来るべき電気飛行機の時代、そこに立ちはだかる壁とは?

リチウムイオンに代わる電池たち

こちらの記事に詳しく書かれていますが、リチウムイオン電池のような充電池の基本的な構成要素は陽極と陰極、そして電解液です。

(出典:電池の情報サイト

容量を落とさずに軽量化や小型化を目指す場合、これらに使われる素材を変えるしかありません。

現在主流となっているのはリチウムイオン電池ですが、さらなる高性能化を目指して新しい素材を使った電池はこれまでにいくつも提案されています。

ここではそのうち、ポストリチウムイオンと目される電池の一部を紹介していきます。

リチウム・硫黄電池

負極素材にリチウム、正極素材に硫黄を使ったものがリチウム・硫黄電池です。

素材となる硫黄が入手しやすいためコストを下げられること、そして通常のリチウムイオン電池に比べて重量あたりの容量が大きいため、大容量かつ軽量の電池を作れる点が利点です。

デメリットは電池のサイズが大きくなりがちなこと。軽くはできても小型化はしにくいため、スマホなどのデバイスには使いづらく、飛行機や発電施設での活用が期待されています。

リチウム・空気電池

空気から得られる酸素を正極に、リチウムを負極に使ったリチウム・空気電池の一番の利点は、重量あたりのエネルギー量の高さ。

これは比エネルギーという単位で表されますが、リチウム・空気電池は従来のリチウムイオン電池と比べて5倍も高いのです。ということは、同じだけの重量で5倍の容量を確保できるということ。

実現すればバッテリーの大幅な軽量化につながる画期的なものですが、残念ながらまだ実用化はされていません。

理論通りの性能を発揮するにはまだまだ研究開発が必要なので、今後の進展が大いに期待されています。

ナトリウムイオン電池

ナトリウムイオン電池は、リチウムイオンの代わりにナトリウムを使った電池です。

ナトリウムはリチウムよりも豊富に採取できる素材。素材が確保しやすい分がコストダウンにつながる他、放電時に熱を発しにくい点や、今あるリチウムイオン電池の生産設備を転用しやすいため、市場投入へのハードルが低い点も特徴です。

ただし電池としての性能そのものはけして高くはありません。

リチウムイオン電池と同等の容量を確保しようと思えばサイズが大きくなってしまう上、バッテリーの電圧が低く、寿命が短いという欠点があります。

性能ではなく、生産のしやすさでリチウムイオン電池を上回るナトリウムイオン電池。単純にリチウムイオン電池を置き換えて主流になるのではなく、その声質がうまく噛み合うニッチが見つかれば普及するかもしれません。

まとめ

テクノロジーとは、さまざまな分野が密接に絡み合ってできるもの。電動飛行機もまた、土台となる電池の技術が進んではじめて進歩を見るものです。

現在活発なのは、エンジンとバッテリーを併用するハイブリッド飛行機の実用化。しかしその最終的な狙いは、電動飛行機実用化への下地のひとつを整えるというものです。

そして、バッテリーの研究開発が活発に進んでいるのもまた事実。大型電動飛行機の実用化は、それほど遠い未来の話ではなさそうです。