現状を維持するための仕事は消える
- 警備系 -「警戒」「監視」などの業務
- 保守系 -「検査」「点検」「清掃」などの業務
- 管理系 -「管理」「操作」などの管理系の業務
良い状態を保つ、安定した状態を維持する、問題なく運行させるような「今の状態を維持させるだけの仕事」は、全てではないとしても人工知能やロボットに奪われる可能性が高いです。
警備の業務は「警備員」や「監視員」などがそうですし、一部の「警察官」の業務もそれに含まれるでしょう。進歩した人工知能であれば、監視カメラを見て異常を発見することも出来ますし、交通整理や各種誘導なども簡単にこなしてくれるはずです。今までの監視カメラは「事件が起こってから見る」ケースが多かったですが、これからは監視カメラを人工知能がチェックしてその場で通報してくれるようになるでしょう。
保守点検の業務では、「清掃員」などが分かりやすいですが、他にも商品の検品作業や機械の動作を検査する業務などが当てはまりますし、インフラ系の「点検作業員」も人工知能と機械で代替できるようになります。ただし、修理や復旧作業となると不具合の状況次第ではマニュアル通りに出来ないことも多いため、実際に問題が起きた場合には人間の技術者を呼ぶという形になるかもしれません。
管理系の業務というのは、いわゆる部長や課長といった管理職のことではありません。マンションやアパートの管理人とか、駐車場の管理人など、施設や機材の管理を任される人の事を指します。さらに、工場や生産施設などの機械が正常に動いているかを見たり、数値に合わせて簡単な操作をするだけのような「オペレーター」系の職種も場合によっては人工知能に代替されるでしょう。
ただし、人工知能やロボットが労働力の大半を閉めるようになると、責任者という意味でも現場で「ロボットを管理する仕事」が増えてくる可能性が極めて高いです。維持する仕事は維持する仕事でも、「人工知能とロボットが働く環境を維持する仕事」という意味で維持系の職種が残ることもあるでしょう。
こうした環境で生き残っていくために必要なことは、人工知能やロボットに関する理解も含め、専門的な知識とスキルが必須です。
何も起こさないようにするのはロボットの仕事になりますが、それでも何か起こったら人間の出番です。何か起きた時にロボットには出来ないことをする能力があるかないかで、その仕事を奪われるかどうかが決まるでしょう。
何かを運ぶだけの仕事は消える
- 運送系 -「輸送」「配達」などの業務
- 交通系 -「タクシー」「バス」「電車」の運転業務
- 収集系 -「ゴミ」「廃棄物」などの収集業務
運ぶものが人かモノかゴミかに関わらず、「何かを運ぶだけの仕事」というのは人工知能やロボットに奪われる運命にあるでしょう。
運送系の業務は、「トラックの運転手」などがそうですが、他にも「郵便配達」「新聞配達」「宅配便」など、取り扱いの容易なモノであればほとんどすべての運送業務が人工知能とロボットによって行われるようになります。自動運転車などの開発は、人工知能開発の中でも特に進んでいる分野であり、最も早い段階で代替が進んでいくことでしょう。
交通系の業務は、「タクシー」「バス」「電車」などの運転手がそれに当てはまります。これはモノではなく人を運ぶ業務であり、人の命を預かるという点でモノを運ぶ業務とは大きく異なりますが、これも最終的には人工知能によって行われるようになるでしょう。それでも、きちんと安全性が確認されるまでは機械任せとはならないため、モノを運ぶ業務に比べると導入は遅れるはずです。
収集系の業務は、「ゴミ」「廃棄物」「リサイクル品」などの収集業務のことを指します。集めるものにもよりますが、多くの場合は定期的に同じ場を回ってモノを集めて回るだけなので人工知能とロボットに代替可能な職業です。場合によっては取り扱いの難しいモノを扱わなければいけないこともありますが、それも扱い方を学習させた人工知能に任せることができるでしょう。
車に限らず、船や飛行機やヘリコプターも人工知能によって完全にコントロールさせることが可能になります。そうなれば、乗り物はモノや人を乗せるだけの器となり、運転する必要がある道具ではなくなります。
そうなった時に人が出来ることは人間ならではの気遣いです。ロボットに扱わせたくない大切なモノを運ぶ際や介護の必要な病人や高齢者を運ぶ際には、もうしばらく人の手が必要になるでしょう。ただ人やモノを乗せて運転するだけではなく、運ぶモノや人に対する「サービス」を提供できるような運転手を目指すと良いかもしれません。
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