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「歯と虫歯」:消化を助ける最初の器官、虫歯菌とどう戦う?-消化器官のしくみ(1)

人は毎日当たり前の様に、何の疑いもなく食べ物を口の中に入れています。口の中に入った食べ物は口で細かく噛み砕かれ、唾液に混ぜて緩やかになったところで食道に流されます。

では、口の中にはどのような器官があって、そこで何が起きるかご存じですか?多分、子供でも知っているでしょう。歯があって、舌があって、唾液腺から唾液が出る。その通りです。しかし、案外知っている様で知らない事も沢山あるもの。

虫歯は何故起こるのか、唾液にはどんな機能があるのか。また、昔から「ご飯はよく噛んで食べなさい」と言われますが、お米の様な柔らかいものを何故何度も噛まなければいけないでしょう?

知っているようで知らない歯について、本記事で簡単にご説明していきます。

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消毒がダメな理由。細菌の働きと消毒液の正しい使い方-傷の治療(後編)

前編では傷の治り方についての説明と、乾燥療法や湿潤療法についてご説明しました。

乾燥療法と湿潤療法の間には基本的に乾燥させるか湿らせるかの違いしかありません。しかし、湿潤療法が注目されると同時に、傷の治療に関して、消毒の是非についても議論されるようになりました。

湿潤療法が体内の細胞の修復能力を最大限活かすためのものであるならば、消毒はそれを阻害するのではないか。そうであるなら消毒しないほうが傷の治療には効果的ではないのだろうか?

と言う観点からです。実際、最近では傷口に消毒液や軟膏を塗りつけるような治療は減っています。結局のところ、消毒の影響とはいったいなんなのでしょうか?

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怪我の治り方について、乾燥療法?湿潤療法?それぞれの特徴と細胞たちの働き-傷の治療(前編)

皆さんは怪我がどのようにして治るのかご存じでしょうか?

線維芽細胞についての記事で、傷や細胞の損傷を修復するのに「線維芽細胞」が重要な役割を果たしているとご説明しましたが、傷の修復は線維芽細胞だけで行われるのではありません。血小板、リンパ球、白血球など様々な細胞(及び成分)が協力しながら怪我が治っていくのです。

傷を乾燥させない湿潤療法などが取り上げられるようになって久しいですが、何故消毒がダメなのか、乾燥療法ではなく湿潤療法が優れているかについても合わせてご説明していきます。

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線維芽細胞とは?iPS細胞の原料にもなり、皮膚・筋肉・骨にまで変わる人が元来持つ万能細胞

線維芽細胞と言う細胞の名前を聞いたことがあるでしょうか?

聞き覚えのある人は、おそらくiPS細胞や再生医療関連のニュースで聞いたことがあるのではないか思います。線維芽細胞は傷や人体組織の修復と密接な関わりがある細胞であり、人体のありとあらゆる場所に存在します。

怪我などをした際には、非常に重要な役割を担う細胞修復の要とも言える細胞なのですが、傷を直すと言えば「血小板」が真っ先に出てくるように、線維芽細胞の働きについてはあまり良く知られていません。本記事では、そんな線維芽細胞について簡単にご説明していきたいと思います。

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近代潜水艦の始祖、電気Uボート:ドイツで生まれ、大国が追随した潜水艦のパラダイムシフト

潜水艦の形状や設計思想が今と昔で大きく異なっているのはご存知だろうか?

第二次世界大戦開戦当時、世界の潜水艦は浮上航行を前提として設計されていた。なぜなら、当時の潜水艦は潜航可能時間が短かかったため、潜航したまま長距離を高速で移動するなどと言うことは想定されていなかったからだ。航行速度も浮上時の方が早く、潜行時は半分以下の速度になってしまう。

しかし、現代の潜水艦は全て潜行時の速度のほうが早く移動できるように設計されている。原子力潜水艦はもとより、潜行中は電気推進に切り替わる通常動力型であっても潜行した方が素早く移動できる。これは潜水艦の設計思想が今と昔で大きく異なっているからだが、このパラダイムシフトは、実は第二次世界大戦のドイツで起こっていた。

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潜水艦乗りの過酷な戦い(番外編):見えない敵を探せ!海上の船乗りたちは潜水艦とどう戦うのか?

