潜水艦乗りの過酷な戦い(3):敵を見つけるための各種装備、音・電波・光を駆使した海の偵察

電波探査(レーダー等)

水中では使い物になら無い電波ですが、海上では最強の技術です。しかし、電波を使うと言っても一筋縄ではありません。アクティブソナー(やまびこ効果)と同じように、電波を発して反射してくる電波で敵を見つける「レーダー」。逆に、パッシブソナーと同じようにレーダーや無線を使って電波を出している敵を見つける電波探知機。と色々あります。

昔の潜水艦はちょくちょく浮上していたので、浮上時にレーダーを使って航空機を先に見つけて逃げたり、逆に輸送船を見つけて先回りするために使っていました。潜りっぱなしが普通になった今でもそれに近い用途でレーダーは使われますが、発生源を逆探知されてしまうため、隠密行動が目的の場合はレーダーは使われません。使われるとしても、艦隊の一部として展開し、見つかっても仲間が援護してくれる状態で使われます。とはいえ、普通は海上や空の警戒は航空機がやる仕事なので潜水艦がやることは稀ですね。

その代わりに、電波探知装置はよく使います。海上船舶や航空機は容赦なく電波を出しながら動き回ります。そして、障害物の無い海上では音よりも遠くまで電波は届くため、電波探知装置はソナーよりも遠くの敵を発見することが出来ます。それが航空機なら静かに潜れば良いですし、攻撃目標なら静かに近づけば良いのです。当たり前ですが、運良く通信中ならともかく、潜っている潜水艦は電波では見つけられません。

その他(赤外線・磁気センサー)

光(可視光線)・電波・音の他には、赤外線(熱)や磁気探知と言う方法が存在しています。

光は情報量が多い代わりに、近くの海上の物体しかみれません。電波は遠くまで把握できますが、情報量が少ない上に地上だけです。そして、音は海上・海中の目標を探知できますが使い勝手が悪いのです。そこで、熱源探知の赤外線センサーや金属に反応する磁気センサーなどが使われるようになりました。

これらの装備は探知範囲が狭いものの、「無音で潜水艦を確実に見つけられる」唯一と言って良い装備です。海中で潜水艦がいくら音を出していなくても、電池やエンジン、人が活動している以上水と同じ温度にはなりません。船体や艦内の部品に金属を使っている以上、多かれ少なかれ磁力を持ってしまうので磁気センサーからも逃れられません。水の影響で海中深くに潜られると反応がないとは言え、赤外線センサーなどは衛星や航空機からも使えるので、非常に使い勝手の良い装備といえます。

その4に続く

潜水艦乗りの戦いシリーズ一覧