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ロッキード社の小型核融合炉とは?重水素とトリチウムを利用し、プラズマと超電導磁石を使った次世代発電

ロッキード・マーチン社が、今後30年かかると言われていた核融合発電をあと10年で実用化出来ると宣言した。

これが本当であれば驚くべき技術革新が生まれる事になる。核融合発電は、日本とアメリカの研究機関が中心となってリードしてきた技術だが、米国の防衛企業が大きくリードした。

核融合発電の方式は、トカマク型・ヘリカル型・磁気ミラー型・レーザー型などが中心であり、日米欧の研究機関が様々な方式を使って核融合発電を研究している。今回のロッキード社の小型核融合では、磁気ミラー型をベースにしたものが用いられている。

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ミネルバ2の性能は如何に?はやぶさ2に搭載されるホップするローバー(着陸機)

2014年11月30日打ち上げ予定12月1日以降の打ち上げに延期のはやぶさ2には、ミネルバ2と言うローバー(着陸機)が搭載される。

基本的な性能ははやぶさに搭載されていたミネルバと同じだが、先代のミネルバははやぶさからの投下に失敗し、今なお宇宙を漂っている。今回は前回の失敗を踏まえ、合計3基搭載する予定となっている。

しかし、実はこのミネルバは非常に独特なローバーとなっていて、小惑星の上をジャンプしながら移動するのだ。普通の地表に降り立って移動するローバーといえば、タイヤが付いているタイプが一般的。何故、はやぶさシリーズのミネルバはこのような形になり、そしてどのようにホップするのだろうか?

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はやぶさ2の進化!小惑星1999JU3へ向かうためのイオンエンジンとは?少ない推進剤で少しの加速を得る宇宙のエンジン

小惑星イトカワから世界で初めてサンプルリターン(サンプル採取後、地球に持ち帰る)ミッションに成功したはやぶさの後継機である「はやぶさ2」が2014年11月30日(12月1日以降の打ち上げに延期)にH2Aロケットによって打ち上げられる。小惑星の名前は1999JU3。到着は2018年を予定している。

ミッションそのものははやぶさとほぼ同じで、形状なども初代はやぶさに酷似しているが、様々な点に改良が加えられている。大きな変更点としては、アンテナ強化・エンジン強化・観測機器の増強・観測方法の追加などである。

初代はやぶさは数々のドラマを生みながら満身創痍の中で何とかイトカワのサンプルを持ち帰った。特に、メインエンジンであるイオンエンジンは4基すべてが破損してしまった事が知られている。今回ははやぶさ2のイオンエンジンについて迫っていきたい。 [—続きを読む—]


ノーベル賞受賞者:赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏。三者はどのようにして、青色LEDの実用化に貢献したのか

2014年10月7日、2014年度のノーベル物理学賞に日本生まれの科学者3名が選出された。
赤崎勇、名城大学教授(85)。天野浩、名古屋大学教授(54)。中村修二、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授(60)。

受賞理由は青色発光ダイオードの実用化。受賞者は皆、青色発光ダイオードの実用化において重要な役割を果たした人物だ。天野浩氏は名古屋大学教授だった赤崎勇氏の下で活動していた弟子に当たる人物で、中村修二氏は発光ダイオード生産において今では世界的なシェアを持つ日亜化学工業の研究員だった。

青色発光ダイオードの実用化にあたって三者はそれぞれ別々の技術開発で貢献しているが、青色発光ダイオードが発明され、実用化されるまでの過程を順を追って説明していきたい。

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プラシーボ(プラセボ)効果を除外したい!米国の製薬会社が遺伝子情報での選別試験を研究中

プラシーボ効果。日本語では偽薬効果とも呼ばれるが、所謂「薬を飲んだからきっと効く」と言う思い込みから、痛みや神経症が直ってしまう効果の事だ。プラシーボ効果は精神的な作用であるため、効果があるのは痛みや精神症状の軽減程度だと思われがちだが、脳内物質の分泌量が変化することで血液の組成が変わり、腎臓や肝臓の疾患にも影響があることが知られている。

国内では殆ど見られないが、海外の医療機関の中では積極的に偽薬効果を狙った治療を行う機関も存在している。どんな薬が効くか分からないような患者にも一定の割合で効果があるため、偽薬であっても薬になるのだ。

それなら良いことの様に思えるが、プラシーボ効果で非常に大きな不利益を被っている会社がある。それは製薬会社だ。

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小惑星と間違えられた探査機ロゼッタ、チェリャビンスク隕石級の危険性とも