全四篇に渡って潜水艦乗りの戦いについて追ってきました。そこで分かった事は、潜水艦は強力な兵器ではあるもののその特性や任務は非常に極端であり、むしろ軍艦の例外とも言える存在だということ。

そこで気になってくるのが潜水艦と戦う水上艦の船乗り達。戦争は海だけで行われるわけではなく、むしろ本当に重要なのは陸での戦い。海軍の任務は海の安全を確保することですが、それは物資や人員を陸の目的地へ確実に送り届けるためであり、そして敵の物資や人員を陸の目的地に近づけないようにするためでもあります。

その際に最大の障害となるのが潜水艦。潜水艦に潜水艦を攻撃させるのも一つの手ですが、潜行中の潜水艦の索敵範囲は索敵機や水上艦の広域レーダーに比べれば非常に狭く、防衛の主軸にするにはどうしても心許ない。海軍力に劣ったナチスドイツのUボート艦隊などは例外ですが、任務の汎用性なども鑑み、多くの海軍で水上艦が主力になっています。

海中を静かに進む潜水艦に比べると、水上艦は騒音を出すのでみつかりやすい。そんな水上艦の船乗りたちは、一体どうやって潜水艦と戦っているのでしょうか?

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潜水艦乗りの過酷な戦い(4):魚雷だけじゃない!対艦・対地・対空装備、海で最強の潜水艦

前回の記事では、潜水艦がどのようにして敵を見つけるかについて簡単にご説明しました。さて、敵を見つけたら今度は戦闘です。

海中の戦闘は海上の戦闘とは全く異なります。陸、海上、空の戦いは電波技術の進歩により飛躍的に変化しましたが、実は海中の戦いは世界大戦以来大きく変化していません。イージス艦が最強だとか、ステルス機が最強だとか、無人機が陸と空を跋扈するだとか・・・潜水艦とは無縁の話。

イージス艦のハイテクレーダーも、ステルス機の隠密性も、沢山の無人機も、未だ潜水艦の脅威にはなりません。海中にイージス艦のレーダーは届きませんし、潜水艦は世界中のどのステルス機よりも隠密行動に優れています。海中に無人潜水艦を送り込んでも、無人機の情報は結局浮上して電波を使うか、母線に繋がった有線で受け取るしか無いのです。

潜水艦が登場して百五十年が経った今でも、潜水艦と言うのは独自の立ち位置を取り続けています。

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潜水艦乗りの過酷な戦い(3):敵を見つけるための各種装備、音・電波・光を駆使した海の偵察

第一回では潜水艦乗りの過酷な生活についてご紹介し、第二回では最大の特徴である静粛性についてご説明しました。第三回と第四回は、潜水艦の戦闘に関わる部分について簡単にご紹介させて頂きたいと思います。

軍艦に限らず、兵器というのは戦うために存在しています。しかし、実際の戦闘はほんの一瞬。それは当然、潜水艦も同じです。毎日の様に訓練し、任務に就いたら四六時中音を出さないように海中で静かに生活し、いざ戦闘となれば、ほんの数十分で終わってしまう。

その一瞬のために、搭乗員の生活全てが存在するわけですが、その一瞬に潜水艦乗り達は一体どのような戦いを繰り広げるのでしょうか?

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潜水艦乗りの過酷な戦い(2):海に潜んで何が出来る?音も立てずに海中で隠れ続けるために

潜水艦乗りの生活は辛い。そんな話を前回の記事でご紹介しました。
しかし、彼らはどうしてこれほどまでに過酷な艦内に閉じ込められて作戦に従事しなければいけないのでしょう?

例えば、燃料から電力を生み出す効率の悪かった大戦時でも、米空母の中にはアイスクリームの製造機がありましたし、戦艦大和での生活はホテル(通称、大和ホテル)のようだったと言われています。現代の潜水艦ですらろくにシャワーも浴びれないのに、海上を行く船がどれほど快適な生活を送っていたことか。そしてそれは、現代の潜水艦と海上艦でも(原潜を除き)変わりません。

彼らがこのような生活を送らなければなら無い理由。それは、彼らの作戦目的と潜水艦の特性にありました。

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ヴァルター機関とは?第二次世界大戦時にドイツで生まれた非大気依存型推進(AIP)の先駆け

潜水艦の歴史は長く、17世紀にはすでにオランダの発明家コルネリウス・ドレベルが人力の潜水艇を発明している。
しかしディーゼルエンジンとバッテリーを併用する近代的な潜水艦が誕生したのはようやく20世紀に入ってからのことだ。これは浮上時にディーゼルエンジン、潜水時にはバッテリーで航行するというもので、原子力を使わない潜水艦ならば現在でも基本的な構造は変わらない。

これをもって潜水艦は一応の完成をみたといえるが、ここで吸気という大きな問題が立ちはだかった。
潜水艦が潜水時にバッテリーで動くのは、ディーゼルエンジンを動かすために必要な酸素が水中では取り入れられないためである。潜水時の動力には吸気が不要なバッテリーが使われるが、残念ながら移動できる距離は限られ、バッテリーの充電時には海上に出てディーゼルエンジンを動かさなければならない。これは潜水艦にとっては大問題。
これを解消しようという野望に燃えた人物が、1930年台のドイツに存在した。

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