムイオン電池の技術がどんどん進歩していくので、最近ではAIP機関要らないじゃん。となり、最終型のそうりゅうにはスターリング方式のAIP機関がなくなってその分沢山の電池が装備される事になっています。

専守防衛を掲げる海自の潜水艦が敵国の領海で長時間活動する事はないので、長時間活動するためのAIP機関を使わずに安全な日本の領海で充電してから、敵が来そうな海域に潜って進んで行けば十分なのですね。

さらに、電池だけで動いている通常型潜水艦はモーター以外の機関が殆ど動いていないため非常に静かであり、原子力潜水艦よりも静かで見つかりにくいとされています。つまり、仮に中国の原子力潜水艦が接近してきても、先に敵を見つけるのは海自の潜水艦になるということです。

ちなみに、世界最強の米海軍ですらロシアの原子力潜水艦向けの訓練ばかり行ってきたため、日本の潜水艦をを見つけられなかったと言う逸話まで存在するほどです。

通常動力型の中では大型で長大な航続距離

もう一つ重要なのが航続力。オーストラリアが日本の潜水艦を選んだ最大の理由ともされていますが、日本の潜水艦は世界中の通常動力型潜水艦と比べてもかなり大きな船体を持っています。

なぜなら、日本の領海はあまりにも広く、広い海を守るために十分な燃料や装備を載せるスペースが必要になってくるからです。航続距離で言うと原子力潜水艦には当然劣りますが、通常動力型ではトップクラスの作戦行動範囲です。オーストラリアも領海が非常に広いので、ヨーロッパの狭い海を守る潜水艦では物足りなかったのですね。

前述の三点が日本の潜水艦の優れている点ですが、
次に、その高性能な潜水艦が何故日本の防衛にとって重要なのか、
そして、どれほど強力なのかについてご説明します。

イージス艦ですら恐れる潜水艦の存在

潜水艦は海に潜る兵器で、レーダーや目視で確認する事はできません。海に潜った潜水艦を見つけるには、ソナーと呼ばれる音を検知する装置を使って潜水艦が発する音を聞き分けないと行けません。しかし、レーダーはモノがそこにありさえすれば見つけられますが、ソナーの場合「音を発していなければ」見つけられません。裏ワザとして、自分が音を出して跳ね返ってきた音を聞き取る(やまびこの原理)アクティブソナーと言うやり方がありますが、自分が見つかってしまうのである意味最後の手段です。

そうして考えて見ると、イージス艦と言うのは高性能なレーダーと電子装置を備えた「海上では」最強の兵器ですが、海の中では普通の駆逐艦や護衛艦と変わりありません。他の艦船と同じく、ひたすら音を聞き続けるしかありません。

海上の船は潜水艦と違って海を割くようにして航海しているため、潜水艦に比べると遥かにうるさい船です。普通に進んでいたら、まず間違いなく潜水艦が先に海上の船を見つけます。そのため、イージス艦を含め大部分の水上艦は、開き直って常にポンポンと音を立てて跳ね返ってくる音で潜水艦を見つけようとします。

しかし、優秀な潜水艦の乗組員は海の地形をきちんと把握しており、ソナーに見つかりにくい場所を知っています。海自の潜水艦乗りは、毎日の様にその地形把握の訓練を受けており、水上艦のソナーから隠れるために海底に鎮座して待機する事ができます。どういうことかというと、いわば陸上で言う「伏せ」の状態で、海底の凸凹に音が跳ね返るため、潜水艦を見つけることが更に困難になります。

もし、そうりゅうが海底の凹凸に姿を隠し、完璧に音を消してイージス艦を待ち受けていたら、イージス艦といえども潜水艦の熾烈な先制攻撃にさらされるでしょう。

高性能な潜水艦とその乗組員は、数十発のミサイルや戦闘機ですら簡単に撃ち落としてしまうイージス艦が唯一恐れる敵であると言っても良いかもしれません。

防衛任務では原潜より怖いそうりゅう型

「いや、でも原潜の方が強い!」 と思うかもしれません。

確かに、外洋に出て行って数ヶ月間敵国の船を監視したり、潜入して破壊活動をするのであればそうりゅうは原子力潜水艦には敵いません。

しかし、防衛任務であればそうりゅうのような高性能通常動力型潜水艦の方が戦闘力は上です。

防衛任務の場合、潜水艦は比較的安全な自国の領海から近い場所で戦うことになります。つまり、通常動力型の欠点である「いつかは海上に出なければいけない」と言う事情があまり意味を成さなくなります。さらに、海底の地形なども平時にきちんと測量しており、敵の潜水艦が接近してくるルートも把握できています。

潜水艦を攻撃する場合には魚雷や爆雷しか使えない上、誘導装置も搭載した魚雷攻撃が潜水艦に直撃してしまえば原子力潜水艦でも通常動力型潜水艦でも一発で沈んでしまいます。そのため、船体の大きさや武器の数はあまり意味がありません。

そんな海中で潜水艦同士が隠れんぼをした場合、先に敵を見つけた方が勝ちます。

原子力潜水艦は電池ではなく蒸気タービンによる発電で動いており、タービンの音が常に発生しています。さらに、原子力発電によって発生している莫大な熱が僅かながら海中に放出されており、赤外線探知などに引っかかりやすくなっています。

もし、相手が中国でもロシアでも米国でも、原子力潜水艦と言う「原理的に若干うるさい」潜水艦が相手であれば、日本のそうりゅうが負けることは無いでしょう。

 

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※当サイトで掲載されている記事に、大幅に加筆修正を加えて製作されたものです。 

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