ボトルキャップを分別して回収する理由
ボトルキャップを分別回収する理由には、「リサイクル製品の品質を高める」以外に回収業者側の事情がありました。
まず、「中に液体が入っていると困る」と言う理由。
中に液体が入ったまま廃棄されると、回収時に液体が漏れてきたり、回収に使っている車両や人員が無駄に汚れてしまうことがあります。また、リサイクル過程で用いられる機械に不具合が出る可能性もあるので厳禁です。
ちなみに、ボトルの中を洗って欲しいというのも、工場のラインを汚さないため、洗浄を確実にするため、というのもありますが回収業者側の衛生面の事情もあります。
もう一つ厄介なのが「プレス時にペットボトルが破裂すること」です。
空きペットボトルは中が空洞になっていてかなりかさばります。そのため、回収業者は回収したペットボトルをプレス機にかけてコンパクトにして回収することがあるのですが、蓋がきっちりしまったペットボトルは中の空気が抜けないのですぐには潰れません。
風船を潰して割ろうとすると盛大に破裂するように、蓋の閉まったボトルも盛大に破裂することがあります。巨大な密閉型プレス機ならボトルごときが破裂しても問題ないので良いですが、小型のプレス機の中に多数の蓋が閉まったボトルがあると破裂したボトルの破片が飛散する可能性もあります。
作業員が怪我をする可能性もあるのでキャップは外した方が良いでしょう。もちろん、蓋が閉まったまま捨てられることの多いコンビニなどのボトルはプレスせずに回収し、安全が確保できる工場でプレスします。
キャップをつけたままでリサイクル自体には問題がなかったとしても、ルールが守られず回収業者がボトル回収を敬遠するようになると自治体側の負担は重くなり、その負担は最終的には住民にのしかかることになります。小さな努力で後々の負担が軽減されていると考えると良いですね。
ただ、それならそれで蓋を外して中身を捨ててボトルと一緒に回収したって良さそうなものですが、ボトルキャップの素材はプラスチックの包装容器などと同じなので、せっかく外したらならそっちと一緒に回収したいということです。
ある意味では、「効率よく回収するついでに」分別していると言えるかもしれません。
ペットボトルのリサイクルは本当に必要?
「回収業者も大変だし、消費者も大変だし、結局高品質なプラスチックにするのが難しいなら最初からやらなければ良い」
そう考える人も少なくありません。また、リサイクルには多数の機械や車両を使いますし、燃料も必要です。資源を有効活用するために、燃料を消費してCO2を出していたのでは本末転倒だと言う意見もあります。
ペットボトルのリサイクル以外にも、エコキャップ運動などが「消費燃料や排出二酸化炭素の方が節約できる分より多い」としてエコではないとされることもあり、そう考えると、果たして「プラスチックのリサイクルは本当に必要なのか」疑問に思えてきます。
日々技術は進化している上、業者によって処理方法が違うので一概には言えませんが、確かに短期的に見ると非効率な流通方法が残っていることは否めません。
ただ、ペットボトルのリサイクルに関してはシステム作りが進んでいることもあり、非常に効率的に品質の高いプラスチック製品が作れるようになっているので効果は高いといえます。
また、中長期的な視点を持つことも大切です。
こうしたリサイクルにおいて重要なのはリサイクルの意識や流通を早い段階で広めておくことで、将来的にそれが当たり前の社会を作ることが目標になっています。
化石燃料の使用量が今後どんどん少なくなっていくことは間違いありませんし、化石燃料の大半が自然エネルギーや核エネルギー、水素エネルギーなどに徐々に代替されていくものです。
実際に水素エネルギーの利用も広がっており、将来的にはリサイクルにかかるエネルギーがCO2フリーになり、循環型エネルギーに切り替わっていくことは疑いようがありません。そうなれば、リサイクルにかかるエネルギーというのは許容される範囲になるでしょう。
そのように考えてみると今はあくまで過渡期であり、現段階で無駄だと決めつけるのは早計です。
あらゆる資源を循環可能型にするという「真の循環型社会」というのはまだまだ絵空事でしかありませんが、今後何十年と先の日本を考えてみた場合、ペットボトルのリサイクルから始まる循環型社会というのもあるのかもしれませんね。
参考:
ペットボトルリサイクル推進協議会(http://www.petbottle-rec.gr.jp/)
プラスチック循環利用協会(http://www.pwmi.or.jp/)