充電池と言うのは、充電と放電を繰り返しながら長時間使えるのが特徴です。しかし、充電池と言うのは長時間使っていると消耗が激しくなり、徐々に電池容量が少なくなってしまいます。
買い替えの容易なニッケル水素電池や消耗が気にならない自動車の鉛蓄電池を使用する場合には気を使うことも無いかもしれませんが、リチウムイオンバッテリーを使用する携帯やスマホ、ノートパソコンではリチウムイオンバッテリーの消耗がどうしても気になってしまうものです。
そこで、リチウムイオンバッテリーを長持ちさせるためのテクニックと、何故そのテクニックを使うと長持ちさせることが出来るのかを踏まえてご説明していきます。
関連記事
・リチウムイオンバッテリーの原理と特徴
・ニッケル水素充電池とは?欠点を克服したエネループ
・アルカリマンガン乾電池とニカド充電池はどう違う?
・化学・物理・生物(バイオ)を利用した多彩な原理
容量が無くなるとはどういう状態?
まず、長持ちさせるテクニックを知る前に、容量が無くなると言う現象について理解しておきましょう。
バッテリーの容量と言うのは、バッテリーの電気が無くなるまでにどれくらいの電流を流すことが出来るかで算出されています。しかし、バッテリーの電気が無くなっても、実は電気自体は残っています。単に、電子機器を動かせるだけの「電圧が無い」と言うだけなのです。
つまり、バッテリーの電気が無くなったと言うのは、「必要な電圧が出なくなった」と言う意味であって、中の電気が無くなったと言う意味ではありません。
そこから導き出されるのは、必要な電圧が出にくくなるだけでも容量が少なくなるということなのです。必要な電圧が出にくくなる現象は、バッテリー内部の化学反応が起こりにくくなることで発生しますが、それを一般的には電池の消耗と呼びます。
では、どうするとその化学反応が起こりにくくなる(消耗する)のでしょうか?
長持ちさせたい場合にやってはいけないこと
まず、リチウムイオンバッテリーの消耗を防ぎ、長持ちさせるためにやってはいけない三原則から説明します。
- 電池を使い切る
- バッテリーを高温状態(45℃以上)にする
- 急速充電(高電圧・大電流充電)の多用
基本的に上から順に消耗を早める行為になっています。
理由について順番に説明していきましょう。
電池を使い切るのがダメな理由
バッテリーが高温に弱いとか、高速充電が消耗を早めると言う話は聞いたことがあるでしょう。しかし、使い切ると良くないと言うのは知らない人がいるかもしれません。
これは、ニッケル水素電池やニカド電池などを使う場合、使いきらないで充電するのは良くないと言われていたからです。これは、「メモリー効果」と呼ばれる、電池を使いきらずに充電する(継ぎ足し充電)と容量が見かけ上減ってしまう現象に対する対策でした。
しかし、リチウムイオンバッテリーの場合はメモリー効果が殆ど発生しませんので、使い切る前に充電する継ぎ足し充電によって容量が減ってしまうことはありません。
一方で、リチウムイオンバッテリーはかなり高い電圧で動作するように作られている大容量・高出力の電池です。それでも、使い続けると容量が減り、どんどん電圧が下がっています。
そして、それがメーカーで頻繁に使うと想定していない電圧まで下がってしまうと、リチウムイオンだけでなく、リチウムイオン以外の金属部品が溶けてイオン化し始めます。その状態で充電すると、溶けた金属が予期せぬ部品と結合して固まります。すると、排水口にゴミが詰まるように電気の流れが悪くなっていくのです。
この現象が発生すると、同じ時間充電しても以前までのように高い電圧が出なくなります。つまり、電池が消耗するのです。
また、使いきった状態で長時間放置すると「過放電」と言う状態になり、そうなると致命的な劣化を招きます。場合によっては、それだけで使用不能になりますので注意しましょう。
もちろん、多少使い切ったぐらいでは問題になりませんし、普通は過放電になる前に制御装置が働いて過放電を防ぎます。しかし、低電圧状態に近づくと上述の現象が多かれ少なかれ発生しますので、使い切る習慣がある人は気をつけた方が良いかもしれません。
(次ページ: バッテリーを高温状態にすると?)