リチウムイオンバッテリーの制御装置
リチウムイオンバッテリーが爆発するという話をよく聞きます。もし、世の中のリチウムイオンバッテリーが陽極・陰極・電解液・絶縁体を軽く包装した程度で作られていたら、それは充電池ではなく時限爆弾でしょう。
というのも、リチウムイオンバッテリーを過充電するとかなりの確率で燃焼・爆発するからです。
過充電以外にも、充電されてエネルギー満タンの状態でショートさせたり、異常放電や異常充電、過加熱などを行うと燃えたり爆発したりします。
他の電池でも想定されていない使い方をすると異常な現象が起こるものですが、リチウムイオンバッテリーほど燃えやすく爆発しやすい電池は普通の人が使う電池の中には存在しないでしょう。
「おいおい、とんでもない電池だな」
と思うかもしれませんが、まともなリチウムイオンバッテリーには電池そのものに充電制御機構が組み込まれており、絶対にそう言った異常事態が起こらないようになっています。
制御機構には様々なものがあります。過充電や異常充電を防ぐ機能だけでも、
- 満充電になったら充電を停止する
- 満充電付近で充電速度を緩める
- 電圧や電流を制御して、常に一定になるようにする
のように、数多くの制御装置が組み込まれているのです。
また、他の充電池にも言えることですが、過放電を行うと充電ができなくなってしまうため、一定以上放電を行って容量が少なくなると勝手に放電を中止して過放電を防ぐ機構も備わっています。
ただし、これらの制御装置には高度な技術が用いられているため、必然的に電池は高価なものとなります。そのため、制御装置を簡略化した粗悪なリチウムイオンバッテリーなどが出まわるようになり、爆発事故に繋がってしまっています。
国内のメーカーで粗悪なバッテリーを作っているところはありませんが、ラジコンなどに使われているリチウムイオンバッテリーでは制御装置がついていないため、これを普通に充電すると非常に危険です。通常は、制御装置が組み込まれた「専用の高性能充電器」を使って充電する様になっています。
つまり、電池の内部に制御装置が組み込まれていなければ、制御装置が組み込まれた充電器を使うことで安全に使用することが出来るということなのですね。
リチウムイオンバッテリーの特徴まとめ
リチウムイオンバッテリーの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 軽量で軽く、携帯性に優れる
- 高出力で大容量、様々な用途に使える
- メモリー効果や自然放電が少ない
- 頻繁に充電を繰り返す場合に最適
- 過充電により燃料・爆発のリスクがある
- 充電には充電を制御する装置が必須
要は、とても便利で高性能な電池だけど、使い方を誤ると非常に危ない。ということです。
だからといって、リチウムイオンバッテリーを使っていない端末を探しまわる必要はありません。基本的には、マニュアル通りに使っていれば何の問題もないのです。
ただし、粗悪な製品には気をつけて下さい。純正を装った海賊版バッテリーなどが一部で出回っており、そう言ったバッテリーを使ってしまうと、普通に使っていても大きな事故に繋がる可能性があります。
バッテリーに限ったことではありませんが、車の燃料も、電気のコンセントも、バッテリーも、「エネルギーを供給する」装置は、そのエネルギーの使い方を謝れば事故につながる危険性を孕んでいます。
原子力発電所ではありませんが、エネルギーと言うのは人の生活を豊かにする力を持っているだけではなく、人の生活を破壊する力も持っているのですね。
【次回: リチウムイオンバッテリーを長持ちさせる方法とその理由】