海上自衛隊(1):海上艦艇の艦種とその任務、護衛艦隊の存在意義とは?

最近では弾道ミサイルの迎撃も任務の一つと言える様になってきましたが、実際に迎撃が出来るのは数の少ないイージス艦だけなので主任務とは言えませんし、陸自のミサイルでも可能です。仮に敵の水上艦艇が領海に入ったのだとすれば、日本本土に近いのですから海自よりも空自が対応する方が現実的です。

専守防衛の自衛隊は上陸作戦や空爆作戦を行う理由がないので、米軍の様に外洋に出て上陸部隊や空母を守る艦隊も必要ないはずです。敵の航空機が入ってきた場合にも、足の遅い船で迎撃するより空自の航空機で迎撃するのが理想です。もし敵が上陸しようとしてきたのであれば、本土に備え付けたミサイルで陸自が迎撃すれば良いのです。

しかし、潜水艦を破壊するための艦隊が必要だと言う場合であればどうでしょう?

潜水艦は海自や陸自ではどうしようもありません。そして潜水艦はその誕生以来、たとえシーレーンが領海内にあっても、船舶の航行を脅かし続けてきた最も恐ろしい兵器です。潜水艦が本気になれば、瀬戸内海や東京湾にだって入れます。そうすれば、日本のありとあらゆる港の船舶が港から出られなくなるでしょう。機雷で日本中の海を封鎖しても良いですが、船が移動できないことには変わりありません。

潜水艦にする対抗する艦隊が必要なのはわかりました。しかし、その艦隊は敵にとっても邪魔になるので、当然航空機や艦艇からの攻撃を受けます。その攻撃から身を守るためには、当然高性能なイージス艦が必要になります。そして、原子力潜水艦などの絶対に浮上しない潜水艦の捜索は困難を極めるため、潜水艦を捜索するための高性能な護衛艦や潜水艦の索敵に特化した対潜ヘリコプターが多数必要になります。

するとどうでしょうか。空母の様な巨大な護衛艦が必要になり、その護衛艦を守るためにさらに高性能な護衛艦が必要になります。そして、日本の海を潜水艦の脅威から守るために、世界有数の近代的な艦隊が生まれてしまいました。

何かの冗談のようですが、専守防衛を掲げる日本の軍隊はその存在意義の確立が非常に困難です。敵の空母を含めた大艦隊が近づいてきたからと言ってこちらから攻撃するわけにも行きませんし、攻撃されたら空自で良いと言われればそれまでです。

潜水艦を理由に挙げなくても、離島防衛や離島奪還などには海自の存在が不可欠ですので、そう言った理由で海自の存在意義を説明する事もできるでしょう。しかし、事実として潜水艦は空自や陸自にはどうしようもない強敵で、核兵器すら搭載している高脅威目標の一つです。

日本でなくとも対潜任務を主する海軍は存在しますが、日本の様に領海が広いと、対潜任務を主任務としてもこれほどの大艦隊が必要になるようですね。

ちなみに、日本の海自は質的には世界トップ3に入ると言われていますが、世界規模で活動する前提の米英露中の中に、専守防衛の自衛隊が入っているというは驚くべきことです。

 

【その2:護衛艦隊の運用】