レーダーの仕組みについて初心者にも分かりやすく解説 – ステルス(5)

時間・角度・方位から目標の場所を算出

D-RAPCON
(多目的レーダーTPS-79_USAF)

レーダーというのは電波を飛ばして受信することだけしか出来ませんが、どれでどうして正確な物体の場所が分かるのでしょうか?

レーダーを使って物体の位置を把握するためには、以下の3つの情報を取得する必要があります。

  1. レーダー波の発信から反射波の受信までの時間
  2. レーダー波を発信している方角
  3. レーダー波を発信している角度(仰角)

数学の問題のようになってきますが、大気中のレーダー波の速度は常に一定です。そのため、レーダー波が物体にぶつかってから返ってくるまでの往復ルートはずっと同じ速度で飛んでいるので。つまり、往復にかかった時間を半分にして速度を掛ければ距離がでます。

物体との距離= 速度✕時間/2』
ということですね。

ただし、これは直線距離ではなくてあくまで物体との距離です。地図上の直線距離が同じでも、空高く飛んでいる物体と地表すれすれを飛んでいる物体はでは距離に差がでます。

この距離を踏まえた上で、レーダー波を角度を割り出せば物体の高度と地図上の距離が分かります。

高度=物体との距離✕sin(角度)』
『地図上の距離=物体との距離✕cos(角度)』
ということです。ただ、地球は丸いので実際の数字はもう少し高く・長くなります。

そこまで分かれば、後は方位を割り出すだけで正確な位置が分かりますよね。

数学の説明のようになってしまいましたが、高校の数学の知識でざっくり計算できるというのが凄いところです。

レーダーの課題

レーダーの基本原理についての説明はこれで終わりです。

しかし、実際にレーダー理解するためにはまだまだ分からない事が沢山あります。

広範囲をレーダーで策敵するためにはどうすればよいのか。目標の正確な位置を追跡し続けるためにはどうすればよいのか。索敵距離を伸ばし、正確な情報を得るにはどうすればよいのか。

などなど、疑問は付きません。
次回、レーダーに使われているアンテナの種類と共にそういった疑問についての解決策をご説明していきましょう。