人工知能と差別化できる5種の仕事!機械との競争に生き残れる職業とは?(後編)

前編では、創造系と芸術系の職業が何故人工知能やロボットとの競争に勝てるかについてご説明しましたが、後編では発展形・厚生系・教育系が生き残っていく理由についてご説明していきます。

進化と発展を生み出す仕事は生き残る

  • 研究系 -「学術研究」「技術開発」などの業務
  • 経営系 -「起業」「運営」「コンサルト」などの業務
  • 政治系 -「政策」「統治」「調停」などの業務

創造的な仕事には分類されなくとも、「人類・社会・自然を理解し、変化を生み出す仕事」に関しては人工知能に代替できない部分が大きいです。

物事を理解し変化を起こすというのは非常に難しいことです。人工知能も高い理解力と変化を生み出す力を持っていますが、人間とは全く別の思考回路を持つため、似通っていたとしても、「理解し、実行する」という領域で完全に人間と同じ立場に立つことはありません。

研究開発系では、「各分野の学者」「研究者」「評論家」「料理研究家」などがそれにあたります。学者の中でも、特に社会学・心理学・人類学などの領域については人間の行動について扱うため、さらに踏み込みにくい世界です。

ただし、人工知能は人間とは別の視点で物をみるため、彼らの視点だからこそ理解できるものもあるはずです。既存の研究者達に加わる形で人工知能が参加することは大いに有り得るでしょう。

また、試行錯誤という点では人工知能とロボットのスピードがモノを言います。生化学の分野では様々な素材や物質をひたすら試しながら性質を理解するという要素があるため、人間の研究者以上の成果を出せる人工知能は必ず出てくるはずです。

経営系の仕事には、「起業家」「経営者」「コンサルタント」などが含まれます。経営者や起業家の決断の中でマニュアル通りに行くものなどは殆どありませんし、特に重大な決断は前例がなく、最終的には経験と勘に頼って行うこともあるでしょう。そのような分野の仕事を人工知能に任せることは出来ません。

人工知能のトップの元に人が働くという構図はSF的ですが、大きな社会構造の変化が起こらない限り難しいでしょう。支社や分社であれば本社の意向に合わせて従う人工知能があっても不思議ではありませんが、企業の階層構造のトップは少なくとも人間になるはずです。判断の難しさというのもありますが、経営者が人工知能では、最終的な責任の所在も分からなくなるため難しいでしょう。

政治系は、「政治家」や「裁判官」などです。国や自治体の議員全てが人工知能に置き換わることはまずありません。裁判官も同じです。人間を正しく理解し、人間の生活に責任を持てるのは人間だけだという考え方が少なくとも今は広がっており、それが数十年の間に変わることもないでしょう。人工知能が人を統治するのであれば、それは社会システムそのものに大きな変化が起きた後です。

ただし、国民の言葉をダイレクトに反映させるツールとして人工知能が使われる可能性はあります。ネットワークを通じて国民の意見や考え方を集め、議員や裁判官を補助する存在として発言する形を取ることは出来るでしょう。

人間の知識は有限ですが、人工知能の知識は人間に比べると無限に近いのです。人に代わることはなくても、彼らの知識を参考にしない手はありません。

医療や福祉関係の仕事は生き残る

  • 医療 -「診察」「治療」「看護」などの業務
  • 福祉 -「介護」「保育」などの業務

医療や福祉関係にこそロボットが必要だと言われていますが、「人の生活を豊かに健やかにする仕事」については生き残るでしょう。

医療や福祉は人間と直接関わる仕事であり、人間が相手でないと強い抵抗感がある業務が多いというのもありますが、医療・福祉関係の人材不足が深刻だということもあり、人工知能やロボットが医療業界に入ってきたとしても完全に乗っ取られることはまずありません。

医療系では、「各分野の医師」と「看護師」がそれに含まれます。これらの職種は直接患者と触れ合うことが多いため、コミュニケーションや人体のデリケートな扱いを含めて人間であることが求められるケースが多いです。

ただし、「薬剤師」や「検査技師」のような患者との関わりが薄い業種に関しては、ある程度人工知能やロボットによる代替が進む可能性があります。また、看護師の仕事についても、全てではありませんが一部の仕事はロボットに任されるようになるはずです。

ミスのない仕事という意味では人工知能とロボットに分がある上、24時間休みなく働けるというのも大きなメリットになります。医療業界は動くお金も大きく、人材不足だからこそ人工知能とロボット開発が進む分野です。完全に入れ替わる事がないからと油断していると、人工知能とロボットに仕事を奪われる人も出てくるでしょう。

福祉系は、「介護士」や「保育士」といった子供や高齢者の世話をする仕事になります。子供も高齢者も非常に繊細な扱いが必要で、なかなか全てをロボットに任せることはできません。

しかし、疲れを知らないロボットは常に子供や高齢者の様子を観察し、相手をすることができるので何らかの形で人工知能とロボットが福祉の世界に入ってくることは間違いないでしょう。

実際に福祉の世界に導入されているロボットも数知れません。どちらかといえば、介護士の仕事を奪うのではなく仕事の質を高めるために人工知能とロボットが一翼を担ってくれるはずです。