ごはんやパンをそのまま飲み込んだら消化されずに排出されるのか、と言うとそういうことではありません。
炭水化物は、十二指腸で分泌される最強の消化液「膵液」によって再度分解が行われます。しかし、十二指腸は膵液を食物と混ぜ合わせるだけの器官であり、そこで確実に消化されるわけではないのです。膵液と混ぜあわされた食物は、小腸を進みながらゆっくりと消化吸収が進み、主要な栄養が吸収されるようになっています。
膵液は、人体に必要な主要な食物の大半を消化できる消化液ですが、口や胃で十分に紹介されない固形物は当然消化に時間がかかります。その分、大量に膵液が作られたり、小腸が余分に活動したり、十分に吸収されなりまま排出されることになります。
とは言え、昔の人が唾液の作用を知っていたにしろ知らなかったにせよ、「噛む」と言う作用そのものが消化液の分泌を促したり、食物の破砕の役割を持っている以上、炭水化物云々に関わらず、食べ物はよく噛んで食べるのが良いのは間違いありません。
唾液の殺菌作用、体内の入り口を守る最初の関所
唾液にはもうひとつ重要な作用が存在しています。
それが、殺菌作用です。
実に十数種類もの殺菌作用を持った成分を含み、それらが口内に入り込んだ様々な細菌やウイルスを殺してくれています。
それじゃあ、口の中は清潔なのかというとそうではありません。唾液は口の中を保護する成分を含んでいるため、「口の中に長時間残る」のです。そのため、口内や歯を破壊する胃酸のような強力な殺菌成分は使えませんし、飲み込んだら胃酸で破壊されてしまうのに、白血球のような「免疫細胞」を置いておくわけにも行きません。
唾液の殺菌作用は、口の中に入ってくる雑菌にとって無視できないほどに強力ではありますが、その全てを殺しきれるほど強力なものではありません。
この結果、「唾液は汚い」と言われるように、口内の唾液は非常に多くの雑菌を含んでいます。ただ、唾液腺から分泌される唾液が汚いのではなく、口内で繁殖を続けている細菌類が唾液と混ざると汚いので、分泌された直後の唾液は清潔であると言えます。
時折、舌の下にある唾液腺から勢い良く噴水のように唾液が吹き出すことがありますが、それはそれほど汚くないでしょう。欠伸の際などに誤って唾液腺から唾液が飛び出してしまったとしても、普通に吐き出す唾よりは遥かに清潔なので気にしすぎない方が良いでしょう。
唾液と混ぜられた食物は食道を通して胃へ
唾液は食物と混ぜられた後に、食道を通って胃に向かいます。
食道はかなり細く、大きな食べ物は通りません。さらに、食道を通る前に、食べ物は「喉」を通過します。喉には食道と隣接するように気管が存在しており、気管は一切の固形物を通しません。
大量の固形物を通す食道と、気体しか通さない気管。この二つはどのようにして共存しているのでしょうか?