そうりゅう型潜水艦の性能と任務、日本の四海に潜み外敵を撃つ海自の切り札

前述の三点が日本の潜水艦の優れている点ですが、
次に、その高性能な潜水艦が何故日本の防衛にとって重要なのか、
そして、どれほど強力なのかについてご説明します。

イージス艦ですら恐れる潜水艦の存在

潜水艦は海に潜る兵器で、レーダーや目視で確認する事はできません。海に潜った潜水艦を見つけるには、ソナーと呼ばれる音を検知する装置を使って潜水艦が発する音を聞き分けないと行けません。しかし、レーダーはモノがそこにありさえすれば見つけられますが、ソナーの場合「音を発していなければ」見つけられません。裏ワザとして、自分が音を出して跳ね返ってきた音を聞き取る(やまびこの原理)アクティブソナーと言うやり方がありますが、自分が見つかってしまうのである意味最後の手段です。

そうして考えて見ると、イージス艦と言うのは高性能なレーダーと電子装置を備えた「海上では」最強の兵器ですが、海の中では普通の駆逐艦や護衛艦と変わりありません。他の艦船と同じく、ひたすら音を聞き続けるしかありません。

海上の船は潜水艦と違って海を割くようにして航海しているため、潜水艦に比べると遥かにうるさい船です。普通に進んでいたら、まず間違いなく潜水艦が先に海上の船を見つけます。そのため、イージス艦を含め大部分の水上艦は、開き直って常にポンポンと音を立てて跳ね返ってくる音で潜水艦を見つけようとします。

しかし、優秀な潜水艦の乗組員は海の地形をきちんと把握しており、ソナーに見つかりにくい場所を知っています。海自の潜水艦乗りは、毎日の様にその地形把握の訓練を受けており、水上艦のソナーから隠れるために海底に鎮座して待機する事ができます。どういうことかというと、いわば陸上で言う「伏せ」の状態で、海底の凸凹に音が跳ね返るため、潜水艦を見つけることが更に困難になります。

もし、そうりゅうが海底の凹凸に姿を隠し、完璧に音を消してイージス艦を待ち受けていたら、イージス艦といえども潜水艦の熾烈な先制攻撃にさらされるでしょう。

高性能な潜水艦とその乗組員は、数十発のミサイルや戦闘機ですら簡単に撃ち落としてしまうイージス艦が唯一恐れる敵であると言っても良いかもしれません。

防衛任務では原潜より怖いそうりゅう型

「いや、でも原潜の方が強い!」 と思うかもしれません。

確かに、外洋に出て行って数ヶ月間敵国の船を監視したり、潜入して破壊活動をするのであればそうりゅうは原子力潜水艦には敵いません。

しかし、防衛任務であればそうりゅうのような高性能通常動力型潜水艦の方が戦闘力は上です。

防衛任務の場合、潜水艦は比較的安全な自国の領海から近い場所で戦うことになります。つまり、通常動力型の欠点である「いつかは海上に出なければいけない」と言う事情があまり意味を成さなくなります。さらに、海底の地形なども平時にきちんと測量しており、敵の潜水艦が接近してくるルートも把握できています。

潜水艦を攻撃する場合には魚雷や爆雷しか使えない上、誘導装置も搭載した魚雷攻撃が潜水艦に直撃してしまえば原子力潜水艦でも通常動力型潜水艦でも一発で沈んでしまいます。そのため、船体の大きさや武器の数はあまり意味がありません。

そんな海中で潜水艦同士が隠れんぼをした場合、先に敵を見つけた方が勝ちます。

原子力潜水艦は電池ではなく蒸気タービンによる発電で動いており、タービンの音が常に発生しています。さらに、原子力発電によって発生している莫大な熱が僅かながら海中に放出されており、赤外線探知などに引っかかりやすくなっています。

もし、相手が中国でもロシアでも米国でも、原子力潜水艦と言う「原理的に若干うるさい」潜水艦が相手であれば、日本のそうりゅうが負けることは無いでしょう。

 

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※当サイトで掲載されている記事に、大幅に加筆修正を加えて製作されたものです。