輻射という電磁波の発生と「輻射熱」
物質の運動が熱であるということはわかりました。しかし、これだけでは熱を理解しきれていません。
物質(分子)の運動が熱と呼べる一方で、熱をもった物質は動きまわる以外にもその有り余ったエネルギーを電磁波という形で放出しています。
この電磁波が輻射です。そして、電磁波と言うのはエネルギーを持っています。このエネルギーを電磁波に含まれる光子と呼ばれる粒子の運動と言ってもいいかもしれませんが、ここでは純粋に電磁波はエネルギーを持っていると理解して下さい。
そして、この電磁波のエネルギーは物質に当たると一部が熱に変わります。物理学的に正しいかどうかは置いておいて、電磁波の中の光子が勢いよく分子にぶつかってエネルギーを分けたというイメージで理解して頂いてもよいでしょう。
そして、こうして生まれたのが輻射熱なのです。
太陽は熱いです。電磁波(輻射・光)を出しています。そして、それが私達に当たると熱(輻射熱)に変わります。つまり、私達が太陽の光で暖まる事ができるのは、輻射熱があるからなのですね。
さて、物質が輻射熱で暖まる過程をまとめると以下のようになります。
物質A→熱→電磁波(輻射)→熱(輻射熱)→物質B
こう見ると、熱ければ熱いほど電磁波が出て輻射熱が発生するかというと、そういうわけではありません。
輻射熱と言うのは、「電磁波(輻射)→熱(輻射熱)→物質B」の部分が揃っていれば発生します。つまり、熱がなくても輻射熱を作れるのです。
また、同じ熱を持っていても物質によって出す電磁波の種類や量が違えば、その電磁波の種類によっては受け取る側が沢山の熱を受け取れる事もあれば、ほとんど熱を受け取れない事もあります。
後述しますが、電子レンジなどはその原理を利用して、食べ物の水分だけが暖まるような輻射熱の使い方をしています。