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クラウドソーシングの使い方、フリーランスとして生活するために本当に必要な事

2015年時点で、月収20万を超えるクラウドワーカーが僅か登録者全体の僅か0.01%に過ぎないということが明らかになりました(別のサイトに移動します)。なんとも悲しい話です。これはあくまで「CrowdWorks」というサービスに限った話ですが、この数字を見るとフリーランスに転向して、クラウドソーシングで生活していこうと考えるのがとてもリスキーなことに思えてきます。

しかし、この数字だけを見てフリーランスでは生活できないと考えるのは早計でしょう。というのも、クラウドワーカーの大半が副業としてクラウドソーシングサービスを利用しているだけに過ぎず、フリーランスで生計を立てている人はクラウドソーシングサービスをメインの収入源と考えていないからです。

では、クラウドソーシングサービスとはどう使われているものなのでしょう? 
そして、フリーランスで生計を立てている人はどのようにして収入を得ているのでしょうか?

クラウドソーシングサービスのシステム

フリーランス向けのサービスやSOHO向けのサービスは今までにも数多く存在していました。その中でも、クラウドソーシングサービスの最大の特徴は「匿名」で仕事ができる点と取引の容易さにあります。

今までのフリーランス向けのサイトはあくまで取引相手を探す掲示板程度に過ぎず、取引相手を見つけたらユーザー同士が直接契約を結んでいました。この場合、相手の信用度を確かめることも出来ず、支払い時に揉めたり、きちんと仕事をしてもらえないことも多かったのです。

ところが、「Lancers」にしろ「CrowdWorks」にしろクラウドソーシングサービスと呼ばれるサービスでは、運営元が言わば「仲介屋」として機能し、発注側と受注側の信頼性を担保します。報酬は基本的には前払いで、発注の際には発注側がサービスの運営者に報酬を預け、受注側が仕事を終えれば運営から報酬が支払われるシステムになっているのです。

サービスの運営者が報酬の管理を行うため、仕事をしたのに報酬をもらえなかったり、報酬を払ったのに仕事をしてもらえないというトラブルを防げます。また、個人情報についても運営者側で管理するため、取引先に個人情報を伝える必要もありません。これは副業として仕事をする上で大きなメリットとなります。

しかし、これらのサービスを受けられる代わりに、報酬の何割を手数料として運営者に支払わなければなりません。それは報酬額に応じて5%-20%となっており、本格的に稼ごうとすれば無視できない金額です。

クラウドソーシングサービスを利用する人の特徴

ここでは受注側のお話をしますが、クラウドソーシングサービスではSE・デザイナー・ライターなど様々な職種の人が活動しています。しかし、クラウドソーシングサービスは簡単に仕事を受注できるメリットがある一方で、報酬が減ってしまうデメリットがあるのです。

そのため、クラウドソーシングサービスの利用者は、「簡単に仕事をしたいユーザー」と「報酬の減額を気にしないユーザー」ということになります。

「簡単に仕事をしたいユーザー」は、主に「直接契約のやり取りが面倒」という人や「実績が無くてクライアントが見つからない」という事情がある人になるでしょう。また、「報酬の減額を気にしないユーザー」は、「収入をクラウドソーシングサービスに依存していない」ような本業がある人か「収入そのものが少ない」ような人ということになります。

つまり、これに当てはまるのは駆け出しのフリーランサー本業のある人になるのです。

実績あるフリーランサーは使わない

当たり前ですが、実力のあるフリーランサーであれば、クライアントを見つけるのはそれほど難しいことではありません。加えて、こうしたフリーランサーは一つのプロジェクトで高額な報酬を得られるようになっているため、5%の手数料でもかなりの額になります。

そういう実績のあるフリーランサーは信頼の出来るクライアントと直接契約が出来るため、わざわざ収入の減るクラウドソーシングサービスを利用することはないでしょう。

とは言え、クラウドソーシングサービスでは今までに付き合いのなかったクライアントを見つけることも出来ます。多少手数料を取られたとしても、新しいクライアントを見つけるのにクラウドソーシングサービスは便利です。

ただ、クラウドソーシングサービスを通して直接契約をするのは利用規約に違反するため、常にクラウドソーシングサービスを使って仕事をすることになります。それなりの報酬が提示されないと継続的に付き合うメリットは薄いでしょう。

また、契約形式からしてクラウドソーシングサービスは仲介業という形に当たることもあり、クラウドソーシングサービスを通じて成約したプロジェクトが終了した後にクライアントと直接契約をすることは法的に問題がない可能性が高いです。利用規約違反で退会処分となるリスクはありますが、有望なクライアントを見つけたらプロジェクトの終了後に直接契約してしまうクライアントも多いでしょう。

(次ページ: 駆け出しのフリーランサーはどうすれば良い?)

駆け出しのフリーランサーはどうすれば良い?

さて、クラウドソーシングサービスが「駆け出しのフリーランサー」と「本業(別収入)のある人」向けなのはわかりました。しかし、本業がある人はともかく駆け出しのフリーランサーはどうすれば良いのでしょうか?実績を積み重ねるまで貧しい生活を送る必要があるのでしょうか?

答えはNOです。

クラウドソーシングサービスは「匿名で発注出来る」というメリットがあるため、割に合わない仕事を多数発注するような悪質な発注者も多いです。副業として軽い気持ちで始めたクラウドワーカーの多くが悪質発注者に遭遇した際に心が折れ、クラウドワーカーとしての活動を諦めてしまします。

しかし、それでも続けていると少しずつ仕事の良し悪しを見分ける能力がついてきます。

すると、「一つのサービスだけでは良い案件を見つけられない」事に気づきます。張り付いて探していれば見つかるものの、一つの案件が終わって時間が空いた時にすぐに仕事が見つからないと困ります。

そこで、複数のクラウドソーシングサービスを利用します。

受注者とは違い、優良発注者が複数のクラウドソーシングサービスを利用するメリットは薄いです。というのも、それなりに大手のサービスであれば、優良発注者の案件は掲載期間内に応募者が見つかります。難易度の高い案件ならともかく、わざわざ複数掲載するケースは少ないです。

そうなると、一つのサービスで探していても良い案件は見つかりません。駆け出しのフリーランサーの多くが複数のクラウドソーシングサービスに登録し、優良発注者の案件を探して受注しているのが実情です。

つまり、収入源が分散しているのです。

フリーランサーは多数のチャンネルを持つことが大切

クラウドソーシングサービスと一言に言っても様々なサービスがあります。

「デザイナー向け」「シナリオライター向け」「SE向け」「クリエイター向け」「WEBライター向け」数え上げたらきりがありません。当然、受注者も発注者も案件に合わせた使い分けが必要になります。

また、フリーランサーとして働き始めるなら、当然目指すべきはクライアントとの「直接契約」です。手数料の分報酬が上がるだけではなく、確定申告の際にも直接契約の方が収入源が明確になりますし、実績や信頼の証明にもなります。

本格的にフリーランサーとして活動していく意思があるのなら、クラウドソーシングサービスはあくまで予備の収入源として仕事が少ない時などに活用し、メインの収入は直接契約によって得ていく方が将来のことを見据えた上で現実的でしょう。

フリーランサーが最も大変なことは、「仕事は自分で探さなければいけないこと」です。

自分で探さなければいけないということは、常に仕事があるとは限りらないということ。仕事が多い月もあれば少ない月もあって収入も不安定です。これを安定化させるためには、複数のチャンネルを持つことは必須でしょう。

あるチャンネルで多くの仕事が見つかった時は別のチャンネルを減らし、その逆にあるチャンネルで仕事が見つからない時は別のチャンネルで仕事を探す。そうやって、リスクを分散することでフリーランサーとして活動していく事ができるようになるのです。

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