電池の種類、化学・物理・生物(バイオ)を利用した多彩な原理-電池のしくみ(1)

このように、化学反応を使うという点で同じだと言っても、非常に多くの種類があることがわかります。しかし、電気エネルギーを取り出すために必要なのは、化学反応だけではありません。

物理電池の種類

物理電池と言うのは、物質の物理的性質を利用して電気エネルギーを取り出すものです。

物理的性質と一口に言っても様々なのですが、この場合大きく分けて「熱エネルギー」「電磁的エネルギー」に分けられます。物理電池は、これらの物理的なエネルギーを電気エネルギーに変換する機器と言えるでしょう。

光電池

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所謂、太陽電池です。太陽光は強力な電磁波でもありますので、この電磁波を電気エネルギーに変える機器と言えるでしょう。

一部の物質が強い電磁波を受けると、物質内部の電子が強いエネルギーを持ちます。そして、一定以上のエネルギーを持った電子は一箇所に留まらない自由電子となるのですが、プラスとマイナスの半導体の内部でその現象が起きると、その電子はプラス方向に移動を始めるのです。

つまり、流れる電子がない物質に光を当てて流れる電子を作り出す電池ということが出来ますね。

熱電池

熱電池は、熱エネルギーを電気エネルギー変える電池です。

実は、同じ物質の中で片側が熱くて片側が冷たいというような、一定の温度差があるとそこにわずかに電流が流れると言う現象を利用しています。

放っておくと熱が全体に広がって電流は流れなくなりますが、電流が流れると電気抵抗で熱が発生することもあり、熱の広がりに電流が寄与していると考える事もできるでしょう。

発生する電力自体は小さいものの、小型で長持ちするため、人工衛星などで使われています。

原子力電池

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原子力電池と言っても、大元のエネルギー源が「原子力」と言うだけで、実際には光電池や熱電池の原理を使って電気エネルギーを発生させています。

というのも、放射性物質は放って置くと核崩壊を起こして熱と電磁波を発生させるため、それを光電池や熱電池を使って電気エネルギーに変えれば、原子力電池の完成です。

核崩壊と言うのは言ってしまえば小さな核分裂です。放射性物質と言うのは、核爆弾や原子力発電所じゃなくても、非常にゆっくりと核分裂しながらエネルギーを発生しているので、これを上手く使って電気を作ったのが原子力電池ということです。

放射性物質の選び方次第で、何十年という単位でエネルギーを発生し続けるので太陽の光が届かないほど遠くで活動する人工衛星や宇宙探査機などで使われています

原理の違いとエネルギー

詳しいしくみについては別の機会にご説明していきたいと思いますが、本当に沢山の原理の電池があることが分かります。

一次・二次電池については昔から存在する電池で、今でも広く使われていて進歩し続けています。また、用途に合わせて熱電池や光電池、そして原子力電池なども幅広く使われています。現代では燃料電池が車などに搭載されるようになり、エコロジーな電池として生物電池の研究も進んでいます。

電気は私達の生活に欠かせないエネルギーですが、存在が認知され、実際に使われ始めたのはここ200年前後のことでしかありません。たった200年の間に電池が生まれ、進歩し、現代の姿になりました。

今では電池なしで生活するなんて想像がつきませんが、生物電池などは人の食べ物からも発電できるそうです。理論上はご飯一杯で単三電池60本分の電力を取り出せるそうなので、いつの日か人の体内に電池が埋め込まれ、人に繋いで充電する人間電池なんて電池が生まれてしまうかもしれませんね。