日本人の寿命・生存率・死因-10人に1人は65歳になる前に死ぬ?

「65歳で定年退職してから悠々自適に暮らそう」
そんな風に考えている男性は気をつけた方が良いかもしれません。実は日本人の10人に1人は65歳になる前に死んでいるというのが統計的に明らかだからです。

それが70歳を過ぎる頃には5人に1人、80歳になる頃には5人に2人と劇的に増えていきます。40歳まで生き残れる確率が98.25%であることを鑑みると、60歳まで生きるというのは意外と簡単ではないことが分かるのではないでしょうか。ここでは平成27年の厚生労働省の統計を元に、日本人の寿命・生存率・死因などを見ていきたいと思います。

65歳まで生きていられる確率は男性が88%で女性が94%

・死亡率 -その年齢時に死亡する確率
・生存数 -10万人の内、その年齢まで生き残れる数(生存率という解釈も可)
・平均余命-その年齢時から見た平均的な余命

<簡易生命表(抜粋)>

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(厚生労働省:平成27年簡易生命表を参考に作成)

上の図を見て下さい。

厚生労働省の統計を参考に、ある年齢での死亡率、生存数(10万人中)、平均余命を表にしました。

少々特殊な記載のされ方になっていますが、生存数はそのまま「,」を小数点だと考えて「その年齢まで生きられる確率(生存率)」と捉えても良いでしょう。以下、生存数は生存率に置き換えてご説明しています。

65歳男性を例にすると「65歳での死亡率は1.129%、生存率(生存数)は88.78%、余命は19.46年」という意味になります。この表では全ての年齢時の死亡率が書かれていないのですが、「(65歳までの生存率) = 100% – (65歳までの死亡率の合算) 」という関係になっているのも注目です。

こうして見ると、65歳の死亡率が1.129%というのは少なく見えますが、これは「その歳で死ぬ確率」です。当たる確率が1%の宝くじでも何度も買っていれば当たるように、「各年齢時の死亡率」が低く見えても合算すると「65歳までに死ぬ確率は11%以上」になります。

これは決して無視できる確率ではありません。

10人に1人ということは、65歳になれば友人の何人かは既に亡くなっているでしょうし、同年代の兄弟・従兄弟がいれば誰かは亡くなっているかもしれません。40歳時点での生存率(生存数)が98.25%であることを鑑みれば非常に高い確率です。

30代の男性が「俺はまだまだ死なない」と言っても統計的に納得できますが、50代にもなるとそろそろ注意した方が良いでしょう。40歳までは10年毎の生存率の下落幅(死亡率)が1%未満なのに対し、40歳から50歳で1.5%の下落幅になっています。50歳から60歳を見るとそれが4%になりますので、実に25人に1人が50歳から60歳までの間に亡くなる計算です。

つまり、50歳で同窓会を開いた後、60歳でもう一度同窓会を開いたら誰か1人はいないということ。考えてみると、中々怖いですね。

死因の半数が三大疾病「がん、心筋梗塞、脳卒中」

<日本人の死因別死亡確率>

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(厚生労働省:平成27年簡易生命表を参考に作成)

死因の半数が「三大疾病(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)」というのは今も昔も変わりません。年齢で見ても、65歳以降で特別確率が高くなっているということもないため、年齢に関わらず危険な病気だと言えそうです。ただ、心筋梗塞や脳卒中の割合は減っているにも関わらず、がんの割合が減っていません。むしろ、他の割合が減っている分、相対的に増えているほどです。

こうしてみると「肺炎」が多いのも意外ですが、65歳以降の割合が全体に比べて高く、歳を取ってから警戒する疾患だと言えそうです。肺炎は感染症が原因になるため、抵抗力の低い高齢者が罹りやすいのでしょう。

逆に65歳以上になると割合が減るのが「不慮の事故」「自殺」「肝疾患」です。

65歳になると仕事のストレスが減るので自殺する人も少なくなるでしょうし、外に出る機会が減るので不慮の事故で死ぬ確率も減るということでしょう。肝疾患はアルコールや肥満が原因になることが多く、発症すると死亡率が高いものが多いです。歳を取ると食も細くなってくるので、肝臓に負担がかからなくなるということかもしれませんね。

自分だけは大丈夫、で本当に大丈夫?

健康診断でも30代40代50代で内容が変わってきますが、統計的に見ても40代からは本当に注意した方が良いでしょう。

また、「自分は20代だから大丈夫」という人も、30歳までの生存率は99%を下回っています。1%なら大丈夫だと思いたい所ですが、これは同じ学年で1人亡くなるということです。もしくは、スマホガチャでいきなり激レアアイテムを当ててしまうような確率でしょうか。非常に低い確率なのは間違いありませんが、絶対に無いと言い切れるものでもありません。

それが30代、40代と歳を重ねるにつれ確率が飛躍的に上がっていきます。50代になったら「次は自分の番」ぐらいに思っておくと良いかもしれませんね。