そうりゅう型潜水艦は、ドイツの216型やフランスのシュフラン(バラクーダ)級に勝てるのか?

性能に関してもこのクラスでは最高峰なのですが、唯一の欠点とされるのが搭載AIP(非大気依存推進)「スターリング・エンジン」の出力不足です。AIPと言うのは海上に出ないでずっと潜り続けるための推進機構のことですが、スターリング・エンジン方式は燃料効率や静粛性という面では高いメリットがあって、航続距離は長いのですが、速度が5ノット(時速9キロ)しか出ません。電池で航行すれば20(時速37キロ)ノットになるのですが、電池は長時間使い続けられるようなものではないので、適宜AIPで充電しながら移動するか、浮上しなければなりません。

豪州の国内需要という面でも不利な点があります。そうりゅうは日本独自の極秘技術を多数搭載しているため、設計図を渡して「そっちで作って良いよ」とする事はできません。日本国内で作り、ほとんど完成した状態で渡す形になります。これでは、豪州の造船所の雇用が失われる結果になります。

まとめると、
行動半径◯、米国製△、信頼性◎、性能◯、雇用✕

というところでしょう。

さらに詳しい性能については別の記事にて詳しく説明していますので、興味があったら読んでみてください。

国別比較:ドイツ―216型

計画中の潜水艦なので、多分に各所から出ている推測や予想が盛りだくさんなのですが、大まかに説明していきます。

216型は、現在ドイツで運用されている最新型212型をベースにした計画中の4000トン級潜水艦です。

ドイツの領海は狭いので、今まで作ってきた潜水艦は全て比較的小型のものでした。しかし、行動半径の広い潜水艦の需要も比較的増えてきたため、大型艦の建造計画が誕生します。

行動半径は間違いなくオーストラリアの要求を満たす船となるでしょう。水素と酸素を用いる燃料電池は日本のAIPより速度や航続距離に分があり、かなり広い作戦行動範囲になることが予測されます。

米国製兵器の運用ですが、ドイツは古くから潜水艦や水上艦艇を現地向けに改修して輸出していますので、米国製兵器が運用できるように潜水艦を改装するなどお手のものです。そのため、そういうニーズに答えるのであればドイツの潜水艦の方が良いのではないかとされています。

次に信頼性。「完成すれば」高い信頼性を持った潜水艦になるはずですが、そもそも完成するかどうか分からないというのが最も恐ろしいところです。というのも、ドイツに限らず、計画が発表されたけど中止になったり、仕様が大幅に変わったりする事はよくあることなのです。特にドイツ海軍的にはそこまで大量に使わないであろう大型艦なので、仕様が削られて豪州が求める水準にならなくなる可能性もあるので、不安材料がかなり多いです。

性能ですが、Uボートで名を馳せたドイツの潜水艦だけあり、これはおそらく「完成すれば」世界一の潜水艦になるはずです。「燃料電池」を搭載し、高速で静かでありながら、大型で広い作戦半径を持つ最強の通常動力潜水艦。

ドイツは豪州での国内生産を許可しています。「計画中の最新型を何故?」と思うかもしれませんが、これは輸出用にダウングレードした性能限定版です。ですので、豪州に肝心の最新技術が盗まれる事はありません。性能が多少落ちても優秀な潜水艦であることには変わりないので、十分ニーズはあるでしょう。豪州の造船所の雇用も守れます

残念なことに、これは多分に推測が入り交じっています。というか、推測だらけです。それを踏まえてまとめると、
行動半径◯、米国製◯、信頼性✕(計画段階のため)性能◎、雇用◯

豪州としては、完成していてくれれば迷うことなかったのに・・・という所でしょう。

次に、フランスの潜水艦です。