2007年11月8日。地球に接近する天体を観測するカタリナ・スカイサーベイから、それらの情報を統括する米国の小惑星センター(MPC)にある情報がもたらされた。2007VN84と名付けられたその天体が、地球に急接近しているというのだ。

地球に再接近する際の距離はおよそ5700kmにもなる。月と地球の距離が、384,400kmというのだからかなりの近距離だ。何かの拍子に天体の針路が変われば、地球に落ちてくる可能性が極めて高い。しかも、その大きさは直径20m級。これは、チェリャビンスク州で甚大な被害を生んだ隕石と同クラスであり、まともに落ちれば100mクラスのクレーターを生む巨大な隕石となる。

地球に危険が迫っていた。

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アヒル型?チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸機フィラエが探査機ロゼッタから投下される

今年の8月に探査機ロゼッタがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に追いつき、彗星の核の写真を撮影してきた。この写真がアヒルの玩具のようだと話題になったが、来月11月には彗星の地表に着陸機(ランダー)のフィラエを投下する。

 これまでに彗星に近接して写真を撮ったり、彗星にモノをぶつけてみたりしたことはあったが、着陸機を着陸させたことはなかった。もし、フィラエが無事に着陸に成功し、彗星表面の物質を採取・分析し、その結果を地球に送ることができれば、彗星の構造や成り立ちについての研究に大きな進展が見られることになる。

果たして、フィラエは無事に着陸に成功する事ができるのだろうか?

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新たなエボラウイルス検査キットが開発された!妊娠検査薬並みの簡便さでエボラの有無を確かめられる

西アフリカでは相変わらずエボラ出血熱が猛威を振るっている。

被害は一万人を越え、留まる様子もなく、西アフリカの三国は壊滅的な被害になっている。ワクチンの開発は進んでいるが、まだ完成しておらず、量産体制も整っていない。そんな状況で、エボラの流行を止める鍵は感染者の早期発見と隔離にある。

確実に感染者を隔離するために、米軍などが現地入りして現地の治安部隊に対する教育を進めているが、早期発見の方はまだ課題が残っていた。そこで、米国のCorgenix社とドイツのSenova社が名乗りを挙げ、簡便な検査キットを開発した。

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「ナノパス」や「Stratis」が生まれ、注射針の世界が変わる。無針注射器やペン型注射器の台頭

注射器といえば、看護師が患者の腕をペシペシ叩きながら血管を探してプスリとやるものだと思っていませんか?

確かに静脈注射が必要な場合はそうです。ですが採血でも無い限り、予防接種などのケースでは静脈注射は必要ありません。そう言う場合は、痛みの少ない肩などにプスリとやることが殆どです。しかし、実は最近では様々な注射器が開発されてきて、より安全に簡単に注射ができるようになっています。

ひとつはペン型注射針「ナノパス」。人間の痛点より針の直径が小さく、上手く刺されば全く痛みを感じません。

そしてもう一つが無針注射器「Stratis」。ジェットインジェクターのことですが、かつては鉄砲注射と呼ばれ、神経を傷つけるとされて無くなってしまいました。ところが、この度新しくてより安全なタイプが開発され、普及し始めています。

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翻訳:「海上の戦争」、群狼作戦立案者のデーニッツ元帥の小論(2章)- 開戦

 Uボートといえば大西洋で猛威を振るった有名な潜水艦です。複数のUボートを効率的に運用する群狼作戦によって多大な戦果を上げましたが、ドイツがUボートを海上の戦争の主力にしたのには止むに止まれぬ理由がありました。

ドイツが海を挟んだ先には世界一の海軍を誇る英海軍。ベルサイユ条約による軍縮もあり、脆弱な海軍しか持っていないなかったドイツが打てる手は限られていました。その中でも最良の策は、イギリスと戦わない事。そのため、ヒトラーは出来る限りイギリスを刺激しないように、海軍力をギリギリ削ってしまいます。

しかし、いざ開戦となるとイギリスも宣戦布告。海軍司令部は脆弱な海軍でイギリス海軍に対抗しなければいけなくなります。イギリス海軍を打ち破るのは諦めざるを得ず、少ない戦力で最も効果が高いと考えられるのは補給線の破壊。慌ててUボートの増産命令を出すも時遅く、戦争初期は限られたUボートで作戦を行わなければなりませんでした。

2章では、そんな戦争初期のドイツ海軍の苦難についてゲーリング元帥が語っています。

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