日本人はリサイクルが嫌いだった?ゴミの再利用では後進国の日本

リサイクルはエネルギーの無駄遣い?

「いやいや、そもそもリサイクルなんて意味ないんじゃない?」

ネット上では時折、「リサイクルはエネルギー効率が悪い」と言われることがあります。これは特にペットボトルやプラスチック関係のリサイクルで言われる事です。もちろん、全てのリサイクルが悪いと主張するつもりはないようですが、これは本当なのでしょうか?

リサイクルがエネルギーの無駄遣いだというのは、「燃やして熱エネルギーにする方がリサイクルするよりもエネルギー効率が良い」という意味で、どんどん燃やしてエネルギーにしようという理屈です。

実のところ、これについては捏造疑惑もあり批判も多く、「全くの間違いである」と無視することもできます。しかし、ここでは本当にエネルギー効率が悪かったものとして話を進めます。

そもそも、エネルギー効率のためにリサイクルしているわけではなく、これは問題のすり替えです。

当たり前ですが、人間が扱う資源の殆どが有限であり、使っていれば必ずなくなります。次から次へと新しいエネルギーを見つけても、いずれ枯渇するのは明らかです。もちろん、資源そのものを人間の科学技術で作れるようになれば良いのですが、人工的に作った資源の消費に伴う環境変化も非可逆であり、元に戻すことはできません

リサイクルされないゴミは永久にゴミのままですし、排出された二酸化炭素などの排気は自然によって回収される速度よりも早く排出されるでしょう。

エネルギー効率だけを優先させてリサイクルをしないというのは、酒場にツケを貯め続けて放置しているようなもの。即金で払うよりもツケを貯め続けた方が短期的には経済的ですが、そのツケを清算するのは無関係な子供たちや別のお客さんです。

消費する資源を少なくするためにリサイクルするのではなく、不可逆的な経済活動を減らすためにリサイクルするのです。

循環型社会を夢見て

リサイクルの理念の一つに「循環型社会」の構築というものがあります。

循環型社会というのは資源がその社会の中で循環し、極端に消費されることもなければ資源を社会の外に依存することもないという社会です。

身近な例で言えば、「給料分はしっかり働く労働者と仕事分の給料をきっちり払う会社の関係」に似ています。労働者が働けば会社が儲かり、儲かれば会社は給料を払えます。給料を貰った社員は給料の分は働こうとするため会社は継続的に利益を出せます。つまり、会社と社員の間でお金と労働力という資源が循環する事になります。

一方、給料分働いていない人は「親や会社から得た金を消費するだけ」で労働が提供されず会社の負担となり、働きの分の給料が払われないと「会社が一方的に労働資源を搾取するだけ」となり、どちらも循環しません。こんな問題を抱えている日本企業は少なくないですが、こんな状態がいつまでも続くわけがないでしょう。

どんな組織・社会であれ、資源が正しく循環しない状態は絶対に長続きしません

循環型社会というのは、資源的に見ると「完成した社会」です。もちろん、資源以外に様々な問題は抱えているでしょうが、資源の管理が問題で崩壊することはないでしょう。

人間はかつて資源が原因の戦争を幾度と無く経験しています。大袈裟な言い方ですが、戦争のない社会と循環型社会は決して無関係ではないのかもしれませんね。