昆虫食が広まっている?昆虫を食品に使う利点とビジネス展開

既存の昆虫食ベンチャー

こうした利点が知られている昆虫食は、すでにビジネス化が進められています。

その内容は家畜用飼料から園芸用肥料、そして人間用の食品まで多岐にわたります。ここからはそうしたベンチャーの事例を紹介していきましょう。

AgriProtein

Agriproteinは持続可能なタンパク源の供給をビジョンとして掲げており、イエバエの幼虫を飼育して家畜用飼料やペットフードに加工・販売しています。

虫の飼料には、そのままでは家畜の餌にはならないような食品廃棄物が使われています。これで育てられる虫はいわば、質の低い有機物を高品質のタンパク質に変換する仲介として機能します。このように廃棄物で育てた虫を家畜の飼料にすることで、家畜用にわざわざ穀物を育てる必要がなくなるのです。

飼育されたイエバエは乾燥させて粉末状にし、家畜用飼料として出荷されます。その他、脂肪分の抽出物をペットフードとして、さらに飼料にならないその他の組織を加工して園芸用肥料として販売もしています。

Enviroflight

こちらはアメリカ企業。アメリカイエバエを飼育して動物用飼料として出荷しています。AgriProteinと同様に、養殖過程で出た廃棄物を加工した肥料も販売しています。飼料の出荷量は年間500~1000トン

All Things Bugs

(出典: All Thing Bugsツイッター)

こちらは人間向けにコオロギパウダーを販売しています。養殖コオロギを粉末にしてフレーバーをつけたもので、タンパク質を補助する食品としての使用が推奨されています。

Bitty

(出典: Amazon.com)

ここが販売するのは、焼き菓子に使える「コオロギ小麦粉」と、それを使ったスナック菓子。グルテンフリー、グレインフリーを売りにしています。

Chapul

(出典: Chapulホームページ)

ここの商品はコオロギパウダー含有のプロテインバー、そしてコオロギプロテインパウダー。

プロテインバーにはピーナッツバター&チョコレートやココナッツ&ジンジャーなど複数種類のフレーバーを用意。プロテインパウダーは450g入りパックと、1回使い切りパック12袋入りの2種類を販売しています。

こうした商品展開の様子を見てみると、昆虫食が普及するというのは遠い未来の話でも夢物語でもなさそうです。

虫を食べることに対する忌避感は、大部分が文化や習俗によって形作られるもの。畜産などに対する経済的優位性が確立したならば、各地で広がりを見せていくのではないでしょうか。