「なんか良く分からないカッコ良い!」
そんな人工衛星があっても良いのではないでしょうか?
まあ・・・宇宙とか人工衛星が好きな人からすれば、無骨な人工衛星の方がカッコ良かったりしますけどね。
宇宙詩の発信と地球での完成
宇宙詩って何? まず、普通の人はそこからでしょう。
詩と言うのは、元来言語に依存してきました。美しい響きを持った詩であっても、その言葉を理解できなければその美しさを理解する事はできません。そこで、「音響詩」というものが生まれます。これは、言語に依存しない詩であって、どの世界の言語にも属しません。ある意味、誰にも理解できない詩でありながら、誰にでも理解できる詩でもあるのです。
宇宙詩と言うのは、機械に理解できるコードで人工衛星に音響詩を送り、それを人工衛星に唄わせる詩と言ってもよいでしょう。極端な話「宇宙人にも分かる詩」と言う表現が当てはまるかもしれません。ちなみに、どんな詩なのかを聞きたい方はこちら(ARTSATホームページ)で聞いてみてください。ARTSAT1号機INVADERから送信された宇宙詩です。言葉ではないので意味はよくわからないのですが、聞いていても不快にならず、どちらかと言うともう一度聞いてみたくなる詩に近いですね。
さらに、ただ詩を唄わせて地球で聞くだけじゃありません。
宇宙空間の地球から遠く離れる軌道に乗るDESPATCHの電波は、簡単には聞き取れないレベルに減衰します。言ってみれば、遠すぎて声がよく聞こえないのです。ノイズが混じり、聞き取りにくい電波を世界各国のアマチュア無線家達と強力しながら受信し、受信できた信号をつなぎ合わせるようようにして一つの詩を完成させます。
一見、この共同受信ミッションは何かのゲームのようにも思える試みですが、人間が宇宙に出るのが当たり前になれば、宇宙詩の代わりに深宇宙からのSOS信号を解読する事になるかもしれません。
螺旋状の芸術作品が宇宙で唄う
宇宙で芸術を行う試みは始まったばかりです。
前回打ち上げられたINVADERは、10cm四方の1.8kgの立体で、DESPATCHより遥かに小さい機体でした。今回のDESPATCHに比べると、なんというか少し保守的に見えますね。重量やサイズ制限が厳しかったのかもしれません。
ARTSAT1号機「INVADER」
地球周辺を回る軌道で強い電波を出す必要がないため、大きなトランスミッターが必要なかった要らなかったというのもあるのですが、今回はそうはいきません。
DESPATCHは遠い宇宙を飛び、大出力のアンテナと大容量の電池を搭載しています。その分、デザインにもある程度の余裕があったのですが、螺旋形状には驚かされましたね。ちなみに、傾いているのは、重心をずらして宇宙空間で勝手に回転するようにということらしいです。
アンテナの位置を変えられませんので、くるくる回ってくれないと上手く地球で電波を発信できないのですね。おそらく、とぎれとぎれになりますがつなぎ合わせれば詩が聞こえる筈です。
アマチュア無線家の方で、DESPATCHの詩を聞きたいという方は、こちら(共同受信ミッションについて)に詳しい方法が書いてあります。ARTSATプロジェクトのフェイスブックのページもチェックしてみてください。
太陽パネルのないDEPATCHが電波を発信する期間は1週間程とのこと。太陽パネルを搭載していたとしても、一ヶ月も経てば並みのアンテナでは電波が届かないので意味が無いそうです。乗り遅れないようにしましょう。