用途その1:有事の際に時間をかせぐ
さて、核シェルターの主たる用途は「核兵器の爆風・熱線を避ける」「死の灰の影響を最小限に抑える」ことにあります。これを実践したところで、核兵器が使われたら日本は終わりなのではないかと思うかもしれません。
何をもって「終わり」とするかについては議論の余地がありますが、本当に終わってしまうシナリオを考えましょう。核兵器が大量に投下され、日本全土が火の海になったとしても、まず1-2週間もあれば運良く被害を免れた自衛隊や外国軍が救助に動きます。
その頃には外の放射能汚染も多少は弱まっていますし、被爆するとしてもシェルターを出てからヘリや車で港や空港まで移動するのにかかる時間はそれほど長くありません。上手くシェルターに隠れて内部被曝さえ避けられれば、外国へ逃げることで生き延びることはできます。日本人がよほど嫌われていない限り、難民として諸外国が受け入れてくれるでしょう。
外国が助けてくれればの話ですが、シェルターに隠れられれば望みは繋がるのです。本当に日本全土に死の灰が降ったら隠れる場所はありませんし、外国からの救助もすぐには来ません。シェルターが無い場合、救助を待っている間に致死レベルの被爆をする可能性が高いです。
家族だけでも守ってやりたい。そんな思いで核シェルターを作る行動は、紛れもなく正しい行動と言えるでしょう。
用途その2:平時に思う存分遊べる空間にする
そうは言っても、核攻撃なんてそう簡単にされないだろ。
というのも、もっともな意見です。核攻撃をしたら、した国が終わります。日本は高度なミサイル防衛システムを持っていますし、中途半端に攻撃して迎撃されては意味がありません。とは言え、テロリストのような組織がこっそり持ち込む場合は別ですが。
とにかく、平和な時は無用な長物となるのは大きな問題です。そこで、核シェルターを別の用途で使う方法を考えましょう。
(オーディオルーム化したシェルター_SP)
これ、核シェルターです。
当たり前と言えば当たり前ですが、核シェルターで重要なのは「地下に埋めること」「分厚い外壁を持つこと」です。これは放射線の影響を防ぐためで、実を言うと内装は自由に選べます。シェルターの内部をカラオケルームにしようが、オーディオルームにしようが勝手です。多くの場合、内装は施工業者のオプションに含まれます。
予算がギリギリでも、換気装置は充実していますので、そのまま倉庫にしても良いでしょう。水や食料の他に、ワインでも漬物でも、湿気に強いものであれば問題なく保存できます。
日本の場合、気候の関係もあり欧州のシェルターに比べるとそれほど快適とは言えない核シェルターですが、音や振動が一切漏れない空間というのは貴重です。楽器を扱う人間であれば、防音ルームの代わりにシェルターを作ってしまうのも良いかもしれませんね。
核シェルターは有事の際には頼りになる存在ですが、平和な時代にはどうしてもその必要性に疑問符がつきます。それでも、平和な時でも有意義に使えるような用途を考える事で、予算に見合った価値を持つようになるのではないでしょうか。