「大腸と腸内細菌」:意外な便の内容物と細菌の繁殖場-消化器官のしくみ(7)

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腸内細菌の働き、栄養は細菌の排泄物?

哺乳類は高度な消化器官を保有していますが、基本的に植物の主成分である食物繊維を消化出来ません。そのため、腸内細菌の力を借ります。

細菌類は食物繊維を分解する事ができ、人の栄養となる代謝物を生成します。なんだか人が細菌の排泄物を使って生きているようで変な気分ですが、細菌達によって提供される栄養素は必須栄養素ではあるものの、人が活動するエネルギーのメインではありません。

腸内細菌の細かな活動については別の機会にご説明しますが、これらの腸内細菌は、基本的には有益な善玉菌と悪影響を与える悪玉菌に分かれています。善玉菌で有名なのは、ヨーグルトに入っているビフィズス菌やヤクルトに入っているヤクルト菌などで、腸内環境を整える働きを持っています。一方で、悪玉菌は発がん性物質を作ったり、悪臭のもとを作ったり、善玉菌に害を成す菌の事を指します。

150225-1(大腸菌)

善玉菌が適切に働いていた場合は、便の色が丁度良い感じの茶色になります。これは胆汁に含まれる黄色の色素を吸収して茶色の色素に変換しているからなのですが、腸内環境が腸内細菌にとって活動しにくい状態だと十分に変換できず、色が黄色いままで排出されます。

また、悪玉菌が増えすぎれば下痢になりますし、善玉菌が少なくなれば便秘になることもあります。食物繊維が足りないと便秘になるというのは、善玉菌の栄養素が足りず、十分に繁殖できていないためというのもあるようですね。

これらの腸内細菌の総数は実に100兆を超え、重さにして1.5キロもあるといいます。ふと気になるのが、これらの菌はどうやって体の中に入っていくのかということでしょう。

なんといっても、胃で大半が殺菌されてしまいます。ビフィズス菌などは胃で殺菌されやすいため、別の食品と一緒に食べて食品の中に隠れながら胃を通り抜けることで、腸内に届くようになっています。そのため、小さなカップのヨーグルトをそれだけで食べるより、フルーツと混ぜあわせて食べるような形が奨励されていますね。

一方で、胃酸に強いヤクルト菌などはそのほとんどが胃を通過して腸までたどり着くため、小さなヤクルトのボトルでも高い効果が期待できるのです。

このように、大腸は腸内細菌のための器官と言っても過言ではなく、これらの腸内細菌の働きをよく理解することで、健康的な生活を送れるようになるといえるでしょう。

便の内容物、結局何が排出されてるの?

便は臭いし汚い。ちなみに、これは全部腸内細菌のせいです。臭いのは悪玉菌が異臭を放つ物質を作って便に混ぜ込んでいるからで、汚いのは便の中に沢山の細菌が混ざっているからです。一部の動物は糞を食べてまた分解しますが、人間の場合には大量に発生した腸内細菌を上手く扱う機能が大腸以外に存在しないのでこれは難しいです。

腸内細菌は人間の生活には必要不可欠です。臭くて汚いのは仕方ないとしても、細菌以外にどんな物質が便に含まれているのでしょう?