現代に生まれ変わったマッドラーキング
時代はさらに下って1980年頃、マッドラーキングは全く新しいかたちで生まれ変わります
このころ、Society of Themes Mudlarkという会員制サークルが発足。
金属探知機などを使って河床の泥の中を探索する際にはロンドン港管理公社からの許可を要する、また発見物はロンドン博物館に報告するなどのルール作りが進められました。
結果、マッドラーキングは歴史を探索する発掘調査としての意味を持つようになったのです。
Society of Themes Mudlarkは探索のかたわら一般への周知も続けており、2011年からはヒストリーチャンネルでマッドラーキングの様子を追った『Mud men』が製作されています。
今日では多くの人がマッドラーキングをたしなみ、数百年前のコインやボタンなど貴重な遺物が多く見つかっています。
マッドラーキングで何が見つかる?
そんなロンドンっ子のたしなみマッドラーキング。いったいどんなものが見つかるのか、少しのぞいてみましょう。
最もよく見つかるのは、16世紀以降使われていた喫煙パイプ。
これは素焼きの簡素なパイプにあらかじめ煙草を詰めて販売し、買って火をつければすぐ煙草が吸えるというものです。
これは煙草を詰め直せば再利用できるものですが、どうやら当時の人は使い捨てで川に捨てていたようで、時代別の変化を追えるほどに豊富な数が見つかっています。このことから喫煙の習慣はロンドン市民にかなり根付いていたこと、そして素焼きパイプが相当安価に買えたのであろうことがうかがえます。
“Old Bricks – history at your feet”より
レンガもよく見つかります。一口にレンガと言っても、近代以降に制作されたものは工房やレンガの種類に応じた印字が施されており、その種類は千差万別。ここ(英語サイト)では様々なレンガを取り上げ、製造した工房や年代などを調査して記録してあります。
こちらはちょっと、どころかかなり珍しい、古代ローマ時代の髪留めです。
年代は紀元後43~100年頃。骨製で約7cm長。上部には女性とみられる胸像が象られていますが、注目すべきはその髪型。1世紀後半のフラティウス朝に流行したという、髪をカールさせ高く持ち上げる髪型を模したものではないかと考えられています。
これほどの貴重品が見つかるのはかなりまれですが、レンガやパイプぐらいなら泥を掘り返す必要もなく、ちょっと探せばすぐに見つかります。
マッドラーキングの注意点
最後に、テムズ川でマッドラーキングをしてみたい! という人へ、いくつか注意点を紹介しておきます。
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団体でマッドラーキングを楽しむツアーなどもありますが、基本的には危険もあり、自己責任で行うべき行為とされています。体験する機会に恵まれたなら、ぜひ十分に気をつけて楽しんでください。