暖房機器の原理と仕組み、メリットやデメリット(その3):伝導熱を使い体を直接暖める製品

電気毛布

なかぎし 掛け敷き毛布

 次に電気毛布。

動作原理はホットカーペットと同じですが、就寝時に使用し、全身に直接当たる形で使用します。

掛ける毛布としても、敷く毛布としても使えるタイプが多く、温度調節機能が付いている製品が多いです。今では比較的一般的になっていますが、これは他の伝導式の暖房機器と違い「長時間使用する前提」で作られている伝導式温熱機器と言うやや異質な製品なのです。

何故、これが異質かというと、低温やけどのリスクを克服するために様々な技術が投入されているという点にあるでしょう。

寝る時に人は布団を掛けますが、布団が暖かいのは体の熱を逃さないからです。体の熱は36℃前後であり、布団の中はそれより低めの温度となります。ですので、電気毛布もその温度に収まるように熱を発生させようとしますが、冬にこう言った製品を使う場合には、熱は発生させてもすぐに冷たい空気の中へと逃げていくので、30℃の温度を発生させれば良いわけではありません。

そのため、熱源自体は44℃以上の「低温やけど」するレベルの熱を発生させるのですが、それが人に届く時には低温やけどしないレベルに収まるる必要があります。最近の電気毛布は、大気の温度などを測定し、最適な熱量を発生させる様に設計されており、決して低温やけどするレベルの熱にはなら無い様に設計されています。

伝導式の暖房機器には簡単な構造の物が多いのですが、その中でも電気毛布は安全性に配慮された技術の固まりと言うことが出来ますね。

就寝時に安全に使える。密閉性の低い家に最適

スイッチ部などが就寝時に邪魔になる、気温次第で寝苦しいことも

携帯性の高い機器

敷く、掛ける系の伝導式の暖房機器から、今度は携帯型の機器をご紹介します。もはや暖房機器とは言えないのですが、暖を取る製品ということで比較紹介する意味でもピックアップしていきます。

高性能なバッテリーや電子レンジの登場で、携帯カイロ系の市場も非常に進歩してきており、電気式のカイロや電子レンジで暖めるタイプのゆたんぽも発売されています。

湯たんぽ

萬年 トタン湯たんぽ

昔から存在する湯たんぽは、中に温水を入れてその熱を少しずつ体に移すようにして暖を取る製品です。

温水を入れるだけで使えるため、非常に便利で安価な製品であり、比較的長時間暖を取れるのであらゆる場面で重宝されています。

ただ、最大の欠点は温度調整が極めて難しいということ。低温やけどの大部分が湯たんぽによるもの、と言う統計もあるほどで、熱湯を湯たんぽに入れてそれをそのまま使ったり、薄い布一枚で十分だと思って使ったりすると低温やけどに発展するようです。

また、水の温度や量に応じて暖かい時間も限られており、携帯用と言えど持ち歩くのも簡単ではありません。主に、屋内で布団などに入れて抱きかかえるようにして使われる(熱いお湯だと非常に危険)ケースが多いようです。

温水を入れるだけですぐに使えて、非常に経済的

温度のコントロールが難しく、低温やけどのリスクが極めて高い

最近では、温水を入れるタイプではなく、水よりも蓄熱量の多い物質を内蔵した物質をレンジで暖めて使うタイプも販売されています。

レンジでゆたぽん

基本的には方式は同じですが、お湯よりも長時間持つ上に、ゲル状で柔らかいため使い勝手も通常の湯たんぽより改善されているようですね。特に形状を選ばないので、用途に合わせた個性的な製品が存在しています。