三大栄養素とビタミン・ミネラル・食物繊維の役割-消化と栄養(1)

体を構成・調整する栄養素

人が摂取する食べ物は、エネルギーにするためだけものばかりではありません。タンパク質ミネラルは人の体を構成する上で重要な役割を果たしています。

タンパク質は体の肉的な部分(皮膚・筋肉・内蔵もろもろ全て)を構成していますし、骨や歯、血液にはミネラルが欠かせません。

人体を構成する栄養素は、エネルギーと違って常に摂取し続ける必要のあるのものではないので、ミネラルなどの必要な量はそこまで多くはありません。しかし、人体の殆ど全てがタンパク質で構成されている上、古い細胞を常に入れ替え続けなければいけないので、タンパク質の必要量はそこそこ多いです。

また、ミネラル・ビタミンはこれら栄養素の分解・合成などの代謝に欠かせない成分であり、水はこれらの代謝を促進する溶媒となります。当たり前ですが、水がなければ血液は流れませんし、栄養素は然るべき場所に運ばれません。人体の半分以上が水で構成されていると言われるほど、水分は体を構成する重要な成分であり、体の機能を調整する働きを持っているのです。

さらに、大腸の細菌類が食物繊維を分解して作る物質の中には、腸の働きを整えたり、他の栄養素からは摂取できない貴重なビタミンなどを作る働きもあり、食物繊維が体の調整を行っているということもできます。

各々の役割まとめ

さて、少々ややこしくなってきたので、各々の栄養素の働きをまとめてみましょう。

<エネルギー><体を構成><体の調整>
炭水化物タンパク質ビタミン
脂肪ミネラル水分
タンパク質水分ミネラル
  食物繊維

こうしてみると、多くの栄養素が複数の役割を持っていることが分かりますね。

食物繊維については、実際には腸内細菌の活動に依存しているので、どんな働きがあるのかよくわかっていない部分も大きいのですが、腸の働きを整えたり、ビタミンなどの必須栄養の元になることまではわかっています。

おおまかに説明していきましたが、一つ理解して欲しいのが、これら「炭水化物」や「ビタミン」の呼称は水を除いて全て「総称」であるということ。

炭水化物は糖類にすぐに分解できる物質類の総称ですし、ビタミンは「炭水化物でも脂肪でもタンパク質でもなくて、人が吸収・活用できる有機物」の総称です。ミネラルなどは、「人が吸収・活用できる無機物」の総称です。

ちなみに、食物繊維は人が吸収できない有機物の総称です。幸い、菌類が分解してくれれば、それがビタミンなどに変わってくれるので栄養になるのです。

どういうことかというと、これらの栄養素は、水を除いて食べ物を「大雑把に分けただけ」の名前なのです。

基本的にはこれらの栄養素を活用しているということを理解していれば良いのですが、それだけで安心かというとそういうことではなく、これらの栄養素はさらに細分化されて、各々別々の役割で活用されています。

これらの栄養素を均等に取っていたとしても、食材が似たり寄ったりの場合は、細かく見てみると栄養素が偏っていたなんて話は良くあることです。栄養学を学んでいたとしても把握できないレベルで栄養素は細分化されており、これを食べておけば大丈夫、サプリメントをとっているから大丈夫というわけではありません。

人は「味に飽きる」ことで、単調な食事を変化させる能力を持っています。あまり同じような食材を使った食事は避け、様々な食材を活用した料理を食べるようにしたいですね。