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完全自動走行を実現した無人運転車にはどんなものがある?「Waymo・EASYMILE・NAVYA」

無人運転車は完全自動走行を実現した未来の車です。しかし、具体的にどんな無人運転車が存在するのでしょうか。実際に走っていると言われても、地域が限られているので具体的なイメージが湧きません。

そこで、実用レベルの自動運転車を開発している4つの企業「EasyMile」「NAVYA(ナビヤ)」「Waymo」の自動運転車をご紹介します。全て海外のメーカーですが、日本で走る無人運転車を作っているメーカーも含まれているので、これからはどこかで目にするかもしれません。

無人走行バス「EZ10」を展開する「EasyMile」


(EZ10による無人走行のデモンストレーション_EasyMile)

フランスの企業「EasyMile」はフランスの大手小型自動車メーカー「Ligier(リジェ)」と協力し、「EZ10」という自動運転車を開発しました。EZ10は既に世界各地で試験走行が行われており、良好な結果を出しています。オランダの公共交通機関では改造型が「WEpods」と呼ばれ公道を走るようになっており、徐々に走行領域も広がっているようです。

無人の小型バスと聞くと凄い技術が使われていそうですが、基本的には普通の自動運転車と変わりません。各種センサー(LIDAR)とカメラを使って道路の状況を把握し、GPSで位置を確認しながら3Dマップを駆使して定められたしたルートに沿って運転を行ないます。障害物があれば可能な範囲で回避・停車し、普通の車と変わりません。電気自動車なので環境にも優しく、病院での利用も想定されているので車椅子の乗り入れも可能です。

基本的には定められたルートを通るシャトルバス的な運用ですが、ルートには公道が含まれる(法的に問題ない国では)こともあります。信号や標識に特殊な加工を施す必要もなく、必要なのは事前マッピングだけで、特殊なインフラ整備は必要ありません。

日本でもDeNAと提携して試験走行が始まっています。EZ10は私有地における走行も含め延べ150万の乗客を乗せた実績があり、現時点では最も広く運行が行われている無人バスと言えるでしょう。 

乗客:12人(座席6人)
最高速度:40km(電気)
稼働時間:最大14時間
積載量:1700kg

オランダの公道を走る「WEpods(E10)」

無人走行バス「ARMA」を展開する「NAVYA」


(ARMA_NAVYA

NAVYA」もフランスの企業で、「ARMA」という自動運転車を開発しています。こちらも小型無人バスです。EazyMobileのEZ10とはライバル関係にあり、EazyMobileのEZ10がDeNAと提携したのに対し、NAVYAはソフトバンクと協力関係にあります。こちらも日本での試験走行が予定されています。

機能的にはライバルのEZ10と似ており、シャトルバスとして利用する小型無人バスです。法整備の都合上、私有地での運行が多いですが公道も走れます。実績という面ではEZ10に劣りますが、開発自体はARMAの方が早いこともありシステムは洗練されています。EZ10にできることはARMAにもできるでしょう。また、車両の性能もEZ10に比べて若干上です。座席数や積載量を活かし、幅広い領域での活躍が期待されます。 

乗客:15人(座席11人)
最高速度:45km(電気)
稼働時間:最大13時間
積載量:2300kg

NAVYA ARMA の公式PR動画

(次ページ: Googleから生まれた「Waymo」の自動運転車)

Googleから生まれた「Waymo」


(セルフドライビングカーのプロトタイプ_Waymo

Waymo」はGoogleの「セルフドライビングカー」プロジェクトから生まれた企業です。Googleはいち早く自動運転車の開発に取り組んでいたこともあり、技術的には最も進んだ技術を持った企業と言えるでしょう。

上図のように、自動運転車のプロトタイプは一見するとただの可愛らしい軽自動車です。しかし、ハンドル・アクセル・ブレーキが存在せず、事実上の「完全自動運転車」です。EZ10やARMAと違って2人乗りで、無人シャトルバスとしてではなく自家用車としての運用が想定されています。

基本的には他の無人運転車と同じく事前のマッピングが必要ですが、Googleが保有する詳細な地図データ(Google Map)や映像情報(Street View)を利用することで、高精度センサー(LIDAR)による事前マッピングが無くとも、その場でマッピングを行ないながら走行することができるのが特徴です。

Googleが開発している人工知能技術がふんだんに用いられており、ただ障害物を検知して回避するだけではなく、車の流れに合わせて制限速度をオーバーすることもできますし、人間の動作を検知して次の動きを予測する機能もあります。

こうした自動運転の人工知能プログラムは「お抱え運転手」の意味を持つ「Chauffeur(シェーファー)」と呼ばれています。軽自動車型のプロトタイプの他にも、セダンタイプやミニバンタイプの自動運転車が存在しており、技術的な汎用性も高いです。

最も進んだ自動運転車を開発しているWaymoではありますが、自動運転車は市販されてはおらず、その予定も今のところありません。自家用車やタクシーとしての使われ方が期待されている自動運転車ですが、2020年に間に合うでしょうか。

目の不自由な高齢者を乗せて走る自動運転車

まとめ

無人シャトルバスであるEZ10とARMAは既に実用レベルに達しており、試験走行で安全が確認でき次第、そのエリアではすぐにでもサービスを始められるでしょう。一方、Waymoの自動運転車は技術的には実用レベルに達しているものの、特定のルートに限った運用とはならないことが想定され、まだまだ作り込みが必要かもしれません。ちなみに、監視員付きですがUberから自動運転タクシーが登場しています。

また、これからの課題としてセンサー類の誤認識があります。ここで紹介した自動運転車は全てLIDARと呼ばれるレーザーを使った高精度センサーを障害物の認識に使っていますが、LIDARは人間の視覚と比較して誤認識が多く、さらに高価で使いにくいことが欠点として指摘されています。

人間の視覚認識能力に合わせて道路は作られているため、人間のように運転するためには、レーザーセンサーだけではなくカメラによる高度な映像認識能力が必要不可欠です。人工知能の進歩も著しいので全周囲カメラだけで運転できるようになるのも時間の問題という印象はありますが、それがいつになるのか本当に楽しみです。

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