レーザー兵器とは? 海・空・宇宙を制する光を使った最新兵器

レーザー兵器の軍事利用

レーザーを兵器として活用する試みは、知られている限りではアメリカで盛んに行われています。

銃弾や砲弾と比べた場合

・弾薬が不要

・命中精度が高い

という利点があります。

弾薬いらず

電力があれば発射できるということは、弾薬の補給が必要なくなるということ。弾薬の補給管理が燃料に一本化されるため、ロジスティクスの効率化が図れます。

これは特に大型の艦船にとって意味を持ちます。空母などの大型艦船でも、ミサイルやドローン、小型船を使った攻撃は十分な脅威。それら小型の攻撃兵器に対応するため、防衛用の装備は欠かせないのです。

しかし船に積める弾薬はどうしても限られるもの。例えばアメリカ海軍の駆逐艦が搭載している地対空ミサイルはせいぜい数十発。ひとつの目標に2発撃つ場合を考えると、けして余裕があるとはいえません

さらに弾薬を補充しようと思えば、戦場を遠く離れた安全な場所で行う必要があります。

こうした事情があって、大型の艦船は効率的な運用が難しいという難点がありました。艦船の防御兵器にレーザーが採用されれば、発電用の燃料がある限り発射しつづけられるため、運用効率のアップにつながると期待されています。

命中精度

星の光は気の遠くなるような距離をまっすぐ移動して地球に届きます。光を応用するレーザーもそれと同じで、重力や風などの影響をあまり受けず、しかも光の速さで直進していくもの。この性質によって、弾丸や砲弾よりもはるかに正確な射撃ができるのです。

さらにミサイルや砲弾と違って爆風を生じないため、狙った目標以外への巻き添えが起こりにくい兵器でもあります。

イラクやアフガンでは市街地を舞台に、民間人と敵が入り交じった状態での戦闘が発生しました。高い精度でピンポイントに攻撃ができるレーザー兵器は、民間人への被害を減らすためにも有効だとみられています。

宇宙で活躍するレーザー兵器

地上、海洋での活躍が期待されているレーザー兵器ですが、ある意味では、その真価は宇宙でこそ発揮されるのでは、という意見もあります。

衛星を使った通信や偵察は、ミサイルの精密誘導、相手国の軍事行動や施設の監視など、現代の軍隊に欠かせない機能を担うもの。さまざまな機能を備えた人工衛星の効果的な運用は、地上での軍事的優位に直結します。

人工衛星を攻撃するには、地上からのミサイル発射や攻撃用衛星の打ち上げなどがあります。

レーザーは出力さえ十分であればかなりの距離を直進するもの。地上から衛星軌道上にある人工衛星を直接狙い撃つことさえ可能なのです。

現在ではロシアと中国が宇宙での軍事的優位を目指して積極的に動いているとみられています。そして両国ともその一環として、アメリカの人口衛星を攻撃するためにレーザー兵器を研究しているとみられています。

中国は現在、アメリカに次ぐ数の人工衛星を保有する宇宙の軍事大国。公には宇宙の平和利用を語りつつも、アメリカの推定では、その影で宇宙での優位を得るための軍備拡張を進めているとみられています。

予測の粋を出ない情報ですが、2020年までには地上から低軌道衛星の妨害ができるレーザーを配備できる可能性があります。

ロシアは明確に宇宙での優位獲得に向けて動いています。その動きは中国と比べても顕著で、2018年7月以前にはすでに衛星攻撃用兵器とみられるレーザー兵器の配備を始めていることがアメリカの調べでわかっています。

まとめ

砲弾ともミサイルとも異なるレーザーは、アメリカをはじめとする、いわゆる軍事大国が長年研究を続けている兵器分野。

そこからは地上戦や船舶での戦闘だけでなく、宇宙での軍事的優位を得ようともくろむ国家の戦略が見えてきます。宇宙はあくまで平和利用する、というのが国際的な論調ですが、水面下で進むこのような兵器開発は、他を出し抜こうとにらみ合う宇宙開発の裏舞台をうっすらと映し出しているようです。