”ホワイトヘッド魚雷なしには、潜水艦は精々面白いオモチャ止まりだったろう”
イギリスの海軍軍人ヘンリー・ジョン・メイは20世紀初頭にこう語った。内燃機関とバッテリーを併用する近代的な潜水艦は1900年頃には既に完成していて、アメリカやイギリスなどの海軍は潜水艦を就役させ始めていたが、大砲に頼らず大型の船に有効打を与えられる魚雷がなかったならその価値は相当低くなっていたことだろう。
実際、潜水艦から発射できる巡航ミサイルが登場する20世紀中盤になるまで潜水艦の戦闘は魚雷が軸であった。ミサイルが普及して久しい今日でも対潜戦闘において魚雷はまだまだ使われている。
魚雷の存在が潜水艦の価値を引き上げ、また潜水艦の発展が魚雷の発展を促すという、ひとつの循環があったとも言える。では、その起点となった魚雷は、いつ作られたのだろうか。 [—続きを読む—